第5回：『ワイルド・レーサー3』 【映画の名車】

■イギリスでも日本車が空前のブーム？

チューンナップされたモンスターマシンの競演で大人気の『ワイルド・レーサー』シリーズの第3弾が到着。とはいえ完全に単体で独立した映画なので前2作をご覧になっていない方もご安心を。

最新作の舞台はイギリス。自ら改造を施したフォード・マーキュリー・カプリでストリートレースに明け暮れる貧乏学生のブレント（カール・デイビス）は、ある夜、ゴスなファッションに身を包んだ黒髪の美少女オフィーリア（ローレン・ステヴェントン）と運命的な出会いを果たす。だが、オフィーリアには退廃的な雰囲気をもつ人気ミュージシャンの彼氏がいた。また、ブレントにも妊娠中の彼女が……。それでもオフィーリアに猛アタックを開始するブレント。一方、レース熱も相変わらずで、凄腕と評判の男に挑戦状を叩きつけたブレント。ところが鼻つまみ者のチンピラたちに愛車を放火され、窮地に陥る。

バリバリのストリートカーレースムービーというわけではなく、恋愛映画にクルマが密接に絡んでくるといった風情。イギリス映画らしいダークな色調をベースにサブカルチャー描写がふんだんに取り入れられており、痛快さを期待して見るとやや肩透かしをくらうかもしれない。それでもイギリスの公道をチューンナップされた日本車が爆走するという新鮮な映像の数々は一見の価値アリ。あまり伝わってこないイギリスのストリートカーレース事情の一端がうかがえるという意味でも貴重な資料だろう。


DVD『ワイルド・レーサー3』好評発売中！
07年・イギリス　監督・脚本＝マーク・ジェイ　出演＝カール・デイビス／ローレン・ステヴェントン／レイク・アンダーソン／フランク・ハーパー／ルーツ・マヌーヴァほか　発売・販売元：ジェネオン エンタテインメント　3,990円（税込）

＋＋＋映画に登場する車たち＋＋＋

■フォード・マーキュリー・カプリ

主人公、ブレントが駆るのは1979年に発表された2代目カプリ。初代カプリはドイツフォード製だったが、アメリカ独自のモデルとして生まれ変わった。プラットフォームはフォード・フォックス・プラットフォームを使用している。

■マツダRX-7 FD3S＋RX-8

多数登場するチューンナップされた日本車の中では、美女たちが乗り回すRX-8に注目。正面から見ると紛うことなきRX-8なのだが、サイドミラーとドアノブを見てもらえればおわかりのとおり、RX-7がベースになっているのだ。詳細は不明だが、FDのボディにRX-8の前部を接合したと思われる。

■日産 フェアレディZ(Z32)

愛車のカプリを失ったブレントが、大一番に臨むために一時的に友人から借りたのが黒いフェアレディZ32。4代目Zとして1989年に発表され、以降10年以上にわたって生産されたモデル。DOHCツインターボチャージャー（VG30DET）を搭載し、左右2系統の独立した吸気排気系システムをもつ贅沢な設計だ。