誰もが「個性派社長」に見える車(?)シトロエン DS5も総額100万円台から!【高そうに見えて意外と安い?】
2019/03/22
創業直後はベンツやBMWを買ってはいけない?
過日。日頃からIT企業のスタートアップがどうのこうのとしきりに言っていた若い知人が、筆者の自宅を訪ねてきた。
聞けば、スタートアップを無事完了させ(要は小さな会社を立ち上げ、登記を完了したということらしい)、めでたく社長になったのだそうだ。
「そうでしたか。それはおめでとうございます」と、わたしはとりあえず言った。ITのことはサッパリわからぬが、若い人が夢をもって自らのために働くのは良いことだと思われるからだ。
だが彼は、「つきましては経営者にふさわしい車をそろそろ買いたいと思い、本日はご相談にうかがった次第です」と言う。
わたしは反対した。小さな会社であっても創業直後というのは何かとカネが要り用になるもので、要り用となる一方、肝心の入金は数ヵ月以上先だったりする。そしてそもそも、今後順調に利益が上がるかどうかも未知数であるからだ。
「ですから、営業車なんてそのへんの安い国産中古車でいいじゃないですか」とわたしは言ったのだが、若い知人はどうしても“社長っぽい車”が欲しいらしい。
「……ならば仕方ありません、遺憾ながら知恵をおさずけましょう。ご予算は総額100万円台とのことなので、ベンツやBMWを買うのは得策ではありません。アレらは有名な車ゆえ、ちょっと古い年式だと、高くはない中古車であることがすぐにバレてしまう恐れがあります」
ではどうすれば……? と問う彼に、わたしはズバリ答えた。
「シトロエンのDS5をお買いなさい。それで万事が解決します」
クーペのようなワゴンのような、なんとも謎なフォルム
シトロエン DS5は、2012年8月に発売された当時のシトロエン社のフラッグシップモデル。
現在のDSはシトロエンから独立した「DSオートモビルズ」という別ブランドになっているが、2012年当時は「シトロエンの最上級ライン」としてDSシリーズが存在していたのだ。
で、DS5はそのDSシリーズのトップモデル。「クーペのような滑らかなスタイル」と「グランツーリスモとステーションワゴンを融合させた独特の個性を表現するフォルム」といううたわれ方で登場したわけだが、実際のDS5はまさにそのとおりであった。
クーペといえばクーペだし、でもワゴンと言われればワゴンのような気もする。だがちょっとしたグランドツアラーのようにも見えるし……という、なんとも謎なフォルムなのだ。そしてそれこそが、DS5という車の得も言われぬ魅力だ。
ちなみにインテリアの方も非常に独創的というか、「フランスならではの粋」みたいなものが凝縮している逸品といえる。
パワートレインは当時のその他シトロエン車同様の1.6L直4直噴ターボ(最高出力156ps)+アイシンAW製6速ATという組み合わせ。サスペンションはシトロエン独自のハイドラクティブ機構ではなく、前がマクファーソンストラット式で後ろがトーションビーム式というオーソドックスな形式だ。
それゆえ、ハイドロニューマチックやハイドラクティブを採用していたシトロエン車ほどの「魔法のじゅうたん的乗り心地」ではない。だがやはりシトロエンだけあってそれなりにソフトでスイートな、快適な乗り心地を堪能することはできる。
すべてが謎なため、端からは値段も年式もよくわからない?
「なるほど。DS5というフランス車がオシャレで素敵な1台であることはわかりました。でも、なぜそれが今の僕にとって最適なのでしょうか?」
そう尋ねる若い知人社長に、わたしは答えた。
「なぜならば、先ほどの車種解説のなかちょっと申し上げたとおり、DS5は“謎”だからです」
要するにこういうことだ。
DS5はハッキリ言ってマイナーな車種であり、そもそもクーペなんだかワゴンなんだかもよくわからない。そしてマイナーゆえに「最近の車なのか、それともちょっと古い車なのか?」も、車に詳しくない一般的な人はわからない。
だが、妙な「オシャレ感」と「高級感」のようなものは、そこに確実に存在している。それゆえに、なんだかよくわからないまま周囲の者らを煙に巻けるのがシトロエン DS5という、今や総額100万円台でも買えるフランス車なのだ。
具体例で申し上げよう。
筆者の知人にS君というラーメンチェーン店の正社員だった者がいるのだが、ある日彼がDS5の中古車を購入した。
すると、それまでは「普通の会社員であるS君」にしか見えず、実際そのとおりである彼が、いきなり「巨大ラーメンチェーンの創業社長」に見えるようになったのだ。まぁ運転中限定の話ではあるのだが、完全な実話である。
「……というわけで、総額100万円台という限定された予算で“儲かってる経営者っぽい車”を買いたいという貴君には、シトロエン DS5の中古車が最適なわけです」
わたしはそのように話を締めた。依然として、創業直後の若者が車で見栄を張ることには反対で、申し上げたとおり「もっと安い国産中古車でも買えばいいのに」とは内心思っている。
だがまあ大丈夫ではあるのだろう。なぜならばシトロエン DS5は、さすがに輸入車だけあって部品代などは国産車より高額だが、決して「壊れまくる車」というわけではない。
若き知人社長の会社が今後まあまあ順調ぐらいの売上を立てられさえすれば、中古DS5の維持に苦労することもないはずなのだ。
▼検索条件
シトロエン DS5×支払総額あり×修復歴なしこの記事で紹介している物件
あわせて読みたい
- 植田圭輔さんが、真っ赤なポルシェで緑の中を駆け抜ける!
- 【試乗】新型 アウディ A4 アバント│実用性の高いアバントボディがクアトロらしい俊敏な走りとマッチし、絶妙にバランスがとれた逸品
- 手にするものはすべてがアート。自然を愛するアーティストは世界で1台だけのメルセデス・ベンツ Gクラスに乗る
- アルピナ B8 4.6リムジン。それはある意味「永遠の命」をもつ希少名車だった。【NEXT EDGE CAR】
- おでかけは、あえて2台で。家族のようなランドローバー ディフェンダー90とルノー カングー
- 「燃費」から「愛着」へ。エコ視点で選んだのは、中古のボルボ XC60だった
- 4年連続エンジン・オブ・ザ・イヤー 1.0~1.4L部門受賞の「ピュアテックターボエンジン」を搭載した、狙い目モデル6選
- 【松岡充さんと行く!】ヘリテージカーの祭典「オートモビルカウンシル2021」レポート(後編)
- 【松岡充さんと行く!】ヘリテージカーの祭典「オートモビルカウンシル2021」レポート(中編)
- 【松岡充さんと行く!】ヘリテージカーの祭典「オートモビルカウンシル2021」レポート(前編)