『ナニコレ!?』ターコイズブルーが美しい! オールドアメリカンを存分に味わえるナッシュ アンバサダー
2019/03/19
カーセンサーnet上には40万台以上の物件が掲載されている。物件チェックを日課とする筆者が、その中から偶然見つけた「なんだこの中古車は!!」という物件を紹介しよう!
ターコイズブルーに輝くクラシックアメリカン
筆者はそもそもターコイズブルーという色にめっぽう弱い……。別にティファニーが好きというわけではないのだが、ターコイズブルーをまとった車には異様に興奮する。
そんな中、偶然出合ってしまったのが1956年式ナッシュ アンバサダーだ。
ナッシュは1916年、GMの社長だったチャールズ・W・ナッシュが「トーマス・B・ジェフリー・カンパニー」という自動車メーカーを買収して創業。
その後、買収や統合を繰り返し、1954年には「AMC(アメリカン・モータース・コーポレーション)」となった。
そして、ビッグ3(GM、フォード、クライスラー)ではない“独立系”として名をはせたAMCは、1987年にはクライスラー社に吸収合併された。
そんな歴史も面白いのだがとにかく、この独特なデザインがたまらない。
「ファリーナ」というエンブレムがフロントフェンダー下に配されているが、イタリアの有名カロッツェリア「ピニンファリーナ」がまだ創業して間もない頃のものだ。
フロントマスクの両脇は、眺めれば眺めるほどロールスロイス ファントムやシルヴァーレイスの影響を感じる。
真似したというわけではなく、ピニンファリーナがボディを手がければ、どことなく似たエレメントが入るのはやむを得なかったのだろう。
それにしても、フロントグリル内にヘッドランプが収められているのもユニーク。
価格は中型、サイズはフルサイズ
全長は5m30cmちょっと、ホイールベースも3mは確保されており、全幅は2m!
写真で見るよりもはるかに大きいのだ。ボディサイズはライバルのフルサイズセダン、新車時価格は中型セダンというのが、当時のナッシュ(AMC)がウリにしていたコンセプト。
とはいえ、ナッシュは“安物”を作っていたわけではない。
ナッシュは、アメリカの量産車としては初めてモノコック・ボディを採用したし、1938年には冷却水の排熱を利用したヒーターが、1954年からは冷気を送るエアコンも初めて装着していた。
一応、アンバサダーにもエアコンは用意され外気温より9度は冷たくできる、とうたっていた……。もう半世紀以上も前の車ゆえに、効きのほどは眉唾と思っておくのが無難だろう。
アンバサダーのモデルラインナップは、V6エンジン搭載車、V8エンジン搭載車、そしてより高級志向な「ステーツマン」というラインナップだった。
いわゆる松竹梅のラインナップ構成は、昔から存在したというわけだ。
当該車両は、最高出力190psのV8エンジンを搭載したアンバサダーだ。
大型ボディで6名乗れる、荷物がトランクにたっぷり収納できる、燃費は良い(当時としては)というのがカタログではうたわれていた。
トランクを開けるときはタイヤを手前に少し倒してから、という儀式めいた手順もたまらない。
フロントシートのバックレストは最近のような無段階調整式ではなく、5段階調整式。
ヘッドレストは装着されておらず、シートを倒せばリアシートの座面に干渉することなくベッドとして利用することもできた!
これは偶然ではなく、キャンプ使用を念頭に置いたメーカーオプションとして、サイドウインドウに装着できる「網戸」も用意されていたほど。
今となっては見られないようなデザイン、寝られるほど広い車内、無駄に大きなトランク、今見ても美しいダッシュボード……どれを見てもユニークだ。
カーステレオは“側”だけオリジナルをキープしたまま、どこかに最新のオーディオシステムを装備したい。
1950年代のロックを聴きながら、ダラーッと走れば……気分はアメリカン!
ひとたび街を走れば、スーパーカーよりも注目度は高いだろう。
そういう意味では“視線に耐える”必要があるかもしれないが、問答無用にカッコいいと思える車だ。
そして、注目度という点におけるコストパフォーマンスも抜群にいい!
実は筆者、原稿を書きながら、これほどまで購入意欲をそそられる車に出合ったことがない……。
この車が気になった猛者はぜひ、在庫の有無をチェックしてみてほしい。
それにしても奥が深いぜ、中古車!
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