▲オープンデッキのイメージカラーであるイエローはコンセプトカーの色を再現したもの▲オープンデッキのイメージカラーであるイエローはコンセプトカーの色を再現したもの

トラックとバンのいいとこ取り!

アウトドアレジャーを満喫したいときに困るのが、濡れたものや汚れものの処遇ですよね。

車内に積んでしまうとシートやカーペットなどの内装類が汚れてしまいますし、釣りなどを楽しみたいときも魚の独特の生臭さはできれば車内に残したくないもの。

そこで選択肢に挙がるのが、トラックとバンの中間の存在である「デッキバン」というグレードを持つハイゼットではないでしょうか?

▲ハイゼットデッキバンは意外と高い価格とNAのみのラインナップがネック▲ハイゼットデッキバンは意外と高い価格とNAのみのラインナップがネック

デッキバンであれば濡らしたくない荷物は後部座席に積んで、汚れものや濡れたもの、臭いの強いものは荷台に載せる……といった使い方ができるので、アウトドアレジャーにはもってこいです。

しかし、意外と新車時価格が高く、一番安価なグレードでも120万円オーバー。しかもエンジンはすべて660ccのNAエンジンとなるので、あれこれ積んで走ることを考えるとパワー不足を感じてしまいます。

といっても軽自動車のデッキバンはハイゼットのみの特権なので、そのあたりも妥協しなければならないとお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、普通車にも目を向ければ、実はアノ車種があったのです!

トヨタ bBオープンデッキ(初代)があるじゃないか!

▲助手席側は観音開きドアとなっていて解放感は抜群▲助手席側は観音開きドアとなっていて解放感は抜群

それが、トヨタがリリースした若者向けの小型トールワゴン、bBをベースに作られたbBオープンデッキです。

実はベースとなったbB登場以前の1999年の東京モーターショーに「オープンデッキ」という名前で登場しており、2001年に登場したbBオープンデッキはそのショーカーをそのまま市販車にしたようなものだったのです。

▲すべてのシートを倒せばダッシュボードまで繋がるフラットなスペースが生まれる▲すべてのシートを倒せばダッシュボードまで繋がるフラットなスペースが生まれる

そのスタイルは5ドアハッチバックだったbBを大きく変更し、右側1ドア、左側には観音開きの2ドアを備えた3ドアスタイルで、トランク部分を荷台としたまさにデッキバンスタイルです。

ハイゼットデッキバンと大きく異なるのは、デッキと室内を隔てるデッキスルードアとリアウインドウを開くことが可能でまさに「オープンデッキ」にすることできるという点。これにより長尺物も積むことができるのが最大の利点と言えるでしょう。

▲ベース車よりもミニマムになったが、3名座れるリアシートも軽自動車にはないアドバンテージだ▲ベース車よりもミニマムになったが、3名座れるリアシートも軽自動車にはないアドバンテージだ

また、リアシートはベースのbBに比べミニマムながら3人が座ることができ、最大乗車定員が5名となるのも普通車ならでは。最大でも4名しか乗れない軽自動車とのアドバンテージは絶大です。

さらに、搭載されるエンジンも1500ccオンリーとなっており(ベースのbBは1300ccもあり)、動力性能的にも660cc NAのハイゼットデッキバンよりも余裕があることは言うまでもありません。

残念ながら新車当時は人気車種になることはかなわず、2003年を持って販売が終了してしまったbBオープンデッキ(ベースのbB(初代)は2005年まで販売)。

その特殊なキャラクターと希少性から限定販売車と思われがちですが、実はれっきとしたカタログモデルなのです。そのため、中古車のタマ数は思いのほかあるといった印象(それでも2018年5月11日時点で36台ですが)。

価格帯は高いものでも総額100万円以下で、安いものなら総額20万円台から探すことができます。さすがに安い個体は走行距離の延びている個体が多くなりますが、パーツの供給状態や社外パーツの豊富さでは抜きんでているため、あえて安い個体を購入してガッツリリフレッシュするという選択肢もアリかもしれません。

とはいえ登場から年数がたち、程度のよい個体が減りつつあるのもまた事実。同じようなコンセプトの車両はしばらく出てくる気配もありませんので、もしかしたら今がラストチャンスなのかも!?

text/小鮒康一
photo/ダイハツ工業、トヨタ自動車

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トヨタ bBオープンデッキ(初代)