アウディ A8ハイブリッド(松本英雄)【ニューモデル試乗】
カテゴリー: アウディの試乗レポート
2013/05/16

A8ハイブリッドは静々と走るためのモデルである。クリーンな気持ちで乗ることが大切で、それを具現化した提案でもある。排気量に魅力を感じない社会環境に関心のある方にうってつけのモデルといえる
フロントドライブで乗る最高峰のクオリティ
市街地では静かで優雅の一言
アウディ A8ハイブリッドはFFでは最高峰の質感を醸し出す高級車である。アルミ合金のパネルを巧みに使った張り出した面と繊細な造形からは、威風堂々としたドイツらしさが伝わる。そこにまさかの2Lターボユニットを搭載したモデルが今回紹介するA8ハイブリッドだ。
A8では最も価格を抑えたモデルだが内外装は文句のない造りだ。試乗したのは専用色のシルバー、地味ではあるが存在感がある。
高級車の静粛性とハイブリッドの恩恵もあり、時速40km/h以下の市街地では静かで優雅の一言である。
「見えないエンジニアリング」が急務
ただし発進は注意が必要だ。モーターを積極的に使うのは良いのだが、アクセレーションから動力に変換するプログラムが、日本のハイブリッドに乗り慣れているといささかぎこちない。トルクの出方がリニアではないセッティングなのだ。滑りやすい路面ではFFだけにホイールスピンしてしまう。アウディはクワトロ(4WD)に徹しすぎたようだ。
もうひとつ。フラッグシップの威厳を保つため乗り心地を良くしようとしたセッティングのせいで、加速するとリアの沈み込みが大きくフロントが浮き気味になる。結果としてフロントのアライメント変化が大きくなり不安定になる。また、エンジン再始動時の振動も気になった。
元来、縦置きのFFを得意としたアウディであったが、現在はエンジンの搭載位置などが4輪駆動あってのジオメトリーになっている。そのため、縦置きFFの良さがスポイルされているのではないか。
基本は申し分のない高品質なモノだけに、もう一歩、二歩の見えないエンジニアリングが急務である。
SPECIFICATIONS
グレード | A8hybrid | ||
駆動方式 | FF | ||
トランスミッション | 8AT | ||
全長×全幅×全高(mm) | 5145×1950×1465 | ||
ホイールベース(mm) | 2990 | ||
車両重量(kg) | 1930 | ||
乗車定員(人) | 5 | ||
エンジン種類 | 直4DOHCターボ+モーター | ||
総排気量(cc) | 1984 | ||
最高出力[ps/rpm] | 211/4300-6000+54 | ||
最大トルク[N・m/rpm] | 350/1500-4200+210 | ||
車両本体価格(万円) | 948 |
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