▲2014年2月から同社の新世代エンジン「Drive-E」を搭載したボルボ XC60。この2L直4ターボは燃費が従来の23%も良くなり(JC08モードで13.6km/L)、さらにパワー&トルクもアップ。実際、走らせてみると併せて搭載された8速ATとの組み合わせにより、街中でも高速でもたいてい2000rpm以下で済むので本当に燃費がよかったし、かつ静かでした ▲2014年2月から同社の新世代エンジン「Drive-E」を搭載したボルボ XC60。この2L直4ターボは燃費が従来の23%も良くなり(JC08モードで13.6km/L)、さらにパワー&トルクもアップ。実際、走らせてみると併せて搭載された8速ATとの組み合わせにより、街中でも高速でもたいてい2000rpm以下で済むので本当に燃費がよかったし、かつ静かでした

完全に止まる技術は、きっと前からあったハズ

先日、AT車にも関わらず渋滞中に足がつりそうになったぴえいるです。いくらMT車じゃないとはいえ、アクセルとブレーキペダルを何度も交互に1時間以上踏み続けたら、50年近く活躍してくれている私の右足のふくらはぎだって、怒りますよ。

慌てて左手でマッサージしてあげて、なだめてね。もうすぐPAがあるから、そこで休もうか、と声までかけちゃったりして……。

以前、スバルのアイサイトの取材をした際に、マーケティング担当の方に話を聞いたことがあるんですが、最初は社内に自動ブレーキってホントに便利なのか? 的な雰囲気があったそうです。それに20万円も出すのかと。あ、価格は当時のオプション価格です。で、とりあえず社用車として入れてみようと。ちなみにこの時はver.1。

そしたら、導入後間もなく予約が取りにくくなるほど、社用車として大人気になっちゃったそうです。調べてみたら、要は自動ブレーキ機能によってもたらされた全車速追従のクルーズコントロール機能が大好評。私のようなか弱いふくらはぎを持つ人も、助かると。

それで先のマーケティング担当者は「いける!」と思って、ver.2への進化と同時にオプション価格を10万円に引き下げたら、ばかウケしちゃった。今じゃ購入者の8割近くがアイサイト付きを選ぶほどになったというわけなんです。

というわけで、自動ブレーキ=アイサイトというイメージがワーッと広がって、マツダもダイハツもと各社が続き、そして先日ようやくトヨタが「Toyota Safety Sense C」をカローラ/カローラアクシオに初搭載するまでになりました。

ボルボは10もの安全装備を全車に標準装備

……と、ここまでは日本礼賛ですが、実は上記で「ちなみにこれはver.1」とかちょこまか入れていたのには訳があります。2008年に登場したアイサイトver.1は完全停止「しない」のです。いえ、技術的にはぜんぜんできたんですよ。これは「最後はドライバーが責任持ってブレーキペダルを踏んでね」っていうことだったのだと思われます。

その間隙をついて、日本初の完全停止自動ブレーキの栄冠を手にしたのが、なんとボルボ。2009年に「シティ・セーフティ」をXC60に全車標準で搭載したのです。

ボルボの完全停止がOKになったことで、翌年の2010年にはスバルがver.2でようやく大願成就。で、アイサイトの好調ぶりを見極めて、他社が続いたという感じ。

きっと、どのメーカーも自動停止の技術自体は確立していたんだと思います。例えば最後発に見えるトヨタですが、世界で初めて2003年のハリアーに用意したプリクラッシュセーフティシステムは、やろうと思えば自動停止できたハズ。

というわけで、今や自動ブレーキは百花繚乱状態ですが、その間にボルボはどんどん先に進んで、「インテリセーフ・テン」を、全車種の2015年モデルに標準装備しました。

▲インテリセーフ・テンには歩行者やサイクリストも検知する自動ブレーキ、車間距離の警告機能、ふらつきなどの警告機能、ウインカーなしで車線をはみ出すと自動でハンドルを修正する機能、車の両サイド後ろの死角を併走している車やバイクを知らせる機能など10の機能が備わります ▲インテリセーフ・テンには歩行者やサイクリストも検知する自動ブレーキ、車間距離の警告機能、ふらつきなどの警告機能、ウインカーなしで車線をはみ出すと自動でハンドルを修正する機能、車の両サイド後ろの死角を併走している車やバイクを知らせる機能など10の機能が備わります

これは歩行者・サイクリストも検知する自動ブレーキシステムや、全車速追従のクルーズコントロール機能、ハイ/ロービームを自動で切り替えるフル・アクティブ・ハイビームなど10もの安全・運転支援機能が備わったシステムです。

歩行者も検知するとうたう自動ブレーキは、日本勢では今のところアイサイトと日産のエマージェンシーブレーキくらいですから、それだけでもスゴいんですけど、さらに9つもの機能が「標準で」装備されているのです。

さすがは1959年に世界で初めて3点式シートベルトを装備したり、2020年(あと5年!)には「新しいボルボ車が関わる交通事故による死亡者や重傷者をゼロにする」という目標を掲げているだけのことはあります。

さて、日本で初めて自動ブレーキを備えたXC60は、上記にあるように現在ではインテリセーフ・テンを標準装備しています。またデビュー時よりは燃費が改善されているなど、細かな変更を受けています。4WDですから子供たちを連れていろんなところへ行けますし、検討してみてはいかがでしょうか。

ちなみに中古車で狙いたいという人のために、XC60の安全装備の主な遍歴を最後に記載しておきます。何しろ、初期型なら200万円以下から見つかりますからね。おいしいですよ。

■ XC60の安全装備の主な遍歴

2009年8月デビュー。前方車両などにぶつからない「シティ・セーフティ」を標準装備

2011年モデル 歩行者も検知する「ヒューマン・セーフティ」や全車速追従アダプティブ・クルーズ・コントロールなどのセットオプション「セーフティ・パッケージ」を用意

2013年モデル 道路標識をカメラで読んでインパネに表示する機能や、ハイ/ロービームを自動で切り替える機能を「セーフティ・パッケージ」に追加

2013年8月 「セーフティ・パッケージ」をアップグレード。標準装備の「シティ・セーフティ」は作動速度域が30km/hから50km/hまでに拡大。また「ヒューマン・セーフティ」の検知対象にサイクリストを追加したほか、車線逸脱警報などを追加し機能を10種類に

2015年モデル 「インテリセーフ・テン」を全車に標準装備

text/ぴえいる