20年落ち、走行10万kmの中古車を買うと1年で整備代はいくらかかるのか、全部バラします!
2017/03/15
魅力的だが正直不安もある「ちょっと古い車」
自称・中古車評論家の伊達であります。わたくしは常日頃「ちょっと古くて安めの、味わい深い中古車のすゝめ」みたいな内容の文章を、各出版社などに売りつけることで生計を立てています。しかし、いくら味わい深かろうが「ちょっと古くて安めの車」ですから、いざ買うとなるとメンテナンス面での不安を覚える人は多いでしょう。そして「そういうお前はどうなんだ? 実は古めの車のメンテ代でヒーヒー言ってるんじゃないか?」との疑いを持っている人もいるかもしれません。
実は過日、わたくしが車両価格98万3000円にて購入した96年式マツダ(ユーノス)ロードスターが納車から1周年を迎えました。ちょうどいい機会ですから、わたくしのロードスターにこの1年間で起きた出来事をつまびらかにすることで、そのあたりの疑いを晴らすといいますか、「ちょっと古くて安めの中古車を買うと、実際その後どうなるのか?」ということをお伝えしたいと思います。
最初の1年間、整備代はぶっちゃけ「0円」でした!
まずは基本的な事実関係から。前述のとおり車は98万3000円の96年式マツダ(ユーノス)ロードスターで、購入時の走行距離は9.9万km。買ったのは16年1月29日で、納車日は同年2月12日でした。最初のうちは初代ルノー カングーと併用していたためさほど距離は延びなかったのですが、途中から(無謀にも)ロードスターのみの1台体制としたため、それなりに距離が延び、17年3月上旬時点で10.4万kmになっています。1年ちょいで5000kmぐらい走った計算ですね。
そしていきなり結論で恐縮ですが、つい先日までメンテナンス代は1銭もかかりませんでした。大した距離を乗ってないからというのもあるかもしれませんが、とにかく「1銭たりとも」かからなかったのです。個人的な嗜好の問題で内装の一部パーツを新品に交換したり、ボディ表面がややくすんでいるように思えたため磨き剤を買ってみたり……というような出費はありましたが、何らかの不具合に起因する出費は本当にゼロ円だったのです。
乗らないで車庫にしまい込んでいたわけではありません。中年草野球部の道具一式を積載してグラウンドまで行き、コストコとかイオンとかまで買い物に行き、取材で関東一円をガンガン走りました。残念ながら遠出こそできていませんが、あなたがあなたの自家用車を使って日々やっている行動とほぼ似たようなことを、わたくしもやったわけです。それでも、21年落ちで10万kmオーバーのド中古車は不具合ゼロでがんばってくれました。ありがたいことです。
「中古車はメンテ歴重視で選ぶべし」との自説を実践
ただしこれは単純に「ありがたい」だけでなく、わたくしの戦略に基づく「必然」でもありました。
わたくしは常日頃、自称・中古車評論家として「中古車を買うときは走行距離だけでなく『メンテ歴』を重視しましょう。また安さにこだわりすぎるのも考えものです」と申しております。で、自分でもそのような観点でこのロードスターを選んだわけです。つまり、お世辞にも低走行とはいえない(当時)9.9万kmの個体で、価格も約100万円と、当時のカーセンサーnetに掲載されていた同型車の中では全国最高値に近かった1台を、あえて選んだのです。
なぜかというと「メンテ歴」が非常に良好だったからです。
紙幅の関係で詳細は割愛しますが、足回りのブッシュ(ゴム製の緩衝材)やその他モロモロを、販売店(宮崎県の松元エンジニアリングさんです)が逐一新品パーツに交換している様子が、当時のカーセンサーnetに掲載されていました。それを見て小生は「走行距離は10万km近いが、これはおそらく『当たりの1台』だろう」と踏んだのです。
で、結果はそのとおりでした。
そして自説どおり「多少のメンテ貯金」はやはり必須だった!
「中古車を買うときは走行距離だけでなく『メンテ歴』を重視しましょう。また安さにこだわりすぎるのも考えものです」という自説の正しさが証明されてホッとしている小生ですが、もう一つ、常日頃から書いていることがあります。
それは「とはいえ中古車ですから、多少のメンテ貯金は手元に用意しておきましょう」です。
で、これについても実際そのとおりの結果になりました。
過日、納車から数えて5000kmのタイミングが近づいたため「ディーラーでエンジンオイル交換でもすっぺ」と思っていたところ、朝のエンジン始動時などに「キュルキュルキュル~!」という不穏な音がエンジンルームから聞こえるように。これはマズい……ということでオイル交換の予定を早め、電話予約のうえ近所のマツダディーラーに駆け込みました。
メカさんにひと通り診ていただいた結果は「プーリー(滑車)がサビて固着気味になっているためVベルトが擦れ、その際に音が発生している」というものでした。そして「あとウォーターポンプから冷却水が少々漏れている。決してダダ漏れではないが、できればタイミングベルトとともに新品に交換した方が良い」との追加診断もありました。
これはある意味納得の事態です。
納車前にかなりビシっと整備してもらった我がロードスターですが、数千点、数万点の部品すべてを新品に交換したわけではないので(当たり前です)、時間がたつにつれ、各所の部品が順次交換タイミングを迎えていくのは世の摂理です。そしてウォーターポンプとタイミングベルトですが、これは記録簿によれば走行9万km台のときに交換しています。ですから距離だけで見ればつい最近の話なんですが、その交換をしたのは「何年も前」なのです。車の部品というのは走らずに置いとくだけでも確実に劣化しますので、今回の水漏れは致し方なしです。
で、それらの修理代として約10万円のコストがかかったわけですが、それについては完全ノープロブレムです。それは別にわたくしが金満家だからではなく、「多少のメンテ貯金は手元に用意しておきましょう」という自説どおりの(多少の)メンテ貯金をしていたからです。「またもや自説の正しさが証明された!」との感慨とともに、わたくしは喜んでその整備代を近所のマツダディーラーにお支払いしました。
「中古車三原則」さえ守れば、古めの車でも過度に恐れる必要はない
以上が、この1年ちょいでわたくしの96年式マツダ(ユーノス)ロードスターに起こったことのほぼすべてです。もちろん、ちょっと古い車に乗るというのは多少めんどうくさい部分も必ずありますので、誰にでもオススメするわけではありません。しかし、もしもあなたが「最近の車にはどうも引かれないんだよねぇ……」と感じているのであれば、わたくしのように「ちょっと古くて安めの、味わい深い中古車」に乗ってみることをオススメしたいと思います。その際は不肖わたくしが繰り返し申しております、
■走行距離だけでなく「メンテ歴」を重視する。
■「安さ」にこだわりすぎない。
■多少のメンテ貯金は手元に用意しておく。
という中古車三原則(?)を遵守していただければ、きっとそうひどいことにはならないはずです。あなたさまのご健闘とご健勝を、世田谷区の「伊達軍曹中古車研究所」より心からお祈り申し上げます。
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