▲「車にさほどのこだわりはないけど、とりあえず安くて、でもちょっとオシャレな感じのやつが欲しい」というのであれば、まず初めに検討すべきはこのフレンチコンパクトかもしれません ▲「車にさほどのこだわりはないけど、とりあえず安くて、でもちょっとオシャレな感じのやつが欲しい」というのであれば、まず初めに検討すべきはこのフレンチコンパクトかもしれません

予算はズバリ格安。でもありふれた車には乗りたくない……

東京などの大都市では、自家用車がなくてもさほど不便じゃなかったりもする現代社会。それでも必要な場所では相変わらず必要ですし、大都市にお住まいの非車好きな人であっても、何らかの理由で「近々どうしても自家用車が必要になる……」という場合もあるでしょう。

そんなとき、「わたしゃ自動車マニアではないし、車で遠出をする予定も特にないので、とりあえず50万円以下ぐらいの中古車を何かしらサクッと買えればそれでいい」と考えている人はけっこう多いかもしれません。カーセンサーnetには車両価格50万円以下の軽自動車や国産コンパクトカーも多数掲載されていますので、検索すればサクッと買うことができるでしょう。

でも、「実はわたし、地味な国産コンパクトとか軽自動車って苦手なんですよ、ビジュアル的に……。もっとこうオシャレでステキな車、ないですかね? 車両価格50万円以下で」

……なかなかワガママなことをおっしゃいますが、そんなご要望にお応えできる車がないわけではありません。それは、フランスのプジョーが06年から09年まで販売していたトールボーイスタイル(背高スタイル)のハッチバック、「プジョー 1007」です。その走行5万km以下の中古車が今、車両価格50万円以下にて楽勝で狙えるのです。

▲こちらがそのプジョー 1007。背高ボディですがドアは2枚で、しかもそれが「電動スライドドア」だというフランス産の異色コンパクトカーです ▲こちらがそのプジョー 1007。背高ボディですがドアは2枚で、しかもそれが「電動スライドドア」だというフランス産の異色コンパクトカーです

見た目はファニーだけどなかなかの実力派なんです

まずはプジョー 1007という車について簡単にご説明しましょう。こちらは希少な「両側電動スライドドア」を採用している4人乗りのコンパクトカー。全長と全幅はトヨタ ヴィッツあたりとだいたい同じで、全高はそれよりも10cmぐらい高く、しかし屋根が高いことで有名なダイハツ タントよりは12cm低い……みたいなサイズ感です。ちなみにデザインを担当したのは、フェラーリとかのデザインも行っているイタリアのピニンファリーナというデザイン工房。

小さな車ですが、運転席まわりは非常に広々としていて、ステアリングのチルト(上下)やテレスコ(奥行き)も調節可能。このクラスの小型車では、これができない車もけっこうあります。エアバッグも合計7つ装備されてますので、いざというときもエアバッグ無しの車と比べれば何倍も安心でしょう。もちろん、そもそも事故らないように運転するのが最も重要なことですが。

そして4人乗りですので、当然ながら後部座席も付いています。しかしプジョー 1007は4ドアではなく2ドアですので、後席へのアクセス性は正直あまり良くはありませんし、後席の足元スペースも狭めです。ただし後部座席も頭上スペースだけはとっても広いのですが。

▲当時世界唯一の「両側電動スライドドア」を採用。見てのとおり前席の居住空間はなかなかのものです。ただその分、後席居住空間はちょっと狭いんですが ▲当時世界唯一の「両側電動スライドドア」を採用。見てのとおり前席の居住空間はなかなかのものです。ただその分、後席居住空間はちょっと狭いんですが

搭載エンジンは1.4Lまたは1.6Lの直列4気筒ガソリンエンジン。特にパワフルであるとか特別エココンシャスであるとかではありませんが、同時期のプジョー車やシトロエン車に多数搭載されていた実績あるエンジンですので、過不足なくフツーに稼働させることができます。エンジン自体の故障もそう多くはないでしょう。

妙に背が高く、その割にホイールベース(前タイヤと後タイヤとの間隔)は妙に短いプジョー 1007ですから、なんとなくヒョコヒョコしながら走るようなイメージもありますが、実際はさにあらず。1007は走行中もけっこうな安定っぷりを発揮してくれる車で、ピッチング(加速・減速時の前後の揺れ)もほとんど起こしませんし、高速道路でもビシッと静かにビュンビュンと直進します。

▲内装は、当時の携帯電話の感覚でパネルなどの着せ替えが簡単にできるという「カメレオンコンセプト」。それ用の部品はもう欠品してしまっていますが、カラフルな中古車は数多く流通しています ▲内装は、当時の携帯電話の感覚でパネルなどの着せ替えが簡単にできるという「カメレオンコンセプト」。それ用の部品はもう欠品してしまっていますが、カラフルな中古車は数多く流通しています

いくつかの欠点もあるが、そこが全然気にならない人も多いはず?

つまりプジョー 1007という車は、ステキで個性的なデザインであり、実用性もそれなりに高く、走りも意外としっかりしてる車である、ということです。そんなステキな輸入コンパクトカーの走行4万km台までの個体が、車両本体価格50万円以下で探せちゃうというのですから、冒頭で挙げたような「オシャレでステキな車を車両本体価格50万円以下でサクッと買いたい」という人はもう絶対に注目するしかありません。

ただし、物事には必ず良い面も悪い面も同時に存在しますので、いくつかの注意というか前提は必要となります。

まず第一に、走りは意外と安定していて高速走行もけっこう得意と言いましたが、「加速」は正直トロいです。ひとたびスピードに乗ればそれなりに速い(というか遅くはない)車ですが、スピードに乗るまでがちょっと長いんですね。ですから「街中は常に鋭いダッシュで!」みたいな運転が好きな人には向きません。

そして背が高い車ではありますが、スペース効率がさほど良い設計ではありませんので、最近の軽自動車のように「後席は下手すりゃベンツ Sクラスよりも広い!」みたいなことは絶対にありません。後部座席はお子様専用シートとするか、もしくはいっそ跳ね上げて畳んでしまい、荷室とあわせて「比較的広大なラゲージスペース」として使うのが得策かもしれません。

以上のような欠点もあるプジョー 1007ですが、逆に言えば、「ダッシュ力がイマイチでもさほど気にならない(そもそも常にノンビリと運転してますから)」という人で、なおかつ「後席に人を乗せる機会は少ない」という人であるならば、プジョー 1007は、車両価格50万円以下で買える車のなかでは絶対の注目株です。何よりカタチも色もオシャレですしね。

ということで以上の条件に当てはまるに人は、物は試しでぜひプジョー 1007の中古車をチェックしてみることを強くオススメいたします!

▲最近は街でもあまり見かけませんから、その希少性も、ある種の人にとっては魅力的かも! ▲最近は街でもあまり見かけませんから、その希少性も、ある種の人にとっては魅力的かも!
text/編集部
photo/プジョー・シトロエン