BMW 4シリーズクーぺ|ニューモデル試乗

スタートプライスは604万円から。そういう意味でもなかなかに大人な選択といえます。ただし真っ黒で味気ない内装を選んだのでは興ざめ。もう少々ワガママに「SPORT」や「LUXURY」グレードで、華やかな内装を選択したいところです

正しいクーペを選びたい方に

既成概念はすぐに間違っていたと気づく

「ほう、なるほど」。要は3シリーズのクーペでしょう。そういう既成概念にとらわれた思い込みは、乗るとすぐに間違っていたと気づく。

もちろん現行F30系3シリーズをベースにすることには違いないが、フロントアクスルにトーションバーを追加した専用サスペンションや、ボディの剛性強化、現行BMWで最も低い重心位置とうたうだけあり、ステアリングの応答性はとても素直だ。路面の大きな凹凸に対しても、ボディが素早く振動を吸収し、明らかに上質な乗り味をみせる。

エクステリアも3シリーズとの差異は一目瞭然。ホイールベースは同様ながら全幅は45mm拡大、それに合わせてトレッドも広げられ、全高は25mm低められている。

以前、BMW AGに在籍する日本人デザイナー、永島譲二氏がこの4シリーズのコンセプトモデルを見ながら、「いまのBMWのデザインはフラットな部分がどこにもなく、常にねじれた面で構成している」と言っていたが、まさに抑揚の効いたワイド&ローなプロポーションが実現されている。

まっとうなクーペを選ぶ事って、かっこいい

エンジンは、428i が2L直4ターボ、435iが3L直6ターボで、ともに8速ATを組み合わせる。試乗できたのは435iだが、アイドリングそこそこの1200回転から400N・mを発揮する。乗りやすさ、その気持ちよさに今さらな話だが、あらためて直6っていい、と思わされた。

また、BMWはことさらにアピールするわけではないが、いわゆる自動ブレーキも標準装備するし、完全停止から発進も可能なACC(アクティブ・クルーズ・コントロール)も用意してある。これも試してみたが、渋滞時などにとても便利な機能だ。

いまどきの4ドアクーペに「それクーペじゃないじゃん!」と心の声でつっこみを入れながら、いまこうしたまっとうなクーペを選ぶことって、かっこいいと思う。

エアロパーツやスポーツサスペンションなどを備えた、よりスポーティなキャラクターとなるMスポーツもラインナップする

エアロパーツやスポーツサスペンションなどを備えた、よりスポーティなキャラクターとなるMスポーツもラインナップする

先代3シリーズクーぺより全高が25mm低く、全幅は45mm拡大。前後のトレッド幅も拡大し、よりワイド&ローなスタイルに

先代3シリーズクーぺより全高が25mm低く、全幅は45mm拡大。前後のトレッド幅も拡大し、よりワイド&ローなスタイルに

現在の車速やナビゲーションの情報などをフロントウインドウに投影するヘッドアップディスプレイを標準採用している

現在の車速やナビゲーションの情報などをフロントウインドウに投影するヘッドアップディスプレイを標準採用している

SPECIFICATIONS

グレード 435i M Sport
駆動方式 FR
トランスミッション 8AT
全長×全幅×全高(mm) 4670×1825×1375
ホイールベース(mm) 2810
車両重量(kg) 1620
乗車定員(人) 4
エンジン種類 直6DOHCターボ
総排気量(cc) 2979
最高出力[ps/rpm] 306/5800
最大トルク[N・m/rpm] 400/1200-5000
車両本体価格(万円) 774
Tester/藤野太一 Photo/向後一宏