『ナニコレ!?』ハードコアにカスタマイズされたUS ARMY仕様のダッジ バイパー
2019/03/23
カーセンサーnet上には40万台以上の物件が掲載されている。物件チェックを日課とする筆者が、その中から偶然見つけた「なんだこの中古車は!!」という物件を紹介しよう!
ノーマルでも十分モンスターなバイパー
ダッジ バイパーのコンセプトカーは、1989年1月のデトロイトモーターショーにてお披露目された。
まだソーシャルメディアがない時代、ティザー広告も今ほど盛んに行われていなかった当時、バイパーのコンセプトカーはセンセーショナルに取り上げられた。
誰も見たことのないサイズ感、アグレッシブなデザイン、8L(!)V10エンジンは、当時のクライスラーのイメージを一新するものであった。
コンセプトカーはクライスラー社内の有志が、使われなくなった倉庫に集って開発が極秘裏に進められた。
プロトタイプ開発への着手は素早かった。消費者が製品化を求める声が大きかったのだ。とはいえ、この頃のクライスラーが許容できる開発資金には限度があった。
そこでクライスラーの余剰設備を最大限活用し、85名という少数精鋭で部署の垣根を越えた、巨大な会社としては異例な体制で開発が進められたという。
また当時、ランボルギーニはクライスラー傘下だったこともあって、バイパーへのランボルギーニエンジン供給が噂された。
だが、実際はランボルギーニがもつアルミ鋳造技術でシリンダーヘッドやブロックの軽量化が図られたにとどまった。
1990年5月にはプロトタイプが完成し、すぐさま市販化が決定された。発売当初は安っぽいインテリア、皆無だった安全装備など批判もあったが、クライスラーのイメージリーダーを担い、進化することを忘れなかった。
ちなみにクライスラーを率いていたボブ・ラッツは、バイパーのデビュー当初「四輪ステアリング搭載しているよ……、ドライバーのアクセル操作とも言うけどね」という名言を残していた。
そんな初代バイパーを思いっきり、圧巻のカスタマイズを施したオーナーがいたようだ。カーセンサーnetで掲載写真を見た際……、筆者は思わず唸ってしまった。
もはやカスタムされていないところはないのでは!?
カスタマイズのコンセプトは“US ARMY STAFF CAR”。
つまりは米軍スタッフの移動車両、ということだ。あくまでも移動車両であって、戦闘車両ではない、というこだわりが徹底している。
「オリーブドラブ」という、軍用車や軍服などに用いられるボディカラーにオールペイントされている。
日の当たり具合で色あいが変わっているのは、お見事。文字やマークなどはあとで取り外すこともできるカッティングシートではなく、あえてペイントされている、こだわりぶり。
「STARK INDUSTRIES」は、マーベル・コミックの“アイアンマン”が由来だろう。
ひとたび、このバイパーのステアリングを握れば、気分は主人公のトニー・スタークだ。
ボディは、ありとあらゆる場所に手が加えられているようだ。
フロントノーズは延長され、フロントノーズ下にはアルミ製のアンダーパネルを装着。
フェンダーはブリスター化され、とにかくワイドさが目立つ。
フロントフェンダーに収まるタイヤサイズは……、345/25R20インチ、リアにいたっては255/35R22インチのダブルタイヤになっているではないか!
恐らく、ダッジ ラム デューリーあたりのダブルホイールを流用しているのではないだろうか……。
まるで映画『Mad Max2』に登場した劇中車のような雰囲気は、ただただ圧巻。
リアのダブルホイールのおかげで全幅はなんと244cm! 乗用車でこれほどワイドな車、他に探してもそうそう見つかるまい。
サスペンションも強化され、もちろん、車検は改造申請したうえで正規取得しているようだ。
内装はステアリングホイールが交換されていたり、シフトノブが“スカル”になっていたりするがエクステリアと比べると……、落ち着いている(笑)。
「車両価格950万円」はたしかに、中古車相場の観点で語るなら“高い”と思ってしまうだろう。しかし、同じものを作ろうとしても、車両代を含めて950万円で収まるだろうか?
そして、どんなフェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェなどの輸入スポーツカーよりも、当該バイパーの方が注目を集めることは容易に想像できる。
当該車両を語るうえで、金額はナンセンスなのかもしれない。
ズバリ、前オーナーのカスタマイズを気に入るか否か、に尽きる。
前オーナーの想像力、こだわりにはただただ脱帽する。この車が気になった猛者はぜひ、在庫の有無をチェックしてみてほしい。
それにしても奥が深いぜ、中古車!
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