ポルシェ カイエン ▲今回オススメしたいのは旧型カイエン。こちらは2014年6月まで生産された前期型

旧型でも十分なパフォーマンスだが価格は安い

ポルシェが初めてカイエンを市場に投入したとき、個人的には非常に驚いた。2ドアスポーツモデルに特化していたはずのポルシェが消費者に迎合した、と思ったのだ。ライトウェイトにこだわっていたはずのポルシェが、ヘビーウェイトなSUVを投入したのだから……。
 

ポルシェ カイエン▲こちらが初代カイエン。一見でポルシェと分かるディテールのSUVだ

でも、結果としてカイエンは消費者に大ウケした。“松竹梅”のエンジンラインナップで、物理の法則をも覆しかねない「ターボ」モデルの走りはただただ圧巻だったし、現行モデルも飛ぶように売れている。

最近ではランボルギーニ、アストンマーティン、ロールスロイス、ベントレーまでもがSUVを投入するに至るほど、消費者ウケするカテゴリーに成長している。そして、新車時価格は目ん玉が飛び出るほど高い……。

もちろん、現行カイエンだって安くはない。エントリーモデルが1030万7000円~で、最も高いターボS Eハイブリッドに至っては2370万1000円~、となっている。これにオプション価格が加わるのだから、新車ユーザーの懐の深さにはただただ感心させられる。

だが、旧型の2代目カイエンに目を向けてみると、全然古くさく見えないのに現在の平均中古車相場は、366万5000円となっている。しかも、走行距離が多い物件であれば、最上級モデルのカイエンターボですら総額200万円台半ばから狙えるようになっている。
 

ポルシェ カイエン▲こちらが現行型のカイエン
ポルシェ カイエン▲こちらは2014年にマイナーチェンジされた2代目のカイエン

2代目カイエンは、燃費性能の向上に主眼が置かれ、フルモデルチェンジを果たした。ボディサイズは若干拡大したものの、素材や部品の見直しにより初代と比べると、カイエンSの場合は180㎏も軽くなっている。

また、エコ・コンシャスなユーザー向けに燃費と速さの両立を図ったモデルとして、3L V6スーパーチャージャー付きエンジンに、電気モーターを組み合わせた「カイエンSハイブリッド」がラインナップに加わった。なお、燃費は欧州複合モードで12.1km/l(エントリーモデルである“素”のカイエンの10.1㎞/l)を達成していた。

今回オススメしたいのは、最もパワフルで最も高価だった最高出力500psを誇る「ターボ」。車両重量2230㎏というヘビーウェイトながら、0-100km/h加速4.7秒という性能を有していた。

これは、同時期の911カレラ(997)のPDK仕様車と同じタイムだし、今でもSUVとしては十二分に“速い”。参考までにベントレー ベンテイガの0→100㎞/h加速を記すと……、3.9秒だ。

単純に0→100㎞/h加速だけ比較してもしょうがない、という意見はごもっとも。ただ、筆者が伝えたいのは、いかに旧型モデルとてカイエンターボが高性能か、ということ。それでいて、現行モデルと比較すると圧倒的なまでに安い。
 

ポルシェ カイエン▲こちらはマイナーチェンジ前モデルのインテリア。ポルシェならではの5連メーターは健在

絶対的安心を求めるなら認定中古車を! 整備前提で低価格帯のチョイスもあり

そんな2代目カイエン ターボに絞って中古車相場を見てみると、原稿執筆時点(9月21日)で41台が掲載されており、年式や走行距離の違いで総額250万~1195万円までと様々ある。

維持するうえで絶対的な安心感を得たいのであれば、価格は最も安いもので528万円と高めだが、ポルシェの認定中古車を狙うといいだろう。1年間走行距離無制限の保証がされるばかりか、有償で保証期間の延長もできる。

予算的にポルシェの認定中古車が厳しい人は、カーセンサーアフター保証を付けられる個体を狙うと安心感が増す。

理想を言えば、整備記録簿で今までの整備内容がしっかり把握できるものを狙いたい。個人的に注視するのは12ヵ月点検、車検ごとにディーラーで整備を受けた物件であるか否か。そのような個体は費用を気にしない、ディーラーにお任せの超VIP整備が施されたものが多いからだ。

また、カイエンのV8エンジン搭載車(ターボ含む)で最も気をつけたいのが、過去のオイル管理だ。そもそも、この直噴エンジンはエンジンのオイル消費量が約3000㎞で1Lと多め。エンジンオイルのメンテナンスを怠ると、エンジン内のピストンリングが摩耗する運命にあったのだ。

個人的にはメンテナンス履歴がはっきりした個体を狙い、最初にエンジンを降ろしてガッツリ整備を施す、というのもアリではないか、と思っている。例えば300万円のターボを買い、50万円の整備を施しても、まだポルシェの認定中古車よりも断然安く収まる。

それにしても、ポルシェは最近フルモデルチェンジの“やり方”が上手い。現行モデルユーザーには最新モデルという優越感を与え、旧型モデルユーザーには劣等感を抱かせないようにしているのではないか、と感じるほどだ。

型落ちなのに古くさく見えないばかりか、走りはいまだに不気味なまでにスポーツカー然としている。高級SUVを割安で乗るには、今最も美味しい選択肢だと思えてならない。
 

文/古賀貴司(自動車王国)、写真/ポルシェ

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古賀貴司(こがたかし)

自動車ライター

古賀貴司(自動車王国)

自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。