【新型】BMW Z4|BMWのオープンスポーツが約2年ぶりに復活
2019/09/27
BMWのライトウェイトオープン2シーターモデル、Z4がフルモデルチェンジ。2019年3月、日本でも発売が開始されました。
今から30年前の1989年、マツダが世に送り出したロードスター(当時はユーノスロードスターという名称)が世界中で大ヒット。そして世界中の自動車メーカーがライトウェイトスポーツに着目し、新型車を投入しました。
BMWはFRオープン2シーターのZ3を投入。後にZ3 クーペもラインナップに加わります。
そして2002年、Z3はZ4へとアップデート。2006年にはZ4 クーペも登場しました。
初代Z4はソフトトップを採用したロードスターモデルでしたが、2009年のフルモデルチェンジでは、電動メタルトップを採用したクーペカブリオレに。これを機にZ4クーペは廃止となりました。
2代目Z4は2016年12月まで日本で販売。そして2019年3月、待望の3代目Z4を登場したのです。
【グレード】2Lターボと3Lターボ、2つのエンジンを用意
新型Z4には最高出力145kW(197ps)/4500rpm、最大トルク320N・m(32.6kg-m)/1450~4200rpmを発揮する2L直列4気筒ツインパワーターボと、最高出力250kw(340ps)/5000rpm、最大トルク500N・m(51.0kg-m)/1600~4500rpmを発生する3L直列6気筒ツインパワーターボ、2種類のエンジンが用意されました。
2Lにはsドライブ20i、sドライブ20iスポーツ、sドライブ20i Mスポーツの3種類を用意、3LはM40iになります。
sドライブ20i MスポーツはMスポーツサスペンションが装着される他、オプションで電子制御ダンパーを備えたアダプティブMスポーツ・サスペンションを選ぶこともできます。
M40iはアダプティブ Mスポーツサスペンションが標準装備に。さらにコーナリング後の加速性の向上や安定性などを飛躍的に向上させるMスポーツ・ディファレンシャルが搭載されています。
▼BMW Z4の価格・グレード表(消費税8%税込)
【エクステリア】ワイド&ローなスタイルを強調
新型Z4がトヨタ スープラとアーキテクチャを共用していることは、スポーツカー好きの方ならご存じでしょう。
最大の違いは言うまでもなくスープラがクーペなのに対し、Z4がオープンモデルなこと。
さらに、先代Z4がメタルトップのクーペカブリオレだったのに対し、新型Z4はルーフに幌を採用。ここにはスープラとの差別化という狙いが見え隠れします。このソフトトップは50km/h以下の走行中でもわずか10秒で開閉可能です。
そしてロングノーズショートデッキというFRスポーツの王道的なスタイルを継承しつつも、先代と比較すると全長は85mm長くなりましたがホイールベースが25mm短くなり、一方で全幅は75mm拡大されトレッド幅も拡大。
よりワイドなスタイルへと変貌しました。
このスタイルは、トヨタのスープラ開発陣からの強い要望があったといいます。
フロントフェイスのキドニーグリルは大型化。中はメッシュデザインになっているのが大きな特徴です。
ボディサイドには、フロントのホイールハウスに流れた空気を後方へと放出するエアブリーザーの存在感が際立ちます。
先代までのラグジュアリーさを継承しつつも、よりスポーツカーらしさが強調されたのが新型Z4と言えるでしょう。
【インテリア】シンプルな造詣の中に高級な雰囲気が漂う
新型Z4のインテリアは、シンプルさの中から高級感がにじみ出るという、BMWらしいデザインに。
ダッシュボードやドアトリムに使われるソフトパッドの質感も高く、オーナーの所有欲をくすぐります。
3本スポークのステアリングはグリップ部が太く操作中にしっかり手になじむように配慮されたもの。
スポーツモデルらしいタイトなコックピットは、各種操作スイッチが運転中でもスッと自然に手が伸びる位置に配置されています。
インパネ中央には、10.25インチのコントロールディスプレイを配置。これは、センターコンソールにあるiDriveコントローラーだけでなくタッチパネルで直接操作可能。メーターも視認性に優れた10.25インチのデジタルメーターになります。
そして新型Z4にも、AI技術を活用し音声会話だけで車両の操作や各種情報へとアクセスできる、BMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントを搭載。起動は「OK、BMW」と話しかけるだけ。もちろん起動の言葉は自分好みに変えることもできます。
シートはヘッドレスト一体型のスポーツシートに。お尻を深く落とす着座位置と大きく張り出したサイドのサポートにより体をしっかりホールドしてくれるのはもちろん、低いドライビングポジションでも自然にドライビングできるよう設計されています。
【運転支援システム】BMWの先進技術を惜しみなく投入
新型Z4は、BMWコネクテッド・ドライブという総合テレマティクスサービスが標準装備されます。
これは車載通信モジュールにより、ドライバー、車、様々な情報をITネットワークでつなぐことで、「もしものときに備える万全の安全性」、「カーライフを進化させる革新の利便性」、「充実の情報と最新のエンターテインメント」を提供するサービスです。
先進安全装備は、車線からはみ出しそうになったときにドライバーに警告するレーン・ディパーチャー・ウォーニング、死角にいる車両や追い越し車線を急接近してくる車両を認識してドライバーに知らせるレーン・チェンジ・ウォーニング、衝突回避や被害軽減ブレーキを備えた前車急接近警告機能、後方から接近する車を検知するクロス・トラフィック・ウォーニングなどが備わります。
【価格】トップグレードは先代よりも安い
新型Z4と先代Z4の最終モデル(2015年7月~)の価格を比較すると、ベースグレードとなるsドライブ20iで新型の方が約50万円ほど高くなっています。
輸入車は為替レートでも価格が変わるため単純比較はできませんが、先代に比べるとベースグレードの価格はかなり高くなったと言えるでしょう。
逆にトップグレードは新型Z4のM40iが835万円なのに対し、先代Z4のsドライブ35isは850万円でした。
【エンジン・燃費】凶暴な走りも、上品な乗り味も楽しめる
新型Z4のWLTC燃費は2Lターボが12.6km/L、3Lターボが12.2km/Lになります。
新型Z4の最低地上校はわずか120mm。当然、運転時のアイポイントも低く、運転席に座るとやる気が高まります。
ボディサイドから車を眺めると分かるように運転席は前後センターより後ろにあるため、コンパクトな2シーターモデルとはいえボディはかなり長く感じます。しかし、運転席からの見切りがいいので、取り回しやすさはかなり良好です。
トップグレードとなるM40iは最高出力250kw(340ps)、最大トルク500N・m(51.0kg-m)。このパワーを剛性感の高いボディとMのチューニングが施された足回りが受け止め、硬めながらも快適な乗り味を提供してくれます。
Z4は紛れもないスポーツカーですが、その神髄はコンフォート性にあると感じます。
まずは、圧倒的な静粛性。
ソフトトップのオープンモデルながら走行中の車内はとても静か。風切り音は気にならないし、ロードノイズもしっかり抑えられています。
路面の凹凸も上手に吸収してくれているので、よほどの道でない限り不快に感じることはないでしょう。
先代がクーペカブリオレでクローズ時の密閉性が高かっただけに、乗り替える人はソフトトップという部分が気になるところかと思いますが、走行時のラグジュアリーさはむしろ高まっていると感じます。
スポーティな乗り味を味わいながらも、プレミアムモデルらしい快適さを堪能させてくれる。そんな大人なオープンモデルという印象です。
しかし、ドライバーがその気になれば期待以上の反応をしてくれるのもZ4の魅力です。
ドライブモードをスポーツ+にしてアクセルを踏み込むと、抜けのいいサウンドとともにエンジンがレスポンスよく一気に拭け上がります。コーナーに合わせてステアリングを切るとノーズが即座に入っていく感覚。このダイレクト感はピュアスポーツと呼ぶにふさわしいもの。
ドライバーの気分次第で、ラグジュアリー性とスポーツ性が瞬時に切り替わる。懐の深さを感じさせてくれるモデルです。
【中古車】すでに新車価格より50万円以上安い中古車も
2019年9月現在、新型Z4は約10台の中古車がカーセンサーnetに掲載されています。
最も多いのはsドライブ20i Mスポーツで、ディーラーが試乗車として使っていた低走行の認定中古車になります。価格帯は560万~680万円。上の価格帯のものはオプション装備が多数搭載されたものなので、すでに中古車のお得感はかなり高くなっていると言えるでしょう。
2シーターオープンモデルは中古車が大量に流通するカテゴリーではないのと、ある程度相場が下がると、安値で買いたい人が飛びつく可能性が高いので、欲しい人は早めに検討することをオススメします。
自動車ライター
高橋満(BRIDGE MAN)
求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、 音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、 心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。 愛車はフィアット500C by DIESEL
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