今回のテーマ

-次世代の車、燃料は何?-

レクサスの旗鑑LS600hがいよいよ発売された
5Lエンジン+モーターのハイブリッドシステムを搭載し、6L級のパワーそして、3L並みの燃費を実現している
急速にハイブリッド化の波は進んでいるが、化石燃料を使用することには変わりない
排出されるCO2による地球温暖化が叫ばれる中、次世代の車に求められるクリーンな燃料とは
一体何なのかを2人のライターに聞いてみた
松下 宏

30年後の次世代ではまだガソリンのはず
その後は水素を使って発電する方式が主流か


松下宏さん●自動車評論家
まつした ひろし
自動車のハード面だけでなく、お金にも強い評論家
小さくて、軽くて、燃費が良くて、安いほど良い車という持論をもっている

 次世代の燃料もガソリンか軽油だろう。石油などの化石燃料がなくなるから次世代の燃料を考えないといけないと言われているが、そんな風に騒がれれば騒がれるほど、この話は眉唾ものだなと思う。私が小学生の頃、石油は30〜40年でなくなると言われていた。それから40年以上たった今もで同じようなことが繰り返し言われている。
 なので今から30年後の次世代においてもガソリンが車の燃料として使われているのは間違いない。30年後になってもまだ、その時点から後30年で石油がなくなるという話がまことしやかに語られているはずだ。石油が30年でなくなるという話は、石油価格を吊り上げて好きなように儲けている連中が流している悪質なデマだと思う。
 とはいえ、石油がなくなる日はいつかは来るのだろう。ハイブリッド車に限らず、いろいろな努力で車の燃費をどんどん向上させたとしても、いつか石油を使い切る日が来るに違いないと言える。
 次世代というか、次世代のさらにその次に来るのが水素社会であるというのが大方の合意とされつつある。でもその水素をどう作るかが問題だ。化石燃料から水素を取り出そうなどというのでは話にならない。自然エネルギーを使って水素を作り、その水素で燃料電池を動かしたうえで、排出される水から再び水素を取り出すといった循環を実現できればそれが最も美しい未来になる。
 BMWやマツダの主張する水素を直接燃やす方式は、当面は有利な要素があるものの、内燃機関の効率の壁をどこまで破れるかが課題となる。長期的に見たら水素から電気の形でエネルギーを取り出す方法を選ぶことになるのではないか。バイオエタノールやGTL、メタンハイドレードなど、話題に上る燃料はいろいろあるが、今のところそれぞれに問題がある。