DSオートモビル DS3クロスバックE-TENSE▲2020年7月に登場した新型DSオートモビル DS3クロスバックE-TENSE。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏による公道試乗の模様をレポート

フレンチラグジュアリーブランド初のEV

「DSオートモビル」というブランドをご存じだろうか。

2009年からシトロエンの高級ブランドのひとつとして作られ、2014年より独立したプレミアムセグメントの自動車ブランドとして生まれたまだ若いブランドである。プレミアムブランドに認知されるには、少なくとも10年以上、変わらぬ方向性を示していくことが必要であろう。

そういった意味では今回試乗したDS3クロスバックE-TENSE(イーテンス)は、日本におけるブランド力を一気に高めるエッセンスかもしれない。

量産車の場合のE-TENSEは、電気のみを動力源とするピュアEVモデルを指す。今回はDSブランドとして初めて日本に導入する、DS3クロスバックE-TENSEに試乗した。

DS3は様々なタイプがあるが、今回試乗したのはDS3クロスバックというコンパクトSUVに、ピュアEVとしてのコンポーネントを搭載したモデルである。PSA CMPプラットフォームという次世代のプラットフォームで、同グループのプジョー e-208ともに基本的には同様のものだ。
 

DSオートモビル DS3クロスバックE-TENSE ▲外観はガソリンモデルのDS3クロスバックとほぼ同じ
DSオートモビル DS3クロスバックE-TENSE ▲大きなフロントグリルが特徴的
DSオートモビル DS3クロスバックE-TENSE ▲ボディサイズはメルセデス・ベンツ GLAクラスより若干小さく、マツダ CX-3と同程度

コンパクトSUVらしからぬ質感

試乗コースは、横浜みなとみらい周辺だ。

スタイリングは、シトロエンの歴史的なモデルに負けないエスプリを感じさせる。

そして、乗り込むとまず感じるのは、質感の高さである。特にインテリアへのこだわりは、このクラスとしては凝りに凝っているという印象だ。座ってあたりを眺めると、近代的な雰囲気のラウンジとノスタルジーが交差する。

DSオートモビルに限ったことではないが、プレミアムモデルではスイッチ類の使い勝手が特徴的なことがあり、このDS3クロスバックE-TENSEもそうであった。スタートスイッチを入れて、ガソリンモデル同様のセレクターをDに入れてスタートする。
 

DSオートモビル DS3クロスバックE-TENSE ▲随所にダイヤモンドパターンの意匠が施されたインテリア
DSオートモビル DS3クロスバックE-TENSE ▲シートのステッチにもこだわりがみられる

EVでも受け継がれる乗り心地

細かな石畳の試乗会場をゆっくり走らせる。モーターの性質上、トルクは始めからマキシマムでの供給が可能なのでコントロールが難しい場合もあるが、PSAグループのアクセレーションは乗り心地同様に柔らかい発進が可能だ。

低速でも、路面の凸凹がもたらす揺れをサスペンションがしなやかな吸収しているのがわかる。このブランドならではの独特な乗り心地が楽しみになる。

公道のアスファルトに出ると、静粛性がとても高いことがわかる。エレガンスな乗り心地と静粛性だ。

良質なマテリアルのシートと相まって、上品さを際立たせる。ノーマル、エコ、スポーツというモードがあるが、市街地ではノーマルとエコでも十分な加速感がある。

加速は静かで鋭い。優しくおしとやかな雰囲気が好みなら、エコモードでどうぞといった印象だ。

ガソリンモデルに比べると300kgほど重量がかさむので、コーナリングはいかがと思っていたが中高速のカーブともに非常に安定感があった。そして、なによりも乗り心地が抜群だ。

ベイブリッジで横風を受けるが、コンパクトSUVとは思えないほどどっしりとした安定感がある。
 

DSオートモビル DS3クロスバックE-TENSE ▲ヘッドライトまわりは、カーブとスクエアが絶妙に織り交ぜられたデザイン
DSオートモビル DS3クロスバックE-TENSE ▲キーをオープンにすると出現するドアハンドル

同じEVモデルとも一線を画す乗り心地

バッテリーEVは、とかくブレーキコントロールが難しい傾向にあるが、唐突な制動力もなくリニアで扱いやすい。若干、中間のコントロールで制動力が大きくなる部分もあるが、全般的に完成度は高い。

他にはない乗り心地とデザインに突出したピュアEVといっていい。

コンサバティブなEVとは一線を画したDSオートモビルの初のピュアEVは、FFコンパクトSUVながらも乗り心地と静粛性は上位のモデルに襲い掛かる雰囲気をもつモデルだった。
 

DSオートモビル DS3クロスバックE-TENSE ▲EVモデル第1弾は、しっかりとブランドが体現されていた
文/松本英雄、写真/尾形和美
 

【試乗車 諸元・スペック表】
●DS3クロスバックE-TENSE グランシック

型式 ZAA-D34ZK01 最小回転半径 5.3m
駆動方式 FF 全長×全幅×全高 4.12m×1.79m×1.55m
ドア数 5 ホイールベース 2.56m
ミッション その他AT 前トレッド/後トレッド 1.54m/1.55m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 1580kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 不明 最低地上高 0.19m
マニュアルモード -    
標準色

ブラン バンキーズ

オプション色

クリスタルパール、ノアールペルラネラ、ブルー ミレニアム、ウィスパー

掲載コメント

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型式 ZAA-D34ZK01
駆動方式 FF
ドア数 5
ミッション その他AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ブラン バンキーズ
オプション色 クリスタルパール、ノアールペルラネラ、ブルー ミレニアム、ウィスパー
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
不明
マニュアル
モード
-
最小回転半径 5.3m
全長×全幅×
全高
4.12m×1.79m×1.55m
ホイール
ベース
2.56m
前トレッド/
後トレッド
1.54m/1.55m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1580kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.19m
掲載用コメント -
エンジン型式 ZK01 環境対策エンジン -
種類 電気モーター 使用燃料 電気
過給器 - 燃料タンク容量 -リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 -cc 燃費(WLTCモード) -
燃費基準達成 -
最高出力 136ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
260(27.5)/3674
エンジン型式 ZK01
種類 電気モーター
過給器 -
可変気筒装置 -
総排気量 -cc
最高出力 136ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
260(27.5)/3674
環境対策エンジン -
使用燃料 電気
燃料タンク容量 -リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) -km/L
燃費基準達成 -
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。