’75 FERRARI 365GT4/BB
カテゴリー: クルマ
タグ: EDGEが効いている / VINTAGE EDGE
2013/04/25
上品でありながら小悪魔的女性のような車だね
スーパーカー全盛期の車らしく数々の逸話が残っているが、有名なのが最高速度。公称302㎞/hとされているが、これはライバルであるカウンタックLP400の300㎞/hに対抗したものといわれている。最終的に387台が製造された。
徳大寺 さて、今日は何を見に行くんだい?
松本 少し前になりますが、フェラーリ512BBを見に行きましたよね。巨匠は512BBのほうが断然乗りやすくていい、とおっしゃっていましたが、今回見に行くのはそのオリジナルのほう、フェラーリ365BBです。
徳大寺 ほーっ。BB(べべ)な! あれはかっこいいよ。普段乗るならは512のほうがいいと言ったのは、インジェクションだから始動時に神経を使わなくて良いんだ。365はキャブレターだから神経を使うんだ。もっともその辺りを熟知しているエンスージャストは、そこを押し通して乗るんだけどな。
松本 巨匠、到着しました。こちらのお店です。ありますね、お目当ての車が。しかしこれは綺麗な個体ですね。
徳大寺 うん、これは素晴らしいコンディションだ。シート、これは特別にオーダーされたやつじゃないか?
松本 本当だ。シートフレームはオリジナルですけど、このウーブンのテキスタイルはなかなか上品でいいですね。革じゃないところからみると、ハードなスポーツ系よりも快適性を求めてオーダーしたんでしょう。巨匠の事務所に置いてあるアルフレックスのソファのような生地ですね。
徳大寺 わかっている人がオーダーしたんだろう。これは相当おしゃれだよ。
松本 デザインも久々に見ると、やはり365BBには特別な感じがありますね。特にテールランプとかマフラーとか。
徳大寺 そうそう、テールランプが左右3つずつでマフラーも6本出しだろう。しかもエグゾーストマニーホールドがかっこいいんだよ。テールランプが6つずつ付いている特別なフェラーリだと、他に365Pグイダチェントラーレ(センタードライバー)なんかも6個のテールレンズでかっこいいしな。
松本 フェラーリに365とつくと僕は特別な感じがしますね。1気筒あたりの排気量値ということは知られていますが、フェラーリとしては、大排気量の特別なGTだということを伝えたかったのでしょう。フェラーリで365というと車好きには365GTB/4デイトナを思い浮かべると思いますが、スーパーカー世代には“365BB(ベルリネッタボクサー)”の響きのほうが特別に感じられますよね。
徳大寺 君が言ったように365という数字は特別な意味合いがあると思う。言うなればフラッグシップのような存在だからね。フェラーリGTとしての「最高を提供する」って意味合いも含んでいるんじゃないかな。それとデイトナとBBはデザイナーがレオナルド・フィオラバンティということも共通しているんだ。60年代に入ってからも、なおもクラシックな装い路線から脱することができなかったデザインをフィオラバンティは大胆に打ち出して行った。フェラーリ中期を語るには不可欠な人物なんだよ。
松本 BBは確かにフェラーリ初の量産型ミッドシップですけど、デイトナがあったからこそカッコ良さが余計に引き立ちましたよね。
徳大寺 BBがすごいのはデザインもあるけどエンジニアとしての考え方なんだよ。エンジンをできるだけ短くし、トランスミッションとディファレンシャルをひとつにしてエンジンの下に潜り込ませてあるんじゃなかったかな。搭載されているエンジンも水平対向エンジンではなくて180度V型ってことになるんじゃなかったか?
松本 はい。おっしゃるとおりですね。フェラーリはこのレイアウトにしたいがために180度V型を作ったのですが、クランクシャフトとシリンダーブロック以外はデイトナとほとんど共通といわれましたからね。性能はわかっていたし、180度V型はF1でも実証済みですから技術的な問題はなかったのでしょうね。
徳大寺 フィオラバンティは途方もなくセンスのいい人だ。だから上品で当時最速のフェラーリを世に送り出せたんだろう。速くても荒々しいのではフェラーリの美学に反する。BB(べべ)とは当時人気のフランスの女優ブリジット・バルドーの愛称をフェラーリに使ったんだ。バルドーのように上品でありながら小悪魔的などう猛さを持ち合わせている。そんな女性とフェラーリを合わせた言い方だね。とても合っている名前だと思うよ。
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