第40回:『太陽を盗んだ男』 【映画の名車】
カテゴリー: トレンド
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2008/11/04
スクリーンを飾ったあの名車、少ししか映らなかったけれど忘れがたい車…
そんな映画に登場した“気になる車”をカーセンサーnetで見つけよう!
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■現代日本では実現不可能!長谷川“ゴジ”和彦の大傑作
(C)1979 東宝/フィルムリンク・インターナショナル
『太陽を盗んだ男』(発売中)1979年・日 監督:長谷川和彦 出演:沢田研二/菅原文太/池上季実子/北村和夫/佐藤慶/風間杜夫/水谷豊/西田敏行ほか 販売:ショウゲート ¥2,625(税込)
退屈な日常に飽いている中学校の物理教師・城戸誠(沢田研二)は、東海村の原子力発電所からプルトニウムを盗み出し、原爆を作り上げるという壮大な計画を立てていた。近所の交番の巡査(水谷豊)を催眠スプレーで眠らせ拳銃を奪い、準備は万端である。そんなある日、担任をするクラスを率いて親睦会で遠出をした帰りに、銃と手榴弾を抱えた老人にバスを占拠されてしまう。彼が警察に突きつけた要求は天皇陛下と話すこと。だが、皇居前で文字通り身体を張った山下警部(菅原文太)の活躍で、城戸も子供たちも事なきを得る。事件後、城戸はまんまとプルトニウムの奪還に成功。自宅で原子爆弾を完成させる。果たして城戸は国家に対して反逆の狼煙を上げた。山下警部を呼び出した城戸が伝えた第一の要求は「現在行われている巨人×大洋のナイター中継を試合終了まで放送すること」だった―。
まだ痩身の美青年だったジュリー(当時31歳)と、今と変わらぬ武骨な菅原文太(当時46歳)という1970年代を代表するビッグスターが初共演。本来ベビーフェイスであるジュリーが反体制側の犯人役で、ヤクザ映画でならした文太が体制側である警察という構図がキモである。基本的にはノンポリで、特に強烈なイデオロギーのないままに巨大な力を手にしてしまった城戸が、ガチガチのベテラン刑事・山下をのらりくらりとはぐらかすくだりが痛快無比。そしてそれは、終盤で想像を絶する凄まじい反撃に出る山下の布石ともなっているのだ。
城戸に強烈な私怨などがないため、背徳感あふれる設定のわりに(とくに中盤戦までは)ポップな味つけがなされている。テレビから流れる「ウルトラマンレオ」の主題歌「君の番!」を啓示のように聞く場面、プルトニウムを盗み出す際の『時計じかけのオレンジ』ばりの色彩とインベーダーゲームのシューティング音を使った逃走劇、そして、「鉄腕アトム」の主題化を口ずさみながら原爆を製造する一連のシークエンスと完成後に流れるボブ・マーレー。人を喰ったようなアイデアが満載の前半戦は何度見ても新しい発見がある。
後半戦は一転、凄まじいアクションの応酬で見る者のドギモを抜く。なかでもサバンナRX-7=城戸vsパトカー群というカーチェイスは圧巻。発売されたばかりの国産スポーツカー、RX-7をズタボロになるまで酷使し、余すところなく大暴れさせるさまはカーマニア必見。このとてつもないカーチェイスの先には、天地がひっくり返るかのような驚愕のクライマックスが用意されている。終幕後の暗転に、絶句すること必至だ。
皇居前や国会議事堂でのゲリラ撮影を敢行し、ジュリーはオールヌードを披露、渋谷東急の屋上からは1万円札をバラ巻き、天下の菅原文太をヘリの足につかまらせる(飛び降りたスタントマンは骨折)、狂気の沙汰としか思えぬ撮影だが、そのすべてがしっかりと血肉になり、1本の映画として完成されていることは奇跡としか思えない。何度見直しても色あせることなく、むしろ2008年の今でこそガチッとハマる感じすら受ける本作。未見の方は今すぐDVDのレンタルを。頭の悪そうなノースリーブ豚ババアがギャーギャー騒いでいるクソくだらないテレビを消して、“本物の映画”を体験せよ!!
映画に登場する車たち
マツダ サバンナRX-7(SA22C型)
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