この、“驚異的な四肢の食いつき"はなんなんだ!?”

↑モータースポーツで培ったノウハウが、数多く取り入れられている(左)インパネ中央には加速度Gなどを表示するR . S .モニターを採用(右)
ルーテシアにしろ、このメガーヌにしろ、ルノースポールが一部車好きから熱狂的に支持されるワケは、ホットハッチなどという安易な言葉では言い表せないほどに“変態的”なファン・トゥ・ドライブへの執念が詰まっているからだ。

その異様なまでの追究心は、BMWのMやポルシェといったスポーツブランドにも匹敵している。

特にメガーヌにおいては、旧型でも、ハイパワーエンジンのみならず、ベース車とはまるで違うフロントサスペンションシステムを押し込んでいたりして、徹底的かつ決定的な走りへのこだわりが満載であった。

一転、華やかなクーペスタイルになった新型メガーヌ ルノー・スポールにおいても、その方針は貫かれ、もちろんさらに磨きもかかった。エンジン出力が上げられ、例の前ダブルアクスルストラットサスも軽量化が図られたのだ。ちなみに、日本仕様はよりハードな仕立ての“シャシーカップ”となる。前LSDが標準で組み合わされた。

新たに加わった面白い装備がR.S.モニターである。ブースト圧や前後左右の加速Gなど10項目のデータをリアルタイムでモニタリングできる装置だが、アクセルペダルマッピング機能も付く。踏み込み量と開度の関係を好みで5段階調整できるというものだ。最も感度が低いのはスノー、高いのはエクストリームである。
  • ルノー メガーヌ ルノー・スポール フロントシート|ニューモデル試乗
  • ルノー メガーヌ ルノー・スポール ホイール|ニューモデル試乗
↑専用レカロシートを標準装備。パーキングブレーキは手動式(左)タイヤサイズは235/40R18(右)

走りへのこだわりは半端じゃない!

さて。レカロスポーツシートに腰をはめ込み、イエローステッチのレザーハンドルを握り締めて、スタートしよう。

最初の興奮は音だ。サウンドパイプ越しに聞こえてくるエンジン音は、古典的ながらドライバーを“その気”にさせるもの。十分な圧もあって、身体に心地よく響く。

グッドサウンドにより増幅されるのが加速とハンドリングファンだ。低回転域からノーズをぐいぐい引っ張るトルクが導かれ、フロントアクスルがそれを上手に路面へと伝える。その、一連の動作に澱よどみというものがない。キレ味鋭く、かつ、頼もしい。自然な手ごたえとなってハンドルからドライバーへと伝わってくる。それだけで楽しいから、別段目を△にして飛ばさなくても、いい車だなあと思えるわけである。

それにしても、目を△に飛ばしてみた(どうしてもそうしたくなるのだ)際の、驚異的な四肢の食いつきは一体なんなんだ!? シロッコRと双璧をなすシャーシの出来映えであると言っていい。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード ベースグレード
全長×全幅×全高(mm) 4320×1850×1435
車両重量(kg) 1430
エンジン種類 直列4気筒DOHC+ターボ
総排気量(cc) 1998
最高出力[ps/rpm] 250ps/5500rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 34.7㎏-m/3000rpm
車両本体価格 385万円
Tester/西川 淳 Photo/向後一宏