BMW i3|ニューモデル試乗

すべてにおいて最新鋭レベルにあるシティコミューターに、選ぶ人の“我儘”な側面などあるはずもない。あるとすれば、このサイズの車に500万円を支払うという環境意識の高い我儘だ! クラシックカーやスーパーカーといった我儘な車趣味の方にこそ勧めたいと思う。

毎日が新しく、そして楽しくなるコミューター

ちゃんとビーエムになっているじゃないか!

びっくりした。正直、乗る前は、RRだし、スマートのオバケみたいなもんだろうな、と想像していたのだ。それが、どうだ。ちゃんとビーエム=フロイデ・アム・ファーレン(駆けぬける歓び)になっているじゃないか!

iブランドの知識は人一倍持っていると自認するボクでさえ、この衝撃である。車好きの反応は推して知るべし。いやはや、バイエルンの走りへの執着って、やっぱりモノスゴイねぇ。

驚きの加速フィールとコーナリング

まず驚くのは加速フィールだ。くわっと腰が浮いて、そのままダーンと前へ蹴り飛ばされたかのような、まるでマンガのような加速で、まわりの景色が早送り画像のように流れ去っていく。それでいて、四肢の路面を掴んでいるという感覚がしっかりとステアリングホイールに伝わってくるから、安心してドライブを続けることができるというアンバイ。

次の驚きはコーナリングだ。これぞビーエムの真骨頂。前の軽さをみじんも感じさせない手応えで、クイクイ曲がっていく。シャープすぎず、かといってノロくもないステアリングのレスポンスは、ビーエムらしいというより、ビーエムのなかでも最高レベルに楽しい、と思った。

日本仕様は車高を低めるためにスポーツサスを履く。そのため、乗り心地の硬さを指摘する向きもあったが、ボクは一向に気にならず。たしかにフラット感は強めだし、コツンコツンコツンと一枚岩のフロアが反応するような場面もあったが、実は細かく面取りされたような硬さなので、内臓に響いて気持ち悪くなるような種類のものでは決してない。むしろ、80~90年代の質実ゴーケンなドイツ車フィールに親しんだ経験のある方ならば、好ましいと思えるくらいの程度だ。

そして、最大1.6m/ssの回生減速ゆえ、ブレーキを踏まずに走るラクチンさったら! これはクセになりそうだ…。

1回の充電で約130~160kmの走行が可能に。ECO PROモードで約180km、ECO PRO+で約200kmまで延ばせる

1回の充電で約130~160kmの走行が可能に。ECO PROモードで約180km、ECO PRO+で約200kmまで延ばせる

インテリアはシンプルで個性的なデザイン。随所にケナフを用いたベーシックなLOFT、ウッドやレザーのプレミアムなSUITEを用意

インテリアはシンプルで個性的なデザイン。随所にケナフを用いたベーシックなLOFT、ウッドやレザーのプレミアムなSUITEを用意

コラムシフト状に配置されたダイヤル式のシフトレバーを採用している。このシフト部分にスタート/ストップボタンも備わっている

コラムシフト状に配置されたダイヤル式のシフトレバーを採用している。このシフト部分にスタート/ストップボタンも備わっている

SPECIFICATIONS

グレード i3
駆動方式 RR
トランスミッション AT
全長×全幅×全高(mm) 4010×1775×1550
ホイールベース(mm) 2570
車両重量(kg) 1260
乗車定員(人) 4
エンジン種類 モーター
総排気量(cc)
最高出力[ps] 170
最大トルク[N・m] 250
車両本体価格(万円) 499
Tester/西川淳 Photo/ビー・エム・ダブリュー