【名車への道】’10 アウディ RS6アバント
2019/12/29

■これから価値が上がるネオクラシックカーの魅力に迫る【名車への道】
クラシックカーになる直前の80、90年代の車たちにも、これから価値が上がる車、クラシックカー予備軍は多数存在する。そんな車たちの登場背景、歴史的価値、製法や素材の素晴らしさを自動車テクノロジーライター・松本英雄さんと探っていく企画「名車への道」。

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
V10を積んだワゴンなんてもう二度と発売されないよね
――さて令和元年、最後の名車です。
――わかりやすくデザインで選ぶこともありましたね。
――任せてください。今月も間違いなくそのテーマに合った車、RS6アバントです!
――それ、まったく流通してないんですよ……。あ、今回のRS6はこちらです。状態もいいですね。



――ではまずRSの話からお願いします!
このRS2を作ったのがアウディとポルシェの合弁会社だったんだよ。それだけでもドラマチックでしょ? ポルシェのテクノロジーが入っていて、ブレーキキャリパーに“PORSCHE”の名前も入っていたんだ。組み付けも959(*3)のアッセンブリーラインだったツェッフェンハウゼン(*4)で行われたっていうんだから凄いよね。
――そのRS2の遺伝子を、このRS6は色濃く継承しているってことですか?
――RSシリーズというと最近ではV6やV8ターボですもんね。

――スペックだけで名車ですね。
話は戻るけど5L V型10気筒はランボルギーニですでに実績があったエンジンをベースにおよそ500近い部品を交換して作ったんだ。自然吸気のままでも十分に高出力だったV10に、さらにツインターボを架装して580psまで高めたんだ。
最高出力だけを考えれば自然吸気のままでも580psは出せるかもしれないけど、異次元な加速力を授けるためにターボ化したんだろうね。当時試乗した印象は、まさにオートバイのような加速だったね。しかもクワトロだから路面をとらえて安定してる。
――僕も乗りましたけど……怖くてとてもアクセル踏めませんでしたよ……。
――もちろん、凄いのはエンジンだけじゃないんですよね?
そうそうこの当時のRS6は北米には規制が厳しくて輸出されてないんだよね。コアなアメリカのマニアは欲しがるモデルだね。これはRS6に限った話じゃないし、当たり前の話ではあるんだけど、縦置きエンジンのアウディのプラットフォームは左ハンドルがメインなんだ。
RS6もそうだけど左ハンドルのほうが足元が広くてね。右ハンドルは左足の部分のハウジングが出てて気になるんだ。だから高性能縦置きエンジンのアウディを買うなら断然左ハンドルなんだよ。
――なるほど。こんなバケモノみたいな車がこの値段(本体価格414万円)なんて……。すごい話ですね。
■注釈
*1 RS2
アウディが1994年に開発した80ベースのスポーツモデル。最初のRSであり、出力は315ps、約2800台が生産された。ボディはアバントのみ。
*2 Renn Sport
RSはドイツ語のレンシュポルトを表し、ドイツ車のスポーツモデルに用いられることが多い。起源はポルシェ 550スパイダーといわれている。
*3 959
1986年に生産されたポルシェのスーパーカー。当時のポルシェの技術が集約され、多くのレースで活躍。伝説のモデルとなっている。
*4 ツェッフェンハウゼン
ポルシェの工場やミュージアムなどがある一大拠点。スーパーカーの918スパイダーや959といった特別なモデルの生産も請け負っている。
アウディ RS6(2代目)
セダンとアバントが用意されたA6の最上位グレードであるRS6。2002年に初代モデルが登場し大きな話題になったが、2008年の2代目モデルではエンジンはV8からV10に。最高出力580psを誇るモンスターモデルとして注目を集めた。2012年には3世代目のRS6も登場している。今回の撮影車両は世界限定500台、日本限定10台というプラススポーツ。
※カーセンサーEDGE 2020年2月号(2019年12月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています
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