【新型】三菱 eKクロス|SUVテイストを前面に押し出した新感覚軽ワゴン
2019/09/24
スズキ ワゴンR、ダイハツ ムーヴという軽自動車の定番モデル。
日産と三菱は、折半出資でNMKVという会社を設立し、共同で軽自動車を開発。それが軽の定番カテゴリーに投入した日産 デイズ/三菱 eKワゴンです。
その派生車として登場したのが日産 デイズハイウェイスター/三菱 eKクロス(eK X)です。
三菱は先代のeKシリーズではeKカスタムという派生モデルを販売していました。2019年3月のフルモデルチェンジで登場した新型では、派生モデルにSUVテイストを高めたeKクロスを用意。デイズ/デイズハイウェイスター以上に、差別化を図った車種展開となりました。
ちなみに車名のeKは初代が登場した2001年から使われる名称で「いい軽」を表しています。
【グレード】2つのNAとターボの3展開
新型eKクロスは3つのグレードを用意。デイズハイウェイスターは「プロパイロット」の有無を除くと2グレード展開ですから、より幅広い選択肢が用意されていることになります。
ベースグレードのMはエンジンが自然吸気(NA)に。
エアコンがマニュアル式になり、ホイールも鉄ホイール+ホイールカバーに。キーもキーレスオペレーションではなく一般的なキーレスエントリーになります。
eKクロスのスタイルを手に入れたいけれど、予算も極力抑えたいという人向けのグレードですね。
GのエンジンはMと同じNA。しかし、装備は15インチアルミホイール、キーレスオペレーションシステム、タッチパネル式フルオートエアコン、本革巻きステアリングホイールなど、カスタムモデルらしい豪華装備が標準に。
そして、ターボモデルのTもGと同様の装備が標準になります。
また、eKクロスには全グレード、減速時の運動エネルギーで発電してリチウムイオンバッテリーに充電し、蓄えた電力を使ってECOモーターを回してエンジンの補助駆動力にしたり、アイドリングストップなどに再利用するハイブリッドシステム(日産のスマートシンプルハイブリッド)が搭載されます。
▼新型ekクロス(2WD)の価格表(消費税8%込)
▼新型ekクロス(4WD)の価格・グレード表(消費税8%込)
【エクステリア】ダイナミックシールドを前面に押し出したスタイル
現行型アウトランダーが、2015年6月にマイナーチェンジしたときから採用された、三菱のデザインアイデンティティ「ダイナミックシールド」。
ライトを上下に分けて配置し、大型のフロントグリルで存在感を強調したデザインをeKクロスにも採用しています。
そこには、デイズやeKワゴンの面影はありません。
ボディ全体が四角いワンボックスタイプであることから、デリカD:5の弟分のような感覚にもなりますが、デザインのバランスはむしろeKクロスの方がまとまっているのではないかという気すらします。
軽自動車は1990年代から標準車と別にカスタムグレードを設定。人気を博してきました。
一方で、初期のカスタムモデルはどうしても“とってつけた感”がぬぐえず、ややチープな印象を受けたのも事実です。
そして軽自動車メーカーはそれぞれ独自の考え方で、カスタムモデルを開発。
軽ワゴンを見てみると、スズキはスポーティな雰囲気のワゴンRスティングレー、ダイハツは落ち着いた雰囲気の中にカスタムらしい迫力をプラスしたムーヴカスタム、ホンダは上質な雰囲気を意識したN-WGNカスタムをリリースしています。
日産はデイズハイウェイスターで高級感を演出。そして三菱は迫力のあるSUVテイストという新たな路線を提案。デイズ/eKワゴンファミリーの中でもコアな支持を得ています。
【インテリア】GとTで選べるオプションのシートがいい感じ
eKクロスのインテリアのシルエットは、デイズシリーズと共通です。
インパネ中央には9インチナビが収まるスペースがあり、横に伸びる直線的なラインを強調して広さを演出しています。
GとTは、オプションで合成皮革とファブリックを組み合わせたシートのチョイスが可能。ファブリック部分に赤、緑、ベージュなどがストライブ状に織り込まれたファブリックはシックで上質な雰囲気を醸し出しています。
新型eKワゴン/eKクロスは、デイズ同様に新開発のプラットフォームを採用。
Aピラーを運転席に近づける設計にしたことで、運転席からの見開き角度を広く設定すると同時に、ボンネットの見切り部分からバンパーまでの距離が短くなったことで、運転中の車両感覚がつかみやすくなりました。
さらに室内空間、とくに後部座席を広く設計できたことで、軽自動車とは思えない空間を感じながらドライブが楽しめます。
フルオートエアコンは、デイズ同様にタッチパネル式を採用。頻繁に使う温度調整は温度を上げるときと下げるときで異なる音を出すことで、運転中でも前方から目線をそらさずに操作状況を把握できるようにしています。
【運転支援システム】高速道路同一車線運転支援技術を搭載
デイズに軽初搭載された高速道路同一車線運転支援技術「プロパイロット」をeKクロスにも搭載。名称は「MI-PILOT(マイパイロット)」となり、GとTにパッケージオプション設定となっています。
また、「三菱e-Assist(イーアシスト)」と名付けられた先進安全装備パッケージが全グレード標準装備に。搭載機能は以下のとおりです。
フロントカメラで前方を監視し、前方車両や歩行者との衝突の危険があると判断した際にブレーキを制御して、衝突回避または衝突被害の軽減をアシストする「衝突被害軽減ブレーキシステム」。
駐車場などでのペダルの操作ミスをフォローする「踏み間違い衝突防止アシスト」。
高速道路などで車線からはみ出さないようにアシストする「車線逸脱警報システム」と「車線逸脱防止支援機能」。
ハイビームとロービームを自動で切り替える「オートマチックハイビーム」。
【価格】デイズハイウェイスターより高めだが、機能を考えると納得
新型eKクロスと先代eKカスタムのグレードの価格を比較すると、新型の方が3万円程度高くなっています。
先進安全装備が標準化され、スマートシンプルハイブリッドも搭載されていることを考えれば、新型の価格はお得な印象を受けました。
また、共同開発された日産 デイズハイウェイスターの価格は2WDで、ハイウェイスターXが146万9880円、ハイウェイスターGターボが154万9800円。eKクロスのGとTで比較すると、eKクロスの方が10万円弱高くなっています。
デザインはもちろん、装備内容も異なるので、どちらを選ぶかは好みを含めじっくり検討してみてください。
【エンジン・燃費】ロングドライブが楽しくなる走行性能が与えられた
新型eKクロスのWLTCモード燃費は、NAのMが21.2km/LでGが21.0km/L、ターボのTが19.2km/Lになります(いずれも2WD)。
搭載されるエンジンとCVTは新開発されたもので、ここにモーターのアシストが加わることで、信号待ちやバイパスの合流など、アクセルを踏み込む場所でもたつかずにグッと前に出てくれるのが頼もしい限り。
とくに停車状態からの加速ではフル乗車、あるいは重い荷物を積んでいる状態でない限り、NAでもストレスを感じることはなさそうです。
また、新型eKシリーズは、高速道路での走行性能が先代よりも大幅に良くなっているのがポイント。
これは新しいプラットフォームの剛性の高さと、それにより足回りの動きが良くなっていることの恩恵です。
eKクロスはパッケージオプションで、MI PILOT(日産はプロパイロット)を選ぶことができます。
アクセル、ブレーキ、そしてステアリング操作にシステムが介入するためには、ベースの安定性が良くないと、システムが車両を制御しきれない可能性も。そのため、日産と三菱の開発陣は基本性能を高めることにかなりの力を注いだはずです。
それが自分の運転で高速道路などを走るときにも、ふらつきが少ない、安定感のある操作性へとつながっています。
いまや軽自動車は普通車からのダウンサイジングを含め、家族のファーストカーとして多くの人が選ぶ時代。
買い物などの他、高速道路を使ってレジャーを楽しむ機会も多いでしょう。
MI PILOTのような運転支援技術を搭載したモデルを選ぶと、肉体的な疲労をかなり軽減してくれるはずです。
そして、高速道路を走る機会が多いなら、パワーに余裕のあるターボがオススメです。
eKクロスには、雪道やぬかるんだ道で片方の駆動輪が空転したときに、スリップした駆動輪にブレーキをかけることで路面をグリップしている駆動輪の駆動力を高める「グリップコントロール」を搭載。
この機能は、2WD/4WDともに全グレード標準装備となっています。
アウトドアテイストが高められたモデルだけに未舗装路を走るときに役立つのはもちろん、大雨などハードな気象条件の中で走行する際にも安心できる機能です。
【中古車】すでに新車より20万円近く安い中古車が出現
2019年9月現在、新型デイズは約160台の中古車がカーセンサーnetに掲載されています。
その多くは届出済み未使用車。
グレードは2WDのGが最も多く、次いでエントリーグレードのMが多くなっています。
また、ターボのTよりも4WDのGが多く流通しているのも、SUVテイスト溢れるeKクロスの特徴と言えるでしょう。
車両本体価格は、新車価格より10万~20万円ほど安くなっているものが多い印象。
MI PILOTが備わる届出済み未使用車の流通量は少なめ。
多くの人にMI PILOTの利便性を感じてもらうため、MI PILOTを付けた試乗車を準備しているディーラーもありました。MI PILOTが欲しい人はそれらが市場に出てくるのをまめにチェックしてみることをオススメします。
自動車ライター
高橋満(BRIDGE MAN)
求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、 音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、 心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。 愛車はフィアット500C by DIESEL
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