え!? これが軽自動車?? 非日常が楽しめること間違いなしのケータハム セブン160
2020/06/15
ライトウェイトスポーツの名門『ケータハム』
自動車メーカー「ケータハム」の歴史をさかのぼると、面白い。ケータハム(イギリスではケイタラムと読むのだが……)はライトウェイトスポーツカーで名をはせているが、元をたどれば「ロータス7」のディーラーであった。
1959年からロータスのディーラーをロンドン近郊の「ケイタラム(地名)」にて営んでいたグラハム・ニアーン。そんな彼が1973年、ロータス セブンの生産中止に伴いロータスからセブンの製造権(治具や工具も)・販売権を購入したことが現在のケータハムの始まりだった。
当初はロータス セブンの“シリーズ4”を生産していたが、顧客からは“シリーズ3”の要望が多く、今日に至るまでそれをベースに進化を遂げてきている。つまりはロータス セブンが生き続けている、と解釈できるのだ。
ケータハムのモデル名は「ケーターハム セブン〇〇〇」と表記され、〇の部分は車重1トンあたりの馬力が入る。表記数字が大きければ、大きいほどパワフルなモデル、であることを意味する。
今回、ご紹介するセブン160は、というと1トンあたり160psのパワーを有していることを意味する。もっとも、正確には最高出力80ps/車両重量490㎏なので「163」なのだが……四捨五入したのだろう。
なお、デビュー時のセブン160はケータハムのラインナップではエントリーモデルで、最も非力だった。とはいえ、新車時価格は365万円(税別)と決して安くはなかった。しかもウインドウスクリーン、ソフトトップ、ドアはセットオプションで24万9000円、エアコンは存在せずヒーターは5万8400円のオプションだった。
ジムニーのエンジンで軽自動車規格に収まるセブン160
パワーユニットはなんとスズキ・ジムニー(旧型)のターボエンジンで、5速MTやプロペラシャフトもジムニー譲り。ジムニーの658cc 3気筒ターボエンジンにケータハムのECUとインタークーラーを組み合わせ、最高出力は64psから80psまで引き上げられた。そして、リアアクスルはエブリィ(旧型)のものを流用。
ボディサイズは、他のセブンと同じ全長3100mm、全幅は他のセブンよりも105mm短い1470mmに収められ、全高は1090mmしかない。全幅が短くなっているのは、エブリィ譲りのリアアクスルを収めるためだったのだろう。
セブン160はボディサイズ、エンジン排気量ともに軽自動車枠に収まっている。そう、なんと軽自動車として登録することができるのだ。なお軽自動車の最高出力は“自主規制”で64psとなっているが、輸入車には関係ないので先述のとおり80psを発生できるということなのだ。
ボディ構造も他のセブン同様、スチール製パイプフレームにアルミパネルを貼ったもの。文字どおりむき出しで、とにかく軽い。セブン160の車両重量はたったの490㎏。だから軽自動車ながら0→100㎞/h加速6.9秒、最高速160㎞/hを誇る!
筆者は実際に試乗したことがある。ジムニーのエンジンっぽさを感じさせるのは、スロットルをあおったときのやや重たいレスポンスと、スロットルオフでのエンジン回転のゆったりした“落ち方”くらい。5速MTはシフトストロークが異様なまでに短く、操作力も重め。ショートストロークで知られたホンダ S2000やマツダ ロードスターなどよりも短く感じる。
着座位置がとても低く……、というか、ここまで乗員の着座位置から路面に近い車はそうそうない。車内からの景色は、まるでゴーカートに乗っているかのようだ。荷室スペースは……、1泊分の着替えくらいなら入るかな、という具合。
ABS、トラクションコントロール、エアコンといった現代の装備は皆無。パワーステアリングもなければ、ブレーキに真空倍力装置もないので本当にしっかりの踏み込まないといけない。そうは言っても操作系において気難しさがあるわけではない。
ドライバーは文字どおり一生懸命運転しないといけない、という肉体的苦労を強いられる。と同時に最近では味わえないレベルの一体感や爽快感、そして達成感がある。人のよってはセブン160を運転した後、筋肉痛になるかもしれない。
現在、セブン160の新車販売はディーラーの在庫分のみ、という状態。カーセンサーnetに掲載されているセブン160に目を向けてみると、原稿執筆時点(6月2日)でたったの6台しかない。
最も安い車両が440万円で、最も高いものがウインドウスクリーン、ソフトトップ、ドアのセットオプションを装着した596万7000円のもの、となっている。平均相場は561万円と割安感には乏しい……。
セブン160は維持費の安い軽自動車であるし、燃費は20km/Lを超える。それでいながら運転も、車内からの景色も、あらゆることが非日常に満ちている。こんな軽自動車は二度と登場しないだろう。
そういう意味では流通しているうちが狙い時、と言える。
▼検索条件
ケータハム セブン160(初代)×全国自動車ライター
古賀貴司(自動車王国)
自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。
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