カーセンサー(雑誌)にて、車を自由に使いこなす遊びの達人たちを特集した連載「俺たち遊戯三昧」からの転載。 今回は女性ファッション誌を中心に活躍している、フォトグラファーの嶋野旭さんのホンダ エレメント(初代)に注目!

▲エレメントはSUVとミニバンの要素を兼ね備えた、アメリカ生まれのクロスオーバーモデル。日本では2003~2005年に販売されたのみ。嶋野さんの愛車は最終モデルで、現在の走行距離は13万㎞超▲エレメントはSUVとミニバンの要素を兼ね備えた、アメリカ生まれのクロスオーバーモデル。日本では2003~2005年に販売されたのみ。嶋野さんの愛車は最終モデルで、現在の走行距離は13万㎞超

自分では何もイジらず程よい距離感で使い倒す

遊び道具としての特徴を前面に押し出した車は、得てしてロングセラーにはなりにくい。個性的であるがゆえの宿命である。その点、目的と感性が合う人にとっては最高の1台になりうるわけで、さらに販売台数が少ないほど、「人とは違う車に乗りたい」という欲求も満たしてくれる。嶋野さんが乗るエレメントは、そうした個性派車の極致。販売期間がわずか2年強という希少性も手伝い、中古車市場では今も根強い人気を誇る。

「実は今までに一度も自分で車を買ったことがなくて、エレメントもタダで譲ってもらいました。ボディを塗り替えたりローダウンしたのも前のオーナーで、僕はその状態を受け継いでいるだけです」

前のオーナーとは、現在フォトグラファーとして活躍する嶋野さんが修業時代に仕えていたお師匠さんだ。

「師匠が撮影機材の運搬用に購入し、アシスタント時代の僕もよく運転していました。新車の頃から知っているので、付き合いはもう10年以上になります」
 

▲外遊びでのベースステーションというコンセプトに基づき、建築物をイメージした、角張ったデザインを取り入れている。クリームイエローのボディカラーは、嶋野さんのお師匠さんが購入時に販売店で塗り替えてもらったという ▲外遊びでのベースステーションというコンセプトに基づき、建築物をイメージした、角張ったデザインを取り入れている。クリームイエローのボディカラーは、嶋野さんのお師匠さんが購入時に販売店で塗り替えてもらったという


エレメントはアメリカで企画・生産された車で、日本には輸入という形で販売された。アウトドア大国産ならではの優れた機能と斬新なデザインは、特に嶋野さんのようなクリエイティブな職業の人とは相性がいいようだ。

「フォトグラファーやスタイリストで同じ車に乗っている人を何人か知っています。色を褒められるとうれしいですね。自分でやったわけじゃないけど(笑)」
 

▲ドアは観音開きで、荷物の出し入れがしやすい。シートは防水仕様だ ▲ドアは観音開きで、荷物の出し入れがしやすい。シートは防水仕様だ


仕事では広いラゲージに撮影機材を積み、休日は奥様と山沿いの川へ出かけ、釣りに没頭する嶋野さん。車への強いこだわりはないというが……。

「エレメントとは長い付き合いなので、愛着はもひとしお。動かなくなるまで一緒にいたいと思っています」

変わらぬ魅力を放つロングセラーモデルから“一発屋”まで、あらゆる中古車が次の主を待っている。最終的に選んだ車がどちらであろうと、嶋野さんのように長く付き合うことができれば最高だ。
 

▲「警戒心の強い魚を相手に繰り広げる心理戦が釣りの醍醐味です」。釣った魚は現場でさばき、自宅に持ち帰って焼いて食べる ▲「警戒心の強い魚を相手に繰り広げる心理戦が釣りの醍醐味です」。釣った魚は現場でさばき、自宅に持ち帰って焼いて食べる

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ホンダ エレメント(初代)
text/櫻井香
photo/見城了