BMW M135i 【海外試乗】

2012/09/05

高い＂Mスポ＂じゃない、リーズナブルな＂M＂

専用チューンされたシャシーやMスポーツサスペンションを採用。1シリーズ唯一の3ℓツインスクロールターボを積み、0→100㎞/h加速は4.9秒

BMW M社の新シリーズ、Mパフォーマンス・オートモビルによる日本向け第1弾がM135iだ。通常のMモデルと、ノーマルシリーズのMスポーツパッケージとの間を埋める役割が期待されているシリーズで、本国ではすでにディーゼルエンジンのM（M550dなど）を発表して日本でもマニアの話題となった。

要するに、既存シリーズのパワートレインやシャシーを可能なかぎり活用し、M社が独自のチューニングを施すことで、ノーマルモデルを大幅に上回った、Mモデルに近いパフォーマンスを、できるだけリーズナブルに提供しようという試み、というわけだ。そこには、欧州でも多かれ少なかれ若年層のクルマ離れという問題を抱えていることが透けて見える。

日本仕様のM135iは、5ドアの8ATのみ。期待のMT導入は見送られた。性能・燃費ともに8AT仕様が6MT仕様を上回るのだから、仕方ない。

ホットハッチ最強＂まさにMのワザ＂

大型エアインテークを備えたフロントエプロンやリアエプロン、スポーツシートなど内外装もスポーティに仕立てられた

＂どうせ高いMスポやろ＂となめてかかった。エンジニアに対して、＂Mの堕落、中途半端だ＂と文句までたれた。ひとえにMに対する尊敬の念から出た言葉だったから、相手も苦笑いしつつ、＂試乗してからもう一度話そう＂と軽く流してくれたが…。試乗を終えM135i（3ドア）から降りるボクの笑顔を見て、待ち構えていた件のエンジニアは勝ち誇った顔をした。文句ナシに楽しい。

100％Ｍとは言えないまでも、Mスポ仕様とはまるで違う、高いパフォーマンスをみせてくれたのだ。荒々しいサウンドと野太いトルク、そして伸びやかなピークパワーに心を奪われた。間違いなく、ホットハッチ最強。

ハンドリングは痛快で、手応え/キレ味ともに自然で鋭く、ハンドルを回しているのがとにかく楽しい。旋回中やブレーキング時のリニアなアシの動きなど、まさにMのワザ。今度はボクが苦笑いする番だった。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード	M135i
全長×全幅×全高(mm)	4340×1765×1430
車両重量(kg)	1540
エンジン種類	直6DOHCターボ
総排気量(cc)	2979
最高出力[ps/rpm]	320/5800
最大トルク[Nm/rpm]	450/1300-4500
車両本体価格	549万円