「高卒新人/大卒新人が生まれた年の車」で打線を組んでみた|中軸はインプWRXとランエボVII
カテゴリー: クルマ
タグ: ストリーム / プリメーラ / ランサーエボリューション / インプレッサSTI / フォレスター / V70 / エクストレイル / カローラフィールダー / オリジン / 打線を組んでみた / 伊達軍曹
2019/06/27
「フレッシュな打線」が完成する……のか?
4月に入社した新入社員たちも、早いもので3ヵ月がたとうとしている。
プロ野球の世界でも、吉田輝星(日本ハム)や小園海斗(広島)といった新人が一軍デビューを飾り始めた。
フレッシュな彼ら、彼女らを見ているうちに、なぜか知らねど「2019年4月入社の高卒新人ならびに大卒新人が生まれた年にデビューした車」で打線を組んでみたいとの欲求にかられた。
そこに何の意味があるのか我ながら不明だが、「組んでみれば何かが見えてくるはず」との楽観論に基づき、とりあえずやってみよう。
途中で浪人や留年をしなかったと仮定して、この春の高卒新人が生まれたのは2000年4月から2001年3月。大卒新人が生まれたのは1996年4月から1997年3月である。その期間中に新発売となった車でのみで組んだ超フレッシュ打線が、下記だ。
1 左 日産 プリメーラUK(2代目)
2 二 トヨタ カローラ フィールダー(初代)
3 中 スバル フォレスター(初代)
4 右 スバル インプレッサWRX(2代目)
5 三 三菱 ランサーエボリューションVII
6 一 ボルボ V70(2代目)
7 遊 日産 エクストレイル(初代)
8 捕 ホンダ ストリーム(初代)
9 投 トヨタ オリジン(初代)
……今、スタンドから「おいっ、ぜんぜんフレッシュじゃねえぞ!」とのヤジが飛んだような気もするが、聴こえなかったことにして、各選手の紹介へと進もう。
●1番・レフト「日産 プリメーラUK(2代目)」
1997年2月生まれ(早生まれ)の大卒新人。95年に登場したセダン版の2代目プリメーラは国内生産だったが、2年遅れで登場した5ドアハッチバック版は英国生産の逆輸入車。そして「プリメーラUK」という車名で販売されたのだった。
独立トランクの代わりに大きなハッチゲートをもつそのスタイルは、いかにも欧州的。搭載エンジンは英国日産製の直列4気筒DOHC 「SR20DE」で、サスペンションは前後ともマルチリンク式。その味付けは欧州風の「少々硬め」といったニュアンスだ。
特に俊足ということではない選手だが、平均速度が高い欧州のシーンで鍛えられたフットワークを駆使して、まずは「確実な出塁」を目指す。
●2番・セカンド「トヨタ カローラ フィールダー(初代)」
2000年8月生まれの高卒新人。それまでの「カローラワゴン」に染み付いていた商用車イメージを払拭するべく、車高を高くしてややミニバン的なフォルムとなったコンパクトステーションワゴンだ。
搭載エンジンは直列4気筒の1.3L、1.5L、1.8Lで、中でもVVTL-i(可変バルブタイミング&リフト機構)付きの1.8Lは最高出力190psを発生。トランスミッションは4速ATが基本だが、マニアックな6MTの設定もあった。中古車相場は20万~70万円といったところ。
現代野球では強打力のある選手を2番に置くことが多いが、初代カローラ フィールダー選手は「バランス型」の2番打者。近場をちょこちょこ走るのが得意であると同時に、2分割デッキボードの下にアンダートレイを装備するなどの「レジャー力」も併せ持っている選手だ。
その小器用さを存分に生かして送りバントや進塁打、そしてときには痛快なヒットをカマしてほしい。
●3番・センター「スバル フォレスター(初代)」
1997年2月生まれ(早生まれ)の大卒新人。現在はその第5世代が現行型として大活躍している、人気SUVの初代モデルだ。
デビュー当初は「最高出力250psのターボエンジン搭載車のみ」という超硬派なラインナップだったため、「インプレッサWRX級のSUVが登場した!」と話題になった。
駆動方式は当然4WDで、ミドルサイズのSUVにしては低い全高と十分なロードクリアランス、そしてワイドな車幅とブリスターフェンダーなどにより人気を博した。現在の中古車相場は30万~80万円といったところ。
現行型のフォレスターには用意されていない怒涛の2Lターボエンジンのパワーを最大限発揮する意味で、ストライクは全球フルスイングするぐらいの気持ちでいってもらいたい。
「当たれば飛ぶ」タイプのプレースタイルは、往年の新庄剛のイメージに近い。
●4番・ライト「スバル インプレッサWRX(2代目)」
今ひとつ地味な打線に見えていたところに、ついに現れた2000年8月生まれのスーパー高卒新人!!
初代は5ナンバーサイズだったが、2代目は走りのポテンシャルをさらに高めるため、トレッドを拡大して全幅1730mmの3ナンバーサイズにサイズアップ。だがコーナリング性能を高める目的で、ホイールベースは短めとなっている。
搭載されるエンジンはAVCS(可変バルブタイミング)機構付き2L水平対向4気筒で、最高出力250psのターボ版と同155psの自然吸気版をラインナップ。2000年10月には280psの「STi」も追加された。
STiを含む中古車相場は今現在、40万~350万円といったイメージだ。
筋骨隆々な体躯をもち、悪路走行(悪球打ち)も得意とするということから、イメージとしては東京ヤクルトの雄平(高井雄平)。
実際の雄平選手は5番を打つことが多いが、こちらのインプレッサ選手は世界大会の経験も豊富な4番打者として、チーム全体をけん引してほしい。
●5番・サード「三菱 ランサー エボリューションVII」
インプレッサ選手と並ぶ「チームのニ枚看板」のもう片方として、大活躍が期待される2001年1月生まれの超大型高卒新人。
その名のとおり7代目のランサー エボリューションで、ベースはランサー セディア。搭載エンジンは最高出力280psの2L直4ターボ「4G63」となり、2750~5500rpmまでの幅広いバンドで最大トルクの約9割を発生する。
トランスミッションは、6MTとなったインプレッサSTiに対して、こちらは5MT(※後にAT仕様も追加)だが、公道向けのGSRとRSでは5速のギアを上げることで高速巡航時の燃費向上を図っている。現在の中古車相場は150万~340万円といったところ。
選手としての個性は4番のインプレッサとかなり近いものがあり、どちらも強打かつ俊足。そしてなおかつ守備能力(居住性)も決して低くないという、ワールドクラスのアスリートである。
●6番・ファースト「ボルボ V70(2代目)」
日本人選手が中心となっているこのチーム唯一の外国人選手。スウェーデン第2の都市ヨーテボリ出身の18歳で、生まれは2000年8月。
アッパーミドルクラスのステーションワゴンで、直列5気筒エンジンを横置するという独自のレイアウトを採用。
スペース効率の高さと安全性、そして軽快でスポーティな走りには定評があり、初代と比べてボディがひと回り大きくなったことで、室内空間とラゲージスペースは拡大された。
当初のターボエンジンは最高出力200psの低圧ターボだったが、途中から同250psの高圧ターボもラインナップ(※数値はすべて前期型)。2004年10月には約3500カ所の改良をマイナーチェンジを受け、内外装を変更するとともに一部のエンジンを刷新した。
助っ人外国人としては比較的地味なプレーヤーだが、長距離砲(ロングツアラー)としての能力は折り紙付き。
出塁したインプレッサとランエボVIIを、V70の二塁打または三塁打で本塁に帰すイメージで試合を組み立てたい。
●7番・ショート「日産 エクストレイル(初代)」
2000年10月生まれの高卒新人。こちらもV70と同じで派手さはないが、堅実なバッティング(走り)と守備(実用性)が期待できるという意味で、このチームには欠かせない選手。
SUVとしてはやや小ぶりなボディに、大人4人が快適に過ごせる室内と、様々な道具を余裕で積める広いラゲージスペースを確保。さらに路面状況を自動的に判断して最適なトルク配分を行う「オールモード4×4」も搭載。
搭載エンジンは2L 直4と同ターボで、駆動方式は4WDがメインとなるものの、シンプルなFFの設定もある。現在の中古車相場は約20万~120万円だが、ボリュームゾーンは40万~60万円付近となっている。
攻撃力よりは守備力を重視してのスタメン起用だが、下位打線のキーマンであることは間違いない。意外な一発(超アタリの中古車)が出ることを期待したい。
●8番・キャッチャー「ホンダ ストリーム(初代)」
こちらも2000年10月生まれの高卒新人。後述する「ド根性」を見込んで、正捕手という過酷なポジションに抜擢した。
コンパクトカーであるホンダ シビックをベースに5ナンバーサイズにまとめた7人乗りのミニバン。一見ステーションワゴン風のスタイルと、ミニバン用にチューニングを施したサスペンションが相まって、高い走行安定性を実現している。
これによって「低床ミニバン」という一大ブームを巻き起こした。
エンジンは2Lと1.7Lの直4VTEC2種類で、今現在の中古車相場はおおむね20万~60万円というイメージだ。
さて冒頭の「ド根性」だが、どういうことか説明しよう。
初代ストリームのデビューから約2年がたった2003年1月、トヨタから「コンセプトがほとんど同じで、車体寸法もミリ単位で同じ!」というウィッシュが登場した。
先行して発売されていたストリームはウィッシュの猛追を受けて苦戦したものの、双方の2代目までを含む最終的な勝負としては「延長12回、10対10で引き分け」的な展開となった。
大トヨタ軍の攻勢に対して一歩も引かなかったド根性はあっぱれであり、そのド根性があれば、捕手という過酷すぎるほど過酷なポジションもしっかりこなせるはずだ。
●9番・ピッチャー「トヨタ オリジン」
「どう考えてもエースはこの人しかいない!」という感じでローテーションの軸に指名された、こう見えて2000年11月生まれの風格漂う高卒新人。
トヨタの国内生産累計1億台達成を記念して作られた期間限定発売車で、そのクラシカルなデザインは初代クラウンがモチーフ。初代クラウンの特徴だった「観音開きドア」も採用している。
内外装はトヨタの最高級車「センチュリー」の生産ラインに携わる選りすぐりのクラフトマンによって作られており、外装塗装には漆塗りの技術を採用。
最終塗装前には手作業で耐水ペーパーをかけ、塗装面を平滑にしたという。
新車時価格は700万円で1000台のみの限定車だったが、中古車はごく少数ながら確実に流通しており、その相場は270万~490万円といったところ。
超本格派の投手で、そこそこ若いくせに老けて見える(?)という意味で、イメージとしては田中将大(NYヤンキース)か。
センターピラーを中心にスプリット(分割)される観音開きドアも、どことなく田中選手の決め球「スプリット・フィンガード・ファストボール」の握りに似ている(ような気がする……)。
以上が、自称監督である筆者が考えた「フレッシュな」チームオーダーだ。
だが重大な誤算があった。
人間の18歳や22歳は確かに超絶フレッシュだが、自動車の「18歳」「22歳」はかなりの大ベテランであるというか、「現役選手の方がむしろ少ない」ということを、筆者はすっかり忘れていたのだ。
そのためかなり苦しいチームオーダーになった。だがそれでも、今なおその魅力を放ち続けている2代目インプレッサWRX選手とランエボVII選手に対しては、リスペクトの念しかない。
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車のスバル XVと東京ヤクルトスワローズを愛してやまない。
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