【図説で愛でる劇中車 第12回】「バック・トゥ・ザ・フューチャー」といえば、未来にタイムスリップするあの車!
2020/03/25
国内外問わず様々な映像作品(アニメも含め!?)に登場したあんな車やこんな車を、イラストレーター遠藤イヅルが愛情たっぷりに図説する不定期連載!
第12回は、1985年に第1作が公開、1990年までに計3作が製作された映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズの車たちです。今年で公開35周年を迎えるバック・トゥ・ザ・フューチャーの車といえば、そう、アレしかありませんよね!
今なお人気が高いSF映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
マイケル・J・フォックス演じる、ごくふつうのアメリカの高校生マーティは、近所に住む変わった科学者で、親しい友人だったドクの実験に付き合うことに。その実験とは、ドクが開発したタイムマシーンを使ったタイムトラベルでした。その実験の最中、とある事件によってマーティは1985年から1955年にタイムスリップしてしまいます。しかもマーティの母・ロレインは、なんとマーティに恋をしてしまい、そのままでは「マーティが生まれない」という一大事に……。
というストーリーで始まるバック・トゥ・ザ・フューチャー。第1作は映画内の設定と同じ1985年に上映。アメリカをはじめ世界中で大ヒット。1989年に続編の「パート2」、1990年には三部作の完結編として「パート3」も作られました。練られたストーリー展開、3部共通の世界観や散りばめられた小ネタの多さなどから、現在でも高い人気を誇っています。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』といえば、「デロリアン」
バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズといえば、登場人物以上に有名なのがアメリカのスポーツカー「デロリアンDMC-12」を改造したタイムマシーンですよね。デロリアンとはGMの副社長だったジョン・ザッカリー・デロリアンが退社・独立して設立した自動車メーカーで、1981年から1982年にDMC-12を生産後、倒産してしまいました。
DMC-12はロータスが設計、プジョー・ルノー・ボルボが共同開発したPRV・V6エンジンをミッドマウントしたスポーツカーで、ジウジアーロがデザインした外観はFRPで形作られていました。特徴は上に跳ね上がるドアと、ボディに貼られたヘアライン仕上げのステンレスパネル。その未来的なイメージは、まさにタイムマシーンにぴったりですよね。
デロリアンは過去と未来でいろいろな姿に変身
バック・トゥ・ザ・フューチャー3部作で、デロリアンのタイムマシーンは1985年から1885年、1955年、2015年の世界に現れ、それぞれの時代に合わせて姿を変えています。パート2では舞台となる2015年の技術を用いて、ホバーによって空を飛ぶ機能を追加。
パート3では1885年の荒地を走行できるよう、1955年に存在した技術で改造されており、ホワイトリボンタイヤ、上げられたロードクリアランスなどが特徴的でした。1885年の世界では、デロリアンが自走不能になったために、レールの上を走れるように改造されていました。
“30年後の2015年” を描いたパートIIに登場の「未来カー」
パート2の注目は、“1985年の30年後”として描かれた2015年。映画内では空飛ぶ車が一般的になるなど、劇中の2015年を飛び超えた現実の「いま」でもまだ実用化困難な技術が普及していました。街ゆく車も、フォード・プローブなどに流線型のカバーを載せ、「あの頃考えられた未来的なデザイン」をもたせていました。
その中でもひときわユニークなのが、(現実の)1955年に登場したシトロエン DSを改造して生まれたタクシーです。デビュー当時から「宇宙船」と呼ばれていた車だけに、装飾を施しただけで「来なかった未来」感が出るのが面白いですね。
また、バック・トゥ・ザ・フューチャーは、カリフォルニア州にあるという架空の街「ヒルバレー」でストーリーが進むのですが、劇中の2015年に活躍する、ヒルバレー警察の「いかにも未来のパトカー」にも注目です。こちらは既存車の姿をまったくもたない、映画の完全オリジナルデザインでした。映画撮影後は放置されていたようですが、2011年頃にレストア。現在では美しい姿を保っています。
公開35周年! バック・トゥ・ザ・フューチャー祭りに期待大
2020年は、バック・トゥ・ザ・フューチャー初公開から35年。これを記念して、日本でもシネマオーケストラコンサートの開催や、記念グッズの発売も行われるようです。一斉を風靡した名SF映画、ふたたびいろいろなジャンルでフィーチャーされる1年になるかもしれませんね。
イラストレーター/ライター
遠藤イヅル
1971年生まれ。大学卒業後カーデザイン専門学校を経て、メーカー系レース部門のデザイナーとして勤務。その後転職して交通系デザイナーとして働いたのち独立、各種自動車メディアにイラストレーター/ライターとしてコンテンツを寄稿中。特にトラックやバス、商用車、実用的な車を好む。愛車はサーブ900、VWサンタナほか実用的な車ばかり。
【関連リンク】
日刊カーセンサーの厳選情報をSNSで受け取る
あわせて読みたい
- 西川淳の「SUV嫌いに効くクスリをください」 ランボルギーニ ウルスの巻
- EVハイパーカーメーカー「リマック」が今熱い!従来のスーパーカーを猛追するクロアチアの新星【INDUSTRY EDGE】
- 【功労車のボヤき】「オペルとは思えないほどイカしてる!」というトホホな褒め言葉に涙した日もあったけど……。オペル一族の逆襲!?
- 【試乗】メルセデス・ベンツ 新型Sクラス│”新時代の車”を堪能できるラグジュアリーセダンの最高峰!
- 世界で3社しか市販していないレアなFCVの1台、トヨタ MIRAIのドライブフィールに注目! 【EDGE’S Attention】
- 【試乗】新型 アウディ A4 アバント│実用性の高いアバントボディがクアトロらしい俊敏な走りとマッチし、絶妙にバランスがとれた逸品
- 閑静な住宅街に潜む、跳ね馬と闘牛がいるガレージ【EDGE HOUSE】
- 【名車への道】’14 BMW i8
- 4年連続エンジン・オブ・ザ・イヤー 1.0~1.4L部門受賞の「ピュアテックターボエンジン」を搭載した、狙い目モデル6選
- 西川淳の「SUV嫌いに効くクスリをください」 ボルボ XC90 リチャージの巻