【オンリーワンを探せ】日本での生息台数が激減したMG RV8を発見!
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2013/10/01
原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2013年9月24日に発見したのは「MG RV8」です。1993年から1995年にかけて生産された2シーターFRオープンカーで、当時のローバー・グループが手掛けた車です。後に投入するMGFへの橋渡し役を担ったモデル、と言っても過言ではありません。
ローバーは初代マツダロードスターの成功を目の当たりにし、生産が途絶えていたMGBに勝算を見出しました。そこで1981年に生産を終了したMGBをベースに“現代版”を投入することにしたんです。
1993年の東京モーターショーでデビューし、いきなり1300台近くのオーダーを得て、2年間で約2000台が生産されました。その大半は日本で販売されましたが、中古車市場ではイギリスやオーストラリアなどの旧大英帝国圏で人気を博し、多くのRV8が日本を離れています。そういう意味でもレアな存在です。
搭載するエンジンは最高出力190psの3.9L V8(MGB GT V8の排気量拡大版)で0→60マイル(96㎞/h)加速5.9秒、最高速度230㎞/h。リアがドラムブレーキで、リアサスペンションがリーフスプリングだったので当時は「“現代版”にしては古くさすぎる」と批判の対象でした。でも、もはやデビューから20年たった今では関係ありません(笑)。
今は亡きコノリーレザーのシートに腰を降ろせば、室内に広がるのは色あせることのない高級感たっぷりなウッドインテリア。オープンスポーツカーながら普遍的な風格を感じさせます。最近のスポーツカーのような走りを楽しむことは難しいでしょうが、当時としては図太いトルクがもたらす加速感が、古くてもスポーツカーであることを実感させてくれるでしょう。
新車時価格が400万円前後であったことを鑑みれば、車両本体価格248万円は決して安くありません。でも18年前の車がワンオーナー、定期点検記録簿付き、走行7000㎞とあれば、プレミアム価格でも致し方ありません。
幌は最近のオープンスポーツカーのように自動ではありませんし、古くさく感じられる部分が多いのは事実。でも、機械式時計をたしなむようなカーライフを過ごす相棒として、今一度、見直されてもよい1台です。ましてやここまでレアになると、これほど低走行のRV8を入手する機会はめったにないと思いますよ。
Text/古賀貴司(自動車王国)