ランチア デルタインテグラーレ|伊達セレクション
写真上は筆者自宅車庫に収まる私物の94年式ランチア デルタHFインテグラーレEvoⅡ。購入時の走行距離は6.2万kmで、それから1年半たった現在は約7.3万km。その間路上でエンコしたことは一度もなく、要交換となった部品といえばフロントのブレーキホースだけ。また写真下も筆者の私物だったシトロエン2CV。これまた路上で止まってしまったことなど一度もなく、困ったことといえば「エアコンがないため夏場は大変」ということぐらいだった。
シトロエン 2CV|伊達セレクション
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「間違いだらけのクルマ選び」は今や実行不可能である?

過日、知人から中古輸入車購入に関する電話相談を受けた。中古といっても知人の場合は予算潤沢な人であるため、高額な現行モデル複数のなかで悩んでいるとのことだった。筆者はそれらモデルについて自分が知る限りの情報を提供したが、本当のことをいえば「それらは全部いい車ですから、好みで選べばそれでいいんじゃないですか?」というのが本音ではあった。

「間違いだらけのクルマ選び」という本もあったように、その昔は車選びで「間違える」ことが可能だった。しかし昨今は車の基本性能が向上したため、車選びで間違えることなどできないのだ。特に高額な輸入新車や、それに準ずるような高年式中古車の場合は、間違いたくても間違えようがないのが現実である。

……というのは高額車の世界における最近の一般常識だが、一方で「格安中古ガイシャ」や「マニアックで古めの輸入車」の場合はどうなのだろうか? こちらのほうは依然として車選びで「間違えること」ができるのか?

実はこちらもまた、最近は間違えることができない。いや「できない」と言い切ってしまうと語弊があるかもしれないが、少なくとも「間違えることは結構難しい」と言うことはできるだろう。

具体的な例を挙げよう。筆者は数々の格安中古ガイシャを購入した結果、「最近の中古ガイシャはめったなことでは壊れない」という確信を得るに至り、それを証明すべく大勝負に出た。“宇宙イチ壊れる車”との異名を持つランチアデルタインテグラーレを購入したのだ。

結果どうなったかといえば、納車から1年半たった今も完全ノープロブレムである。納車後半年間の一部始終は自主制作DVD「壊れないぜ!ランチアデルタインテグラーレ」に収録されているので、興味のある方はぜひご覧いただきたい。宣伝である。申し訳ない。

もはや“秘境”はない。整備履歴と好みで選べばたぶんOKなのだ

こういった実例は枚挙にいとまがない。1964年式フォード アングリアという、普通の人はたぶん名前も知らないだろう古くてマニアックな車でごく普通に仕事現場へやってくるOカメラマン。今でも乗っておられるかどうかは不明だがシトロエンGSAで、これまたごく普通に取材現場に通っていたライターのY氏。有名なところでは「中古フェラーリ=すぐ壊れる」的な既成概念を破壊した大乗フェラーリ教の清水草一氏。またちょっと話の方向性は違うが、総額50万円ぐらいで購入した怪しい(?)格安BMW3シリーズツーリングで西へ東へ毎日走り回っているKカメラマンという人もいる。

こういった少数の例で物事のすべてを断ずることはもちろんできないが、なんとなくの傾向はご理解いただけるのではないか。ということで筆者は高額高年式車を狙っている冒頭の知人だけでなく、マニアックな中古車ガイシャを狙っている人に対しても「中古車なんて好みと整備履歴で選べば、それでたぶんOKですよ」と言いたい。もはや輸入車に“秘境”はないのだ。

しかしさすがに、あえて車名を出すがシトロエンXMなどは断崖絶壁の地にある危険な秘境なのかもしれない。……が、自宅近くのコイン駐車場には白いXMがしょっちゅう出入りしており、しょっちゅう出入りしているということは、日々無事に稼働しているということである。……秘境は、本当にないのかもしれない。

ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら。
定期点検記録簿付きの、ちょっとマニアックな輸入車!


文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE