新型ミニコンバーチブル極寒での試乗会 【試乗by西川淳】
2009/03/03
毎日オープン、どこでもオープン、のノリで楽しもう
2月の第一週に訪れたオーストリア、飛行機から降り立つと雪だった。にもかかわらず、現場のスタッフに悲壮感はない。むしろ、この状況にあっても笑顔が絶えない。ここまでの冬支度はしてこなかったよ、と表情が険しくなる一方の取材陣に、でっかいダウンジャケットが手渡された。このありえない、という状況にこそ新型ミニコンバーチブルのコミュニケーションテーマはあったのだ。“Always Open"。できるだけ幌を上げて楽しむのがオープンカーの醍醐味、というわけで積雪地帯での試乗会という舞台設定。
とはいえ、降りしきる雪の中、いきなりオープンにして走り出すのはさすがにためらわれる。泥を盛大に被り合うプロモーションビデオを見てもなお、室内を雪にさらすのは気が引けるもの。クローズドでの走り味を確認することも我らの役目なんて大義名分を掲げ、まずはそのまま走り出した。もちろん、スタッドレスタイヤである。そのせいもあってか、乗り心地は旧型コンバーチブルはもちろん、現行ミニよりもいい。
ゴーカートフィールが薄まった現行型だが、それ以上に、いい意味で“フツー"に走ってくれる。ソフトトップのオープンカーで、特に小さいモデルではクローズド時に不快なきしみ音が出たりするものだが、それもない。いたって快適。助手席に乗っていてもそう感じる。オープンカーであることを忘れてしまいそう。試乗車はクーパーSベースだったので、パフォーマンスは十二分だ。もっとも、雪のなかフルスロットルしてのガンガン走りは試せない。動き始めのトルクのノリや、ウエット路面での中間加速などで、不満を感じることはまるでなかった。
後方視界が劇的に良くなっている。旧型では太いロールバーが邪魔をして、ただでさえ狭いリアウインドウからの視界を妨げていたものだが、今回は新しい構造の格納式ロールオーバーバーを採用している。外国人チームが、室内を雪浸しにして戻ってきたのを見て、やっとオープンにする気になった。隣でワタナベトシフミ君が「ええええ
開閉はもちろんフル電動で、要する時間はおよそ15秒。スライディングルーフ機能が付くのは旧型ゆずり。構造的にはほとんど変わっていないようだ。開けると同時に、シートヒーターを入れる。さっと暖まってくれるのが嬉しい。この早さ、国産車には望めない。アメ車のクーラー同様に、生き死にかかわるという意気込みの違い?トップを開くと、エアコンもオープン対応へと自動的に切り替わる。
ウインドウリフレクターを立て、サイドウインドウを上げて走り出す。タウンスピード前後なら、風の巻き込みはほとんどなし。頭上がわずかに冷たく感じる程度で、なるほどこれなら雪が降っていてもおかまいなしに楽しめる。雪の中でのオープンという非日常が文句なしに楽しい。なるほど、これが狙いだったか。
乗り心地は、さらに良かった。余計な力みが抜けて妙に気分がいい。もちろんきしみもなし。迫力のエグゾーストノートが気分を盛り上げる。
せっかく(同じミニでも高い金額を出して)オープンカーを買ったのだから、できるかぎりオープンにして楽しまなきゃ損。そんな当たり前のことを、改めて教えてくれる。その夜、プレゼンテーションも屋外雪の中、にはちょっと驚いたけれども。いやあ、徹底していました。
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