第59回:『東京タワー』 【映画の名車】
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2009/03/24
スクリーンを飾ったあの名車、少ししか映らなかったけれど忘れがたい車…
そんな映画に登場した“気になる車”をカーセンサーnetで見つけよう!
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■40代の人妻と21歳の大学生…禁断かつ究極の愛を描いたファンタジー
(C)2005東京タワー製作委員会
『東京タワー』2005年・日 監督:源孝志 出演:黒木瞳/岡田准一/松本潤/寺島しのぶ/宮迫博之/平山あや/加藤ローサ/半田健人/余貴美子/岸谷五朗ほか 販売元:バップ 5,040(税込) ※パッケージは参考画像です
母親に連れられてやってきたパーティで、人妻・詩史(黒木瞳)と一目で恋に落ちてしまった18歳の大学生・透(岡田准一)。3年の時が流れても2人は逢瀬を重ねていた。透の高校時代からの友人・耕二(松本潤)もまた、駐車場でのバイト中に35歳の人妻・喜美子(寺島しのぶ)と出会い、由利(加藤ローサ)という恋人がいるにもかかわらず、どっぷりとはまってしまう。
人妻が若く美しい男の子を愛人にする。世の奥様方が一度くらいは夢想すると思われる甘美な設定だが、これはあくまで黒木瞳と岡田准一、寺島しのぶと松本潤という美しいルックスのキャストたちが繰り広げるからサマになるのであって、これがそのへんの奥さんと汚らしい金髪ホストだと、途端に安っぽい携帯小説に成り下がってしまう。本作の大きなテーマは“キレイ”。映し出される東京は、街も人も出てくるモノもおとぎの国かと思うほどキラキラと輝いている。しかも決してバブル時代の話ではない、舞台設定は2004年だ。
登場人物たち、特に主人公の透と詩史も、キレイなモノ以外には興味がない。美味しいモノを食べ、美しい音楽を聴き、美しい小説を読み、美しい絵を描いて暮らしている。その生活を維持することが親やダンナの庇護のもとだから後ろ暗いとか、そんなことは一切考えない。キレイなもの至上主義。誰にも縛られない純粋な恋愛バンザイとばかりに突っ走るのだ。
したがって少しでも余計な雑念が入ると感情移入は難しいものになる。詩史のダンナ(岸谷吾朗)も喜美子のダンナ(宮迫博之)も、“キレイじゃないモノ”として描かれ、彼らが悪いわけではなく、否、悪いのは彼女たちのほうなのに排除すべき存在に祭り上げられるのだ。男性目線ならば10人が10人「おいおい、ダンナが悲惨すぎるだろ…」といたたまれなくなること必至である。ところがこれが女性目線だと違う。運命の出会いを果たした2人にとっては互いを思う気持ちこそがすべて。結婚していようが、20歳離れていようが、誰を傷つけようが、関係ない!!
もちろん“禁断の愛”が簡単に成就するわけもなく、後半はスッタモンダが次々と起こるわけだが、それでも昼ドラのようなドロドロ感は一切皆無。定番の修羅場ですら、ひたすら美しく描かれる。人気者たちが集結したわりにはベッドシーンも腑抜けたものにならずシッカリしており、岡田クンに至ってはシャワーシーンでプリっとしたオシリまで披露する大サービスぶり。テレビをつければ胸の悪くなる事件や頭の悪そうなタレントの下品な笑い声ばかりでうんざり…。そんな貴女にひと時の甘美な夢をこの映画は見せてくれるはずだ。
映画に登場する車たち
シトロエン C3
透(岡田准一)と詩史(黒木瞳)のカップルよりは少し年齢差が小さく(14歳)、庶民寄りなのが松本潤と寺島しのぶが演じる耕二と喜美子。2人の出会いは駐車場。真っ赤なシトロエン C3の車庫入れに手間取っていた喜美子が、ガードマンのバイトをしていた耕二を呼びとめたのがきっかけだ。前述のカップルのように一目でビビッときたわけではなく、ちょっとした仕草や触れ合いでグラッとくる様が丁寧に描かれている。シトロエン C3は2002年に発売。往年のシトロエンを現代テイストにアレンジした風情のコンパクトカーで、実に味わい深いルックスだ。真っ赤なシトロエン C3は喜美子の情熱、情念のあかしとして、要所で活躍。ときにはサンルーフを開けて舞い散る小雪を手に取り、時には車内で壮絶な口ゲンカを繰り広げたあげく耕二をたたき出し、クライマックスではとんでもないことの片棒を担ぐことになる。どんなとんでもないことなのかは見てのお楽しみだ。日刊カーセンサーの厳選情報をSNSで受け取る
第59回:『東京タワー』 【映画の名車】/旬ネタ