ポルシェ 911 タイプ964|伊達セレクション
写真上は89年から93年まで販売されたタイプ964。トルコン式ATであるティプトロニックの物件は今や200万円少々で十分狙えるが、5MTの良質物件は余裕で400万円前後。その相場は今後もじわじわ上がっていく可能性が高い。写真下は70年代から89年までのタイプ930。その相場も964同様、良質な物件の場合は上昇を続けている。買うなら今のうちだろう。
ポルシェ 911 タイプ930|伊達セレクション
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高騰した空冷911の相場はもう下がらない?

空冷ポルシェ 911の中古車相場が高騰している。特に89年までのタイプ930の良質物件と、93年までのタイプ964の、ティプトロニックではなく5MT仕様の、フルノーマルに近い物件の平均価格がここ半年ほど上がり続けている。

こうなってくると少々難しいのが購入のタイミングである。

高騰したということは急落もあり得るわけで、今現在の高値で空冷911を買うということは、株や為替のチャートで言うところの上ヒゲつかみ、つまりは瞬間的な高値で買わされる結果になるかもしれないのだ。で、その後相場はイッキに安値に向かい、結局は「天井で買った者が馬鹿を見る」という図式になる可能性もゼロではない。

中古車相場に限らず、未来を100%正確に予想することなどできない。しかしそれでもあえて空冷911の将来価格を占ってみるならば、筆者の予想はこうだ。

「大きく上がることはあっても、大きく下がることはない」

現在の相場が「さすがにちょっと高すぎる」という共通認識が生まれた際に、若干の調整的な下落が起こることは考えられる。しかし、空冷911の相場がナイアガラ的にズボボボーンッと暴落することは決してないだろう。

良質な空冷911とはもはや天然記念物である

なぜならば、「良質で」「フルノーマルまたはフルノーマルに近い状況で」「ATではなく5MTで」という条件を満たした空冷ポルシェ 911は、今や天然記念物……とは言わないまでも、それに近いニュアンスの希少種になってしまっているからだ。

放っておいても客が押し寄せるレアで大人気な天然記念物の“見物料”を、わざわざ値下げするお人好しはいない。ということで、「大きく上がることはあっても、大きく下がることはない」と予想するのである。

結論としてタイプ964のMT仕様(フルノーマルまたはフルノーマルに近いもの)と、タイプ930を買うなら、古い言い方で恐縮だが「今でしょ?」である。購入後、もしかしたら若干の調整的下落はあるかもしれないが、そこは気にするべきではない。いち早く「天然記念物」を入手できたことを喜ぶのが筋である。

さらに言えばタイプ993、すなわち「最後の空冷911」の6MT仕様の買い時は、「今しかないでしょ!」と判断している。ここまで述べてきたとおり、タイプ964(MT)とタイプ930の良質物件は高騰が続いているが、幸いなことにタイプ993の6MTは今のところさほど上がってはいない。

が、現在の964/930ブームが終わった後、高騰するのはおそらく993の6MT(の、フルノーマルか、フルノーマルに近い物件)である。そのことに皆が気づいていない今のうちに仕込んでおくのが、真の中古車相場師というものだろう。

以上、当たるも八卦、当たらぬも八卦の予想ではあるが、参考にしていただけたら幸いだ。ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら。
MTの空冷911、買うなら(たぶん)今です!

文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE