トランスフォーマーマニアかと思いきや、生粋のアメ車好き! ハンパないカマロ愛をもつ弱冠ハタチの女の子 ~クルマ “女子” き:Vol.8~
2019/11/17
自動車に移動手段以上の価値を見いだし、時間もお金も費やする、いわゆる「車好き」はほとんどが男性である。ゆえに大変貴重な「女性の車好き」、しかも男性顔負け(?)の偏愛ぶりを見せる女性を取材する企画。カーセンサーは車好き女子を、応援しています!
大きなカマロを操る小柄な女性
旧型のごっついシボレー カマロ。しかも映画「トランスフォーマー」に登場した「バンブルビー」をほぼ忠実に模した仕様。
……となれば、そのオーナーはクレイジーケンバンドの横山剣さんのような「ちょっと怖そうなおじさん系アメ車好き」か、もしくは映画マニアの「ちょっとオタクっぽいお兄さん」ではないかと想像してしまう。
だが実際のオーナーである谷中美奈海さんは、そのどちらでもなかった。弱冠20歳の、言ってみれば小柄でかわいらしい女性である。
「どうしてカマロを?」と尋ねるのも失礼な話だろう。なぜならば、男だろうが女だろうが、ハタチだろうが60歳だろうが、誰がどんな車を選ぼうがその人の自由だからだ。
とはいえ、どうしても「……なぜ、あなたがカマロを?」と(失礼ながら)思ってしまった筆者は、ご本人にズバリ聞いてみることにした。「ところで、なんでコレ買ったんですか?」と。
カッコいいっすね。これは2009年の12月にGMジャパンが発売したトランスフォーマー仕様の限定車ですか?
や、そうじゃなくて、前のオーナーさんが普通のカマロをご自分でカスタマイズしたものなんですよ。
てっきり谷中さんが「トランスフォーマーマニア」なのかと思ってましたが、そうではないんですね?
もちろんあの映画もバンブルビーも大好きなんですけど、「トランスフォーマーありき」ではなく「カマロありき」で探しはじめた結果、たまたまコレに巡り合った……みたいな感じですね。
なるほど。ていうか、こういうことをお聞きするのも大変失礼だとは思うんですが、なぜ、谷中さんみたいな若くてかわいくてちっちゃな女性が、ごっついカマロを好きになっちゃったんですか?
……その話はワタシが0歳のときまでさかのぼるんですけど、いいですか?
よござんす、じっくりうかがいましょう!
ウチの父がですね、昔っからアメ車とグアム島が大好きなヒトなんですよ。なのでワタシは0歳の頃からずっとV8エンジンのアメ車に乗せられていて、そして0歳の頃から毎年、家族でグアムに通ってたんです。
ほう。
なのでワタシにとって「車」というのは、ドロドロドロ~っていうエンジン音がするでっかい乗り物のことなんですよね。ぶお~んっていう軽いエンジン音がする、小さめの乗り物のことではなく(笑)。
「三つ子のアメリカンV8魂百まで」ってやつですね!
そんな感じです(笑)。で、小さい頃はワケもわからず父のアメ車の助手席に座ってたわけですが、中学生ぐらいになると「アメ車っていいなあ、カッコいいなあ。将来は自分も買いたいなあ」なんて思うようになったんですよね。
なるほどわかりました。そんなアメ車好きのお父さまが乗ってらした車が、歴代のカマロだった……ということですね?
それが違うんですよ。
へ?
父が乗ってたのはシボレーのタホとかアストロとか、エクスプレスだったんです。要するにフルサイズのSUVとかバンとか、あるいはせいぜいミニバンですよね。
じゃあなぜ、いつから、美奈海さんはカマロを好きに?
……あれは忘れもしない2017年の12月。父とワタシは毎年恒例のグアム島詣でに行ってたんですが、そのとき、現地の広~い駐車場に5台の新旧カマロが集まってたんです。たぶん、いわゆるオフ会みたいなことをしてたんだと思いますが。
ほう。それで?
で、ワタシはその光景を見た瞬間、まるで雷に打たれたみたいな衝撃を受けちゃったんです。「ななな、なんてカッコいい車たちなんだ!!!」って。
映画「ブルース・ブラザース」でジョン・ベルーシが天啓を受けたシーンみたいな感じですかね……なんて無駄口はさておき、それでどうしたんですか?
一緒にいた父のことを放り出して、その人たちのところに走っていきました。といってもワタシは英語がそんなにしゃべれないんで、普段は父に通訳をしてもらうんですが、そのときはもう自分がしゃべれないことも忘れて(笑)。身振り手振りとカタコトの英語で「これ、なんていう車ですか?」「カッコいいですね!」「写真撮らせてください!」「エンジンルームの中、見せてもらっていいですか?」みたいな感じで話しかけて、すっかり仲良くなっちゃいました。
グアムのカマロマニアのおっさんたちも、嬉しかったでしょうね。異国の女の子が、自分らの車に対していきなりそんなに盛り上がってくれて。で、その後すぐにこのカマロを買ったんですか?
はや~、そのときはまだ学生だったので残念ながら買えずで、家にあった母のお下がりの車(US仕様のトヨタ bB)を運転しながら悶々としてましたよ(笑)。あとは、また再度グアムに行ったときに、カマロはなかったんですがマスタングのレンタカーはあったので、それを借りて「左ハンドル修業」をしてみたりして(笑)。
そんなこんなで悶々とした日々を過ごしたのち、やっと社会人になって、やっとカマロを買えた、と。
「ですね。結局買えたのは今年の5月でした。さっきも言ったとおり最初からこのバンブルビー仕様ですっごくかわいかったんですが、さらに自分っぽくしたかったのでソッコーでマフラーを替えて、サイドマーカーも黒にして……みたいにちょこちょこ手を加えました。
約1年半前にグアム島で「衝撃」を受け、その後は脳内だけでカマロを愛でていたと思うのですが、実際に手にしたカマロはイメージどおりでしたか? それともちょっと違いましたか?
いや~、イメージどおり最高でしたね! 乗ってるときはワタシ、いつもニヤニヤしちゃってますし(笑)。
カマロのどんなところが好きで、思わずニヤニヤしちゃうんですか?
動力性能とかエンジンフィールとかも好きなんですが、いちばん好きなのは「カタチ」ですかね。全体としてはマッチョでクールなんですが、目玉(ヘッドランプ)は妙にかわいかったり……。とにかくかわいいんですよ。カッコいいのにかわいい、と言いますか。
現状の「カタチ」も十分気に入っているが、もっともっと「自分ならではのカタチ」に変えていきたいと言う谷中さん。
具体的には、近日中にブレーキキャリパーを濃いブルーに塗装し、その後はたぶん、ルーフ部分にカーボン調のラッピングを施すだろうとのこと。「あとは、乗りづらくなるかもしれないけどリップスポイラーはぜひ付けたいですねえ」とも。
機能系のパーツ以上に「ビジュアルの改変」にこだわるあたりは、なんと言うかまあ「女性ならでは」なのかもしれない。
だがそんなこと以上に、とにかく目をキラキラさせながら、マニアックな自動車専門用語を自然に駆使して「カマロ談義」「モディファイ談義」にふける谷中美奈海さんを見ていると、「何かを真剣に好きになる気持ちに、男も女も、そして年齢も、とりあえず関係ないわな」という世の中の真理には、あらためて気づかされた筆者なのであった。
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。
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