ルノー カングービボップ【新型車】
カテゴリー: ルノーの試乗レポート
2010/09/24
アンチ日本市場? アンバランスさが愛おしい実物大チョロQ
↑カングー比で全長はマイナス345mm、ホイールベースはマイナス390mm。50kgの減量も実現(左) 航空機をイメージしたサイドブレーキやインパネ回りはカングーのインテリアを受け継いだもの。シートカラーはレッド+ダークブラウンのみ(右)
ざっくり言えば、昨年秋に国内導入された2代目カングーをベースに、全長を345mm、ホイールベースを390mm切り詰め、後席2枚のドアを省いた3ドア版ミニ・カングーがこのビボップだ。バンパーなどの意匠は変わっているものの、全幅1830mm、全高1840mmと正面から見れば前面投影面積はほぼカングーそのままなわけで、エルグランド、アルファードなど全長5m級ミニバンにも迫る。正直デカイ。ところが切り詰められた全長は4m切りの3870mmで、こちらはマーチ、ヴィッツ級。2トーンのカラーリングも相まってこのアンバランスさがなんとも愛らしい。実物大チョロQといった趣だ。
ふんわりと体を包みながらも、芯のしっかりとしたフランス流のシートもカングー譲りのもの。なぜドイツ車も日本車もこういうシートが作れないのか? と思わせられる出来だ。後席もあえての独立した2座で、レッグルームは驚くほど広い。
足のさばきは、ホイールベースが短く、タイヤが65扁平の15インチから60扁平の16インチにサイズアップされたことからも想像されるように、カングーよりも少しキビキビとスポーティになった。しかし、突き上げがキツイとか、しなやかさが失われたといった印象ではない。相変わらずのルノー的味つけはいい塩梅である。
↑総面積3.9m2を占めるガラスエリア。前方のガラスルーフは手動式(左) リアのルーフはワンタッチで開閉できる(右)
おしゃれで楽しい魅力がいっぱい
唯一気になったのは、動力性能。特に上り坂ではいささか力不足な印象だ。5MTのみの設定でもあり、選ばれしドライバーが運転するわけだから、タコメーターをにらみパワーバンドを駆使して走らせれば良いと考えることもできるが、その回転域だと少々うるさい。初代カングー+同じ1.6Lエンジンの組み合わせが絶妙だっただけに、ちょっともの足りなく感じてしまう。しかし、この車のハイライトは、コンセプトカーまんまのスタイルの具現化にこそある。フロント、センター、リアの3パートに分かれたガラスエリアは延べ3.9m2にも及ぶ。屋根の約3分の1を占めるリアパートは、なんと前方にスライドして大きく開口。リアゲートのガラスも開閉可能で、後席はさながらオープンテラスだ。
ATの設定がない、4ドアじゃない、今時の日本じゃ不利な条件ばかりに思えるが、それを補って余りある創造性が込められている。子育て世代もぜひ注目。子供が喜んでリアゲートから乗り降りするはずだ。
SPECIFICATIONS
主要諸元のグレード | ベースグレード | |
全長×全幅×全高(mm) | 3870×1830×1840 | |
車両重量(kg) | 1370 | |
エンジン種類 | 直列4気筒DOHC | |
総排気量(cc) | 1598 | |
最高出力[ps/rpm] | 105ps/5750rpm | |
最大トルク[kg-m/rpm] | 15.1kg-m/3750rpm | 車両本体価格 | 234.8万円 |
ルノー カングービボップ【新型車】/試乗レポート
あわせて読みたい
- 【トヨタ タンクの中古車を買うなら?】オススメの選び方や相場、グレードなどを徹底解説
- 【試乗】新型 日産 ノート|市販モデルではプロトタイプのネガ部分が消え、スタビリティの高さが際立った
- 9年連続エンジン・オブ・ザ・イヤー2.0~2.5L部門賞を受賞した「2.5L直列5気筒TFSIエンジン」搭載の狙い目モデル3選
- 【試乗】新型 フォルクスワーゲン T-Cross│「TさいSUV」はハッチバックよりもどこが欲張りか? 実際に乗って考えた
- 今はもう中古車でしか味わえない高純度FR、国産を代表するミドルセダンのレクサス GS【Back to Sedan】
- 掲載率1%未満! 大人気コンパクトカーの2代目日産 ノートを狙うなら、激レアグレードも要チェック!
- 元教習指導員オススメ! 総額100万円以内で買える“脱ペーパードライバー”にぴったりなモデル【SUV編】
- 【試乗】新型 アウディ A1 スポーツバック│エントリークラスの常識を覆す数々の装備は、ハッチバックの可能性を大きなものに!
- 先々代ルノー ルーテシア ルノー・スポールは「フランス車好き」にとっては最後の楽園か?【NEXT EDGE CAR】
- 【名車への道】’11 アバルト 695 トリブート・フェラーリ