高級感あふれる高年式アウディが諸事情により150万円以下に!
2016/05/11
高年式車は高額すぎ、しかし低年式車はピンとこないアウディという車
輸入中古車評論家を自称するわたしだが、自慢じゃないがカネはない。いや日々の食事に困窮するほど貧乏しているわけではないが、主に自宅で仕事をしていることもあって、日頃の服装はだいたい「上下セット4800円ぐらいで買ったジャージ」である。
しかし、エブリデイ4800円のジャージ姿ではさすがに貧乏マインドがしみついてしまうゆえ、たまには小ぎれいなエリ付きシャツなども着るべきなのだろう。それと同時に車も、年齢(40代後半)相応の「ちょっとプレミアムで知的な感じ」の輸入車に乗り替えるべきなのかもしれない。それにより自身のマインドセットが変わり、その結果として人生全般がより好転する可能性があるからだ。
「ちょっとプレミアムで知的な感じ」の輸入車といえばアウディが有力候補の一つ。ということでその中古車を探してみるが、どうもピンとこない。高年式車はやや高価すぎ(例えば14年式A4アバント2.0TFSIクワトロで380万円前後)、かといって100万円台半ばぐらいの低年式車にも食指が動かない。あくまで私見だが、アウディというのは新しいうちはかなりカッコよく見えるが、古くなると他社の同年式車以上に「時代遅れ感」が増幅される気がする。モード系デザインの宿命だろうか。
「いずれにせよ、やはり俺に高年式アウディは無理なのか……」とジャージ姿でため息をついていると、それまでは個人的にノーマークだった某アウディ車が、「150万円以下」「5年落ちまで」という条件での検索に多数ヒットしていることに気がついた。
アウディA1である。
車検サイクルと新エンジン登場の関係で初期型の相場が下落
ご承知のとおりアウディ A1は、11年1月から販売されているアウディブランドの最小モデル。プラットフォームは現行フォルクスワーゲン ポロと共用だが、内外装はいかにもアウディらしいスタイリッシュかつ上質なもの。そして初期型のパワートレインは、1クラス上にあたるアウディ A3スポーツバックやフォルクスワーゲン ゴルフとほぼ共通の1.4L直噴ターボ+7速DCTである。
それが今、様々な理由により車両価格150万円以下にて余裕で狙える状況になっているのだ。それも過走行で微妙な物件ではなく、走行1万~3万km程度の上物が。
安値となった理由は主に二つ。一つは「2回目車検の壁」だ。現在、車両価格150万円以下で狙えるアウディ A1の低走行物件はほとんどが最初期の11年式。つまり今年2016年に2回目の車検を迎えるため、それを機に手放すことを決めたオーナーが増加した年式だ。そして「5年目」というのは、個体コンディションの良し悪しに関わらず、車の評価額が一律に大きく下がる節目の一つ。それらの事象が相まって今、妙にお手頃な11年式A1が市場に多数登場しているのである。
そしてもう一つの理由として、昨年6月に行われたマイナーチェンジもある。このときアウディ A1は主力エンジンを1L 3気筒直噴ターボに変更。そしてそのダウンサイジング3気筒の評判がすこぶる良いため、気筒休止システムも備わらない初期1.4L直噴ターボの価値は相対的に低下したのだ。そうなると、それを積んでいる中古車の相場も必然的に下がるのが世の道理というものだ。
最新世代は確かに素晴らしい。でも初期型だって素晴らしい!
以上の事情によりお手頃化した11年式アウディ A1。その商品力は今、シビアに見てどうなのだろうか? いくら安くなったとしても、その分だけ商品力=魅力が低下し、本来アウディ車に求められる「ちょっとプレミアムで知的な感じ」が失せてしまっているのでは、あえて買う意味はない。
商品力に関する評価というのは人それぞれの主観が左右するため、なんら確定的なことは言えない。しかし少なくとも筆者が思うに、11年式アウディ A1は今なおバリバリの「ちょっとプレミアムで知的な感じがする車」である。
最新世代の3気筒1Lターボエンジンはさすがに全般的に素晴らしく、そして気筒数の関係で1.4L版よりも車両重量が100kg近く軽いため、その走りは軽快だ。しかし1.4Lの4気筒直噴ターボエンジンだってそのパワー感や回り方の甘美さにかけてはかなりのものであり、走りの硬質感と上質感は当時も今もクラストップレベル。カタログ燃費も1.4TFSIが19.4km/Lで1.0TFSIが22.9km/Lと、おおむね3km/Lの違いでしかない。……デカいといえばデカいかもしれないが、「日常使用では誤差の範囲!」と強弁することもできる数字だ。
デザインに関して言及すると、外装デザインの細かい箇所が変更され、内装も質感を向上させているが、逆に言えばこれといって大きな変更はない。言ってはなんだが、新旧2台を横に並べてみない限り「似たようなもの」なのだ。特に、車に詳しくない人からすればほとんど「間違い探し」のレベル。車に詳しい人間からするとそうは思えないかもしれないが、世の中というのはそういうものなのだ。
つまり結論として11年式アウディ A1は、今もなお「素晴らしいエンジンと上質な内外装デザインを有する素敵なプレミアムコンパクト」なのだ。そしてそのプレミアムな資質は、私見だが少なくともあと4年、つまり東京オリンピックが開催される2020年頃までは維持されるとみている。
そんなモデルの低走行物件が車両価格150万円以下でイケるというのだから、これはもうイクしかないと筆者は思うのだが、読者の皆さんはどうだろうか。
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