▲「007」シリーズに登場が噂されているフィアット500。ジェームズ・ボンドがこれを痛快に乗り回す可能性がある? ▲「007」シリーズに登場が噂されているフィアット 500。ジェームズ・ボンドがこれを痛快に乗り回す可能性がある?

心に商品を焼き付ける「プロダクトプレイスメント」の威力

「プロダクトプレイスメント」という言葉をご存じだろうか。映画やドラマにさりげなく商品やロゴを登場させる広告手法のことだ。映画を観ていると、いつの間にか「カッコいいじゃん!」と好印象を抱いているわけだ。

そんな言葉を知るずっと以前から、007シリーズに登場するボンドカーの特別な存在感に圧倒されていた。リアルタイムで観ていないものも含め「007 ゴールドフィンガー」(1964年公開)のアストンマーティンDB5、「007は二度死ぬ」(1967年公開)のトヨタ2000GT、そして「007 ワールド・イズ・ノット・イナッフ」(2000年公開)のBMW Z8など……。

映画の刷り込みの凄いところは車好きのエンスーだけでなく、子供や女性も含め、あまねく一定の効果があると思われるところ。車に興味がなくても「なんとなく見覚えがある」「どことなく素敵」といった印象が潜在意識に残るのだ。

中でも、イギリス情報局秘密情報部員という立ち位置からして、英国車アストンマーティンは極めて印象的。近作にはV12ヴァンキッシュやDBSといった一度は乗ってみたいセクシー&ゴージャスなモデルが並ぶ。コレに乗っていたら絶対にモテるとまでは言わないまでも、間違いなくモテ要素にはカウントされるはずだ。されないわけがない。

2005年登場のV12ヴァンキッシュの中古車平均価格でも1341万円(2015年1月10日現在)。庶民にとっては、まだまだ高嶺の花だ。そんなモデルを大衆娯楽作品に出してPRする意味があるのだろうか? もちろん、ある。我々庶民が憧れを抱いてこそのブランドなのだから。

▲いつの時代もボンドカーは憧れの的。劇中では各種兵器を装備していたアストンマーティン V12ヴァンキッシュ▲いつの時代もボンドカーは憧れの的。劇中では各種兵器を装備していたアストンマーティン V12ヴァンキッシュ

フィアット500が007シリーズに登場する(?)というリーク情報に心が躍る

そして、2015年末に北米で公開が予定されている007最新作「SPECTRE」でも、特別にデザインされた「アストンマーティン DB10」がボンドカーとなるそうだ。しかし、実はその発表の前に「劇中にフィアット500が登場する」というリーク情報があった。

この情報は本当なのか? 出たとして、チョイ役程度なのか、それとも大きく活躍するのか? そもそも現行型なのか旧型なのか? それこそ腕利きの諜報部員を雇って調べたいくらいなのだが、まだ真相は霧の中だ。

もし500が出演したとしたら、庶民としてはけっこう嬉しい。手頃な値段で購入できるからだ。

2008年にリリースされた現行500の中古車平均価格は153万円と、手を伸ばせば届くプライスゾーンにある。カーセンサーnetの掲載台数も284台とけっこうあり、狙いやすくなってる。デビューから8年が経っているが、一部グレードを除いて基本的にルックスは変わっていない。どれを選んでも古臭さがないのもポイントだ。

車としても現行500はネオ・レトロな感じがいい。ニュービートルやBMWミニが切り拓いたカテゴリーに後から参戦したが、イロモノ的な一発屋で終わっていない。コンパクトなサイズは日本に合うし、プレミアムなムードも持ち合わせている。なにより乗ってみると、荒削りな部分も含めて運転そのものが楽しく感じられるのだ。

ちなみに2種類あるガソリンエンジンのうち、どちらかひとつと言われれば個人的には0.8Lの2気筒ターボから目星をつけると思う(もうひとつは自然吸気の1.2L直4)。ビートの利いた小気味いい加速が500のキャラクターにピッタリだろう。

▲エクステリアだけではなくインテリアもネオ・レトロ路線を突っ走る。これは限定車MAGENTAのもの ▲エクステリアだけではなくインテリアもネオ・レトロ路線を突っ走る。これは限定車500 MAGENTAのもの
▲ツインエアと呼ばれる0.8Lの2気筒ターボは、荒削りだがパンチの利いた走りが魅力だ ▲ツインエアと呼ばれる0.8Lの2気筒ターボは、荒削りだがパンチの利いた走りが魅力だ
▲ドライビングポジションはアップライト。車内は狭いというより、心地よいタイトさがある ▲ドライビングポジションはアップライト。車内は狭いというより、心地よいタイトさがある
text/ブンタ