▲フィアット 500S/ツインエアとよばれる2気筒875ccエンジンターボに5MTを組み合わせた500Sが登場したのは2013年。ツインエアが導入された2011年当初からこのエンジンにMT車を組み合わせたモデルを望む声が多かったそうです。専用のフロントバンパーや15インチアルミホイールを履くなど、見た目もスポーティ ▲フィアット 500S/ツインエアとよばれる2気筒875ccエンジンターボに5MTを組み合わせた500Sが登場したのは2013年。ツインエアが導入された2011年当初からこのエンジンにMT車を組み合わせたモデルを望む声が多かったそうです。専用のフロントバンパーや15インチアルミホイールを履くなど、見た目もスポーティ

イチローモデルのバットを持ってもカーブは打てない

MT車で坂道に停まった際、後ろの車がやけに車間を詰めて止まったので、「もっと後ろに下がってください、坂道発進が苦手ですから……」とお願いしたことのあるぴえいるです。

簡単に言うと、運転が下手なんですね。でも運転が好きなんです。

放課後に友だちと野球をしようとしたら、運動神経のない男の子が誘ってもいないのにいつの間にか友だちの輪に加わっていて、グローブをむにゅむにゅモミながら上目遣いで周りを見ていたなんてことありませんでしたか?

……それが私です。

カーブを投げられたら、まったくバットに当たらないんですけどね。それでも野球がしたい。ヒール&トゥなんて、同じ霊長類ヒト科のはずなのにどうやっても足があんな器用に動かない。それでもMT車には乗りたい。

だから先日ホンダ S660が「走る楽しさを、誰でも気軽に味わえるようにしたい」と、660ccエンジン+ターボで、6速MT車を用意してくれたことがすごくうれしかったんです。

ハイパワーのMT車だと、持てあますんです。イチローと同じモデルのバットでも、それを持つのが私ならカーブが打てないように。

使い切る楽しさというのでしょうか。例えば日産 GT-Rを与えられても、おそらく私ではその能力の10%を引き出せるかどうか。けれど660ccなら、もしかして。小学生だった頃の私でも、きっと幼稚園児の投げる球ならホームランを打てるように。

半年以上待たなくても、今すぐ買える1000cc以下MT車

でもね、S660は今申し込んでも納車は約半年後、それどころか生産台数に上限があるから抽選になって、納車がさらにのびると聞けば、そりゃ萎えますよ。

しかし一度付いた火はなかなか消えません。で、S660と同じように1000cc以下のMT車、875ccの現行フィアット 500Sを借りてみました。

ひょえ~!! やっぱ楽しい! え? これターボ付いてるんだ、気がつかなかった……。そんくらいスムーズに回せちゃう。しかも最近のMT車にはヒルスタートアシストが付いているから、坂道発進が全く怖くないし。

▲フィアット 500Sのシフトノブ。インパネから伸びているのが現代の車って感じでしょうか。スポーティな専用シフトノブに、ハンドルも下部が平らな形のスポーツステアリングです ▲フィアット 500Sのシフトノブ。インパネから伸びているのが現代の車って感じでしょうか。スポーティな専用シフトノブに、ハンドルも下部が平らな形のスポーツステアリングです

コーナー取りもギアのアップ&ダウンも全くもって我流ですけど、こりゃ楽しいや! ゴミ収集場の帝王であるカラスですら、そっぽを向きそうなほどしゃぶりつくしたフライドチキンの骨のように、500Sのおいしさを十分堪能しました。

味わい尽くしたといっても、所詮875cc+ターボですからね。3799ccのV6ツインターボと違って、絶対的な速度が違うわけです。山道なんか走っても法定速度で十分ワクワクできます。

だいたい地方の名も無い山道なんかは、途中でセンターラインが無くなったりするほど狭かったりするわけですよ。でもね、このクラスは総じて小っちゃい。だからそんな山道もスルスルと行けるという実利がある。

実利といえば燃費もいい。例えば500SのJC08モード燃費は26.6km/L。トヨタヴィッツの1.3L車が25.0km/Lですから、それよりいいんです。

他にも1000cc以下のMT車はこれだけあります。みんながイチローになれるわけじゃないけれど、多くの人が草野球を楽しむように、誰でもMT車を楽しむことができます。

▲ルノー ルーテシアゼン/3気筒の0.9L+ターボ車。しかもMT車のみですから、明らかに車好き(というか運転好き)に向けた1台。私の愛車アヴァンタイムに通じる、いかにもルノーなゴムっぽい乗り心地です。ヒルスタートアシストは吸盤がついているんじゃないかというほど、急坂でもビクともしません ▲ルノー ルーテシアゼン/3気筒の0.9L+ターボ車。しかもMT車のみですから、明らかに車好き(というか運転好き)に向けた1台。私の愛車アヴァンタイムに通じる、いかにもルノーなゴムっぽい乗り心地です。ヒルスタートアシストは吸盤がついているんじゃないかというほど、急坂でもビクともしません
▲フィアット パンダ4×4/500と同じツインエアエンジン(2気筒875ccターボ)を搭載しますが、500Sが5速なのに対し、こちらは6速MTです。フルタイム4WDだから雪道はもちろん、雨の山道などでも安心。走る楽しさだけでなく、夏や冬のレジャーも楽しめる一台です。ちなみに2WDの5速MT車のパンダもあります ▲フィアット パンダ4×4/500と同じツインエアエンジン(2気筒875ccターボ)を搭載しますが、500Sが5速なのに対し、こちらは6速MTです。フルタイム4WDだから雪道はもちろん、雨の山道などでも安心。走る楽しさだけでなく、夏や冬のレジャーも楽しめる一台です。ちなみに2WDの5速MT車のパンダもあります
▲ローバー ミニ/現行のBMW謹製ミニに、よく「ゴーカートらしさが継承されている」と言われますが、元祖であるこのミニは、ホントに遊園地にあるゴーカートのようにハンドルが少し寝ています。走らせると地面も近いし、まんまゴーカート。未だにパーツがたくさん流通しているので、カスタマイズが楽しめるのもうれしい ▲ローバーミニ/現行のBMW謹製ミニに、よく「ゴーカートらしさが継承されている」と言われますが、元祖であるこのミニは、ホントに遊園地にあるゴーカートのようにハンドルが少し寝ています。走らせると地面も近いし、まんまゴーカート。未だにパーツがたくさん流通しているので、カスタマイズが楽しめるのもうれしい
▲アウトビアンキ A112アバルト/日本では80年代にホットハッチとして日人気の高かったA112。当時フィアットやルノーのインポーターだったジヤクスが輸入していたこともあって台数が多いせいか、未だに中古車で流通しています。アバルトがチューンしたモデルも人気で、サラリーマン時代に後輩の女の子がこいつの黄色に乗っていて、格好良かったな ▲アウトビアンキ A112アバルト/日本では80年代にホットハッチとして日人気の高かったA112。当時フィアットやルノーのインポーターだったジヤクスが輸入していたこともあって台数が多いせいか、未だに中古車で流通しています。アバルトがチューンしたモデルも人気で、サラリーマン時代に後輩の女の子がこいつの黄色に乗っていて、格好良かったな
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