▲スズキの新プラットフォームを採用した中古車はすでにかなり流通しています。今買っても長く鮮度を失わずに乗れるはず!▲スズキの新プラットフォームを採用した中古車はすでにかなり流通しています。今買っても長く鮮度を失わずに乗れるはず!

10年先を見越して開発されるプラットフォーム

車はモデルチェンジを経て、デザイン以外にも様々な部分が進化します。

走る楽しさや燃費性能に直結するエンジン。運転に安心感を与えてくれる先進安全技術。移動時間を心地よくしてくれる快適性能。

そして「走り」、「安全」、「快適性」などすべての要素に関わるのが、プラットフォームの進化です。

プラットフォームは車の“骨格”となる部分で、車の性能を決定づける最も重要なパーツといえます。

足回りの部品が直接取り付けられるため、走行中のサスペンションの動き方などに大きな影響を及ぼします。

例えば、車が高速でカーブを曲がるときには強い遠心力がかかります。プラットフォームがしっかりしているとその影響を受けづらく、スムーズに走ることができます。

また、走行中の様々な振動を上手に吸収することで、長距離ドライブでも疲れにくくなります。

さらに衝突時には乗員を守る役割も果たしてくれます。衝撃を上手に吸収して、かつ室内をしっかり守ることができるプラットフォームは万が一の際のリスクを軽減してくれるのです。

このように、プラットフォームの性能が上がると良いことづくめなのです。

しかし、車のあらゆる性能に影響する部分だけに、莫大なコストと時間をかけて開発します。

「長期間使用すること」を見込んでいるため、プラットフォームは10年先、20年先でも通用する性能が盛り込まれるのです。

だから、最新プラットフォームが使われる車を選べば、時がたっても鮮度が落ちにくく、最新の走りを長い期間味わえるといえるでしょう。

徹底的な軽量化の末に生まれたHEARTECT

▲新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」は軽自動車と小型車に採用。骨格を滑らかにつなぎ、補強部品を削減することで、剛性アップと軽量化を両立しています▲新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」は軽自動車と小型車に採用。骨格を滑らかにつなぎ、補強部品を削減することで、剛性アップと軽量化を両立しています

排気量が小さくパワーも小さな軽自動車で燃費を良くするためには、軽量化が欠かせません。

スズキは重量物である骨格を徹底的に軽量化しながら、剛性をアップさせることに挑戦。しかも価格が安い軽自動車だから、コストはかけずにそれを実現させる必要があります。

そして生まれたのが、「HEARTECT(ハーテクト)」というプラットフォームです。

HEARTECT採用第1弾となった現行型アルトは、先代に比べて60kgも軽くなりました。これは驚異的な数値です。

HEARTECTは強度的に不利だった屈曲した骨格を滑らかにつないだことで、シンプルな形状となりました。これにより軽量化と剛性アップを実現。

さらにサスペンション部品を骨格の一部として利用しつつ、強度がある部分に取り付けることで補強部品を削減する工夫をしています。

最新のスズキ車は乗り心地のよさはもちろん、ドアを閉めたときの重厚な音にも驚かされます。これも剛性が高いHEARTECTだからこそ味わえるものです。

今回は、中古で狙えるHEARTECT搭載モデルを紹介します。

新プラットフォームで驚異の軽量化を実現【スズキ アルト】

▲小さな軽自動車なのに60kgも軽量化して登場した現行型アルト▲小さな軽自動車なのに60kgも軽量化して登場した現行型アルト

【このモデルの特徴】
新プラットフォーム(デビュー時はHEARTECTという名称がありませんでした)を初採用した現行型アルトの登場は、世間に衝撃を与えました。

アルトは代々軽量化に力を入れて燃費性能を高めていましたが、現行型は先代より60kgもの軽量化して登場。ベースグレードのF(2WD/5MT)の車重量は610kgという驚きの軽さです。

加えてボディ剛性もアップ。この基本性能が、スポーツグレードのターボRSやアルトワークス生むきっかけになりました。

【オススメの中古車】
ノーマルモデルのエンジンはNAで、Fはクラッチおよびシフト操作を自動で行う5AGS(オートギアシフト)と5MT、それ以外はCVTを搭載。RSとワークスはターボどちらもターボエンジンを搭載していますが、エンジンのセッティングが大きく異なります。

買い物や送り迎えなど、普段使いがメインならベーシックなアルトを。

660Sなら電動格納ミラーが備わるので街乗りでも便利に使えます。もちろん先進安全装備も備わります。

軽自動車でスポーティな走りを楽しみたいなら迷わずワークスを!

【スペック】 660S
■全長x全幅x全高:3395×1475×1475(mm)
■エンジン種類:直列3気筒DOHC  ■総排気量:658cc
■燃費:JC08モード 37.0km/L 

▼検索条件

スズキ アルト(6代目)×全国

振動の少ない高級感のある走りを堪能できる【スズキ アルトラパン】

▲愛らしいデザインが人気のラパン。インパネはテーブルのようなデザインに▲愛らしいデザインが人気のラパン。インパネはテーブルのようなデザインに

【このモデルの特徴】
2002年のデビュー以来、愛らしさを強調した丸四角いデザインで女性を中心に支持されているアルトラパン。

3代目となる現行型は全グレードNAエンジンで、ベースグレードのGはミッションが5AGS、それ以外は副変速機付きCVTを搭載しています。

新プラットフォーム「HEARTECT」の採用と、ボディの44.5%に高張力鋼板(超高張力鋼板も使用)を使用したことで、軽量化に加えボディ強度も高めらました。

これにより現行型アルトラパンは走行時の不快な振動のが少なくなり、ドアを閉めたときの音も重厚感があります。

【オススメの中古車】
愛らしくて長く一緒にいたくなる車だからこそ、買うなら最上級グレードがオススメです。

660Xにはディスチャージヘッドライトやオートライト、ナノイー付きのフルオートエアコンなどが備わるので、日々のドライブが快適になるはず。

660Xの中古車は全国に160台ほど流通しています。平均価格は約119万円。予算100万円で買える走行3万km未満の中古車もたくさん流通していますよ!

【スペック】 660X
■全長x全幅x全高:3395×1475×1525(mm)
■エンジン種類:直列3気筒DOHC  ■総排気量:658cc
■燃費:JC08モード 35.6km/L 

▼検索条件

スズキ アルトラパン(3代目)×全国

異なる3つのデザインを用意したマイルドハイブリッドモデル【スズキ ワゴンR】

▲マイルドハイブリッドを搭載し、燃費と走りの楽しさを両立▲マイルドハイブリッドを搭載し、燃費と走りの楽しさを両立

【このモデルの特徴】
軽ワゴンの王道モデル。先代でプラットフォームを一新(これがHEARTECT誕生のきっかけともいわれています)し、「軽自動車だから走りもそれなりだし質感も妥協しないと」という常識を覆しました。

そして現行型から「HEARTECT」を採用。さらにボディに超高張力鋼板を多用したことで、走りに一層磨きがかかっています。

【オススメの中古車】
ワゴンRはFAとハイブリッドFX、ハイブリッドFZ、スティングレーでデザインを大きく変えています。

FA以外はマイルドハイブリッドを搭載。ワゴンRらしさを味わうならマイルドハイブリッド搭載モデルを選ぶといいでしょう。ターボはスティングレーに搭載されています。

ハイブリッドFXなら予算100万円で買える中古車も流通しています。

【スペック】 ハイブリッドFX
■全長x全幅x全高:3395×1475×1650(mm)
■エンジン種類:直列3気筒DOHC  ■総排気量:658cc
■燃費:JC08モード 33.4km/L 

▼検索条件

スズキ ワゴンR(6代目)×全国

HEARTECT採用でボディが大きくなった【スズキ スペーシア】

▲スーツケースのようなデザインになったスペーシア。新車販売台数はホンダN-BOXに続き2位(2019年2月)になっています▲スーツケースのようなデザインになったスペーシア。新車販売台数はホンダN-BOXに続き2位(2019年2月)になっています

【このモデルの特徴】
先代スペーシアはN-BOX、タントという2強に水をあけられていました。

しかし、HEARTECTを採用した現行型は走りの質が劇的によくなり、軽ハイトワゴン2位の新車販売台数を誇る存在になりました。エンジンフードが高く大きさを強調するデザインながらボディ剛性は高く、静粛性も高くなっています。

ラインナップはスペーシアとスペーシアカスタム、そして2018年12月にSUVテイストを盛り込んだスペーシアギアが加わりました。

パワートレーンはすべてマイルドハイブリッドで、カスタムにはターボも用意されています。

【オススメの中古車】
スペーシアギアの中古車はまだ流通量が少なめ。選ぶなら、標準モデルかカスタムになります。ワゴンR同様デザインが大きく異なるので、まずはどちらが好みかチェックしてみましょう。

ファミリーユースでご主人はもちろん奥さまも運転するなら、標準車の方が無難でしょう。スライドドアが両側電動になるハイブリッドXなら満足度も高いはず。

【スペック】 ハイブリッドX
■全長x全幅x全高:3395×1475×1785(mm)
■エンジン種類:直列3気筒DOHC  ■総排気量:658cc
■燃費:JC08モード 28.2km/L 

▼検索条件

スズキ スペーシア(2代目)×全国

マイルドハイブリッド+5AGSの組み合わせが秀逸!【スズキ ソリオ】

▲登録車のハイトワゴンであるソリオ。室内の広さと使いやすさ、運転のしやすさに定評があります▲登録車のハイトワゴンであるソリオ。室内の広さと使いやすさ、運転のしやすさに定評があります

【このモデルの特徴】
もともとはワゴンRの普通車版でしたが、進化の過程で軽ハイトワゴンの登録車版という立ち位置に変わりました。

大きなボディにも関わらず、軽量プラットフォームのHEARTECTの採用で全グレード車重1tを切っています。

頑丈なボディとしっかり動くサスペンションが走行中の振動や路面の突き上げを吸収してくれるため乗り心地は◎。

【オススメの中古車】
2016年11月にマイルドハイブリッドが追加され、G以外のグレードがマイルドハイブリッドに。ハイブリッドSZとハイブリッドSXはトランスミッションが5AGSになります。この組み合わせが秀逸! 選ぶならぜひこの2グレードを!

3年落ちで新車価格より40万円以上安いハイブリッドSXも流通しています。予算は190万円ほど見ておけばかなり探しやすいはず!

【スペック】 ハイブリッドSZ
■全長x全幅x全高:3710×1625×1745(mm)
■エンジン種類:直列4気筒DOHC  ■総排気量:1242cc
■燃費:JC08モード 32.0km/L 

▼検索条件

スズキ ソリオ(○代目)×全国

インドで生産され日本に輸入される小さな高級車【スズキ バレーノ】

▲小型車で初めてHEARTECTを採用したバレーノ▲小型車で初めてHEARTECTを採用したバレーノ

【このモデルの特徴】
スズキはインドで5割近いシェアを誇る超人気ブランド。バレーノはスズキのインド法人であるマルチ・スズキ・インディアの工場で生産され、日本に輸入されている希なモデルです。

小型車用のHEARTECTを初採用し、ボディには高張力鋼板と超高張力鋼板を多用。徹底した軽量化で燃費性能の向上と衝突時の安全性を両立させました。

パワートレーンは1L直3ターボのブースタージェットエンジンと、燃費性能を高めた1.2L直4のデュアルジェットエンジンの2種類。インテリアは高級感を意識しながらもシンプルで飽きのこないデザインです。

【オススメの中古車】
1L車の自動車税の安さも魅力ですが、燃費を重視するなら1.2L車を。もともと流通量の少ないバレーノですが、1.2Lの方が流通量が多いため、中古車の選択肢も増えてきます。

上級グレードのXSは予算130万円内で走行1万km以内の中古車が見つかります。廉価グレードのXGでも構ないのであれば予算100万円で買うこともできます。

【スペック】 XS
■全長x全幅x全高:3995×1745×1470(mm)
■エンジン種類:直列4気筒DOHC  ■総排気量:1242cc
■燃費:JC08モード 24.6km/L 

▼検索条件

スズキ バレーノ(初代)×全国

車両重量1000kgを切る軽量クロスオーバー【スズキ イグニス】

▲ボディはコンパクト。でも塊感のあるデザインで力強さを演出しています▲ボディはコンパクト。でも塊感のあるデザインで力強さを演出しています

【このモデルの特徴】
イグニスは大径タイヤを履き最低地上高180㎜という、SUVのような雰囲気をまとうモデルです。

車高が高いのに走行時の振動を抑えて、心地よい走りを実現しているのはHEARTECTの恩恵です。

パワートレーンは、全グレード1.2LのデュアルジェットエンジンにISGを組み合わせたマイルドハイブリッド。トランスミッションは副変速機付きのCVTになります。

車両重量は2WDで850kg~880kg、JC08モード燃費は28.8㎞/Lと、クロスオーバーモデルとしては驚きの低燃費を実現しました。

【オススメの中古車】
イグニスは初回車検が近づいた2016年式で、車両本体価格100万円未満の中古車が見つけやすくなりました。ただし、この価格帯だと廉価グレードのハイブリッドMGが中心に。

少し予算を上げて、オートライトやLEDヘッドライト、クルーズコントロールなどの装備が備わる上級グレードのハイブリッドMZがオススメです。車両本体価格120万円ほど見ておくといいでしょう。

【スペック】 ハイブリッドMZ
■全長x全幅x全高:3700×1660×1595(mm)
■エンジン種類:直列4気筒DOHC  ■総排気量:1242cc
■燃費:JC08モード 28.0km/L 

▼検索条件

スズキ イグニス(初代)×全国

ヨーロッパで鍛えられた走り重視の軽量コンパクト【スズキ スイフト】

▲多彩なパワートレーンをラインナップ。用途や予算に応じて選びましょう▲多彩なパワートレーンをラインナップ。用途や予算に応じて選びましょう

【このモデルの特徴】
2004年に登場した2代目以降、軽快でスポーティな走りが支持されているスイフト。日本はもちろん、欧州でも人気の高いモデルです。

現行型で目を引くのは圧倒的な軽さ。衝突安全性の確保や搭載される装備が増えることで、車重1tを超えるコンパクトモデルも珍しくありませんが、スイフトは最軽量グレードでわずか840kgです。

現行型は、パワートレーンも豊富。1.2L直4のデュアルジェットエンジンは、ガソリンモデルの他、フルハイブリッドとマイルドハイブリッドにも採用されています。さらに1L直3ターボもラインナップ。コアなファンが多いスイフトスポーツには1.4Lターボが搭載されます。

【オススメの中古車】
スズキはソリオやイグニスにマイルドハイブリッドを搭載していますが、フルハイブリッドを搭載するのはスイフトだけ。

せっかくならフルハイブリッドを搭載するハイブリッドSLやハイブリッドSGを選びたいところ。流通台数も100台近くあるので中古車を探しやすいはずです。

先進安全装備が備わり、パドルシフトなども奢られるハイブリッドSLは予算150万円以内で見つかる中古車も出始めています。予算180万円ほど見ておけばかなり探しやすくなりますよ。

【スペック】 ハイブリッドSL
■全長x全幅x全高:3840×1695×1500(mm) 
■エンジン種類:直列4気筒DOHC  ■総排気量:1242cc
■燃費:JC08モード 32.0km/L 

▼検索条件

スズキ スイフト(4代目)×全国

高級感があり走りも上質なコンパクトクロスオーバー【スズキ クロスビー】

▲見た目は軽自動車のハスラーに似ていますが、中身は大きく異なります▲見た目は軽自動車のハスラーに似ていますが、中身は大きく異なります

【このモデルの特徴】
新プラットフォーム“HEARTECT”で下まわりを固めたことで、多少の荒れた道でも走りが安定しているクロスビー。

軽量化の効果も絶大で、車両重量が重くなりがちなクロスオーバーながら、2WDで960kg、4WDでも1000kgに抑えられています。

パワートレーンは1L3気筒ターボのブースタージェットエンジンにISG(モーター機能付発電機)を組み合わせたマイルドハイブリッド+6ATに。小排気量でも、1.5LNA並みのパワーを発揮します。

エクステリア、インテリアともに高級感が高められ、後部座席も大人が余裕で座れるスペースを確保することで、イグニスとの差別化が図られています。

【オススメの中古車】
グレードは標準グレードのハイブリッドMXと上級グレードのハイブリッドMZの2展開。それぞれFFと4WDが用意されます。

4WDには路面状況に合わせてモードを選べる機構を搭載。また、下り坂でブレーキ操作をしなくても自動的に速度を約7km/hにコントロールするヒルディセントコントロールも備わります。ただ、街乗り中心なら2WDで十分でしょう。

流通量はハイブリッドMZが300台弱、ハイブリッドMXが240台ほどになります。どうせなら後席のテーブル、防汚タイプのラゲージフロアが備わるハイブリッドMZを選びたいところ。

クロスビーはまだデビューしてから1年少ししかたっていませんが、もう新車価格より30万円以上安い中古車も見つかるようになっています。予算190万円見ておけばハイブリッドMZを買うこともできますよ。

【スペック】 ハイブリッドMZ
■全長x全幅x全高:3760×1670×1705(mm)
■エンジン種類:直列3気筒DOHCターボ  ■総排気量:996cc
■燃費:JC08モード 22.0km/L 

▼検索条件

スズキ クロスビー(初代)×全国
text/高橋満(BRIDGEMAN)
photo/スズキ、奥隅圭之、篠原晃一、阿部昌也、尾形和美