乗り手のライフスタイルで決まると言っても過言ではないオシャレカー

(Tester/島崎七生人 Photo/篠原晃一)

コンセプト
往年モデルの雰囲気を再現、贅沢な非実用車

ミニ ミニ クラブマン フロント|ニューモデル試乗ミニ ミニ クラブマン リア|ニューモデル試乗ミニ ミニ クラブマン インパネ|ニューモデル試乗
 ハッチバックに対しホイールベースが80mm長く、全長は240mm延ばしてある。そう位置決めしたうえ、ボディ右側面(世界共通)のドアをダブルヒンジ式にし、バックドアを加えエステートに仕立てたのが、このクラブマンだ。
 メーカーの主張は「シューティングブレーク」。要はただの実用ワゴンを作ったのではないということだろう。ワゴンにしては高価だし、ラゲージ容量を自慢するわけでもない。しかし昔のクラブマンエステートの雰囲気を再現し、両開きで“斜め上”に向かって開くバックドアは、何とも贅沢であることは確かだ。
 クラブマン専用のボディカラーや、ピラー部分の色が複数選べるなど、カスタマイズ領域の組み合わせパターンは星の数ほど。

室内&荷室空間
確実に広くなった後席、ユニークなドアにも注目

ミニ ミニ クラブマン フロントシート|ニューモデル試乗ミニ ミニ クラブマン リアシート|ニューモデル試乗ミニ ミニ クラブマン ダブルドア|ニューモデル試乗
 ボディが低いから、やや腰をかがめる姿勢でバックドアを開けることになる。小さく贅沢なドアは、玉手箱を開ける気分。鞄一つで精一杯のハッチバックと違い、後席を使用した状態でもラゲージスペースは十分に実用になる。当然、後席を倒せば広くなるが、シート背面とラゲージ床面との段差が生じないのがハッチバックとの違い。ドッグキャリアの搭載などにも便利そうだ。
 後席へは、例のダブルドア側からなら、大人でも前席を倒さずに乗り込める。後席は“体育座り”を要求されるハッチバックより足元に余裕があるのが嬉しい。
 運転席回りは、基本デザインは見慣れたミニのそれ。巨大なメーターはイイのだが、カーナビ装着に不向きなのが残念。

ドライブフィール
ミニらしさは残しながら、やや穏やかな味つけ

ミニ ミニ クラブマン 走り|ニューモデル試乗ミニ ミニ クラブマン バックドア|ニューモデル試乗ミニ ミニ クラブマン ラゲージ|ニューモデル試乗
 車重は成人男子1人分、ハッチバックより重い。そのせいか、ハッチバックより出足の加速がわずかに緩慢に感じる(クーパーの場合)。ただしスピードが乗ればストレスはないし、よりハイパワーなクーパーSなら生きがいい。
 ハッチバック同様にゴーカート感覚というハンドリングは、ステアリングを切った初期の応答がやや穏やか。小さな車ではホイールベース延長の影響は小さくないのかもしれない。
 乗り心地は、実はハッチバックよりも締まって感じた。先代のランフラットタイヤ装着車と同じくらい。ただし、ホイールベースが長く、車重もある分、ピッチング方向の動きがおおらかで、目線が揺さぶられない分、乗り味がおっとりと感じられる。

こんな人にオススメ

現行ミニ自体セルフカバー。けれどクラブマンなどと名づけられたら、昔のミニの時代を知っている車好き(=オジサン)なら、明らかにササりそうなので注意が必要だ。若いユーザーにあっても、センスのいい革シートなども選べるし、“ココロの贅沢”が味わえる車で、ワゴンであるが実用車卒業生にも乗りこなしてほしい。
主要諸元のグレード クーパーS
駆動方式 FF
トランスミッション 6AT
全長×全幅×全高(mm) 3960×1685×1445
ホイールベース(mm) 2545
車両重量(kg) 1270
乗車定員(人) 4
エンジン種類 直4DOHCターボ
総排気量(cc) 1598
最高出力[kW(ps)rpm] 128kW(175ps)/5500rpm
最大トルク[N・m/rpm] 240N・m/1600~5000rpm
ガソリン種類/容量(L) 無鉛プレミアム/50
車両本体価格 331万円