スクリーンを飾ったあの名車、少ししか映らなかったけれど忘れがたい車…
そんな映画に登場した“気になる車”をカーセンサーnetで見つけよう!

たて笛をこよなく愛する(でも吹けない)ジャガーさんが大暴れ!

ピューと吹く!ジャガーTHE MOVIE|映画の名車
(C) 2008「ピューと吹く!ジャガー THE MOVIE」製作委員会
DVD『ピューと吹く!ジャガー THE MOVIE』(発売中)2007年・日 監督:マッコイ斉藤 出演:要潤/大村学/小木博明/高橋真唯/なぎら健壱/カルーセル麻紀/板尾創路ほか 販売元:セブンドリーム・ドットコム ¥3,990 (税込)
スターを養成するガリクソンプロダクションでふえ科の講師を務める赤毛のジャガーさんが、気の向くままにハチャメチャな行動を繰り返す「少年ジャンプ」連載の超人気ギャグマンガ『ピューと吹く!ジャガー』が待望の実写映画化。うすた京介お得意の先読み不可能な驚愕展開の数々を、深夜番組のカリスマ演出家・マッコイ斉藤が遊び心満載で料理。コンセプトはズバリ「挑戦的がっかりムービー」だ。

気になるジャガー役には要潤が抜擢。イケメンすぎるジャガーさんながら、これがドンピシャのハマリ役。独特の低音ボイスで天然ボケを連発。完全アドリブで挑んだというステージシーンは抱腹絶倒必至、完璧に笑いの神様が降りてきている。その他、三太夫セガールが憑依したとしか思えないなぎら健壱、男として登場するカルーセル麻紀の怪演など、素晴らしいキャスティングに唸らされる。

ギターが大好きなミュージシャン志望の酒留清彦(大村学)は、ロックな生活を目指して、とあるバンドオーディションに参加。大勢のミュージシャンが集まる中、「お前ら全員オリジナリティがない!」と言い放つ、たえ笛を持った赤毛の男がいた。果たしてその男は笛をバチにしてアカペラで歌いだす…。やがて胡散臭い芸能事務所(ガリクソンプロダクション)に成り行きで籍を置くことになった清彦。だが「ギター科」に入ったつもりが、なぜか「ふえ科」に。教室の中で清彦を待っていた講師は、先日のバンドオーディションで出会った赤毛の男、ジャガージュン市(要潤)だった…。

細かいナンセンスギャグが次から次へと脈絡なく飛び出すので、爆笑爆笑また爆笑というわけにはいかない。したがって原作を未読な方は世界観に入り損ね、耐えられないほどの寒々しさを味わう危惧もある。だが、そこを乗り越えて画面の中にダイブできたなら、必ずやツボにはまるシーンやキャラと出会えるだろう。筆者の場合、それは小木博明(おぎやはぎ)演じる忍者のハマー。まったく韻を踏んでないぎこちないラップはもちろん、道ですれ違っただけで一目ぼれをした美鈴(西村理沙)を“ジャガーさんのジャガー”で併走しながらナンパする場面は抱腹絶倒だった。マッコイ斉藤監督曰く、ここはすべてアドリブ。そのあまりのグダグダぶりを見たジャガー役の要潤が必死に笑いをこらえているのがバッチリ映っている。

その他、影千代先輩(板尾創路)とのシークエンスも秀逸。テレビではお目にかかれない小木×板尾というコラボは、お笑いファン必見だ。昨今のマンガ実写化ブームとはいい意味でも悪い意味でも一線を画す世紀の迷作。「残念」と「がっかり」を前提に、ぜひとも鑑賞して頂きたい。

映画に登場する車たち

ジャガー Xタイプ(2006年型)

とある経緯で大金が入りそうになったジャガーさんが、ぜんぜん必要ないのに調子に乗って買った白い高級車が、2001年2月のジュネーブ・モーターショーでデビューしたジャガー Xタイプ(4ドアセダン)だ。ディーラーではボンネットに頬ずりをするほどジャガーが大好きなようで、いつでも(ハマーたちに命じて)ピカピカに磨き上げられている。そんなに大事にしていたにもかかわらず、カギを付けっぱなしにしていたことからあっさり盗まれて…。このXタイプは2Lクラスなら新車でも400万円前後と、M・ベンツCクラスやBMW3シリーズなどのライバル車と比べて比較的お手ごろな価格となっている。

Text/伊熊恒介