ポルシェ ボクスター 外観|伊達セレクション
タイプ986こと初代ポルシェ ボクスターは96年10月から04年11月まで正規輸入された。当初、ベースグレードのエンジン排気量は2.5リッターだったが、99年10月発売の00年モデルからは2.7リッターに変更。狙い目はこれ以降のモデルになる。一番のオススメは03年9月以降の、リアスクリーンがビニールからガラスになったものだが、そちらはまだ少々値が張る場合もある。
ポルシェ ボクスター 内装|伊達セレクション
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容疑者はいつだって「高級外車」を乗り回す

いきなり容疑者ウンヌンというのもアレだが、まぁ聞いてほしい。重大事件の容疑者が逮捕され、そしてその容疑者が日ごろ輸入車に乗っていたとする。その場合、テレビジョンのワイドショーでは99%の確率で「○×容疑者は“高級外車”を乗り回し……」というニュアンスで報道される。

たしかに「高級な」輸入車に乗っている容疑者もいるにはいる。しかし、かなりビミョーなモデルを「高級外車」と報道している場合も実は多い。例えば98年、食べ物にヒ素を混入させたとして殺人罪で逮捕されたH容疑者(※現在はH死刑囚)。彼女が当時乗っていて、そしてお約束のとおり「高級外車を乗り回し~」とテレビで報道されたその「高級外車」とはBMW3シリーズであった。

BMW3シリーズ。紛うことなき高級輸入車ではあるが、H容疑者のそれを「高級外車」と報道したのは明らかに間違いである。なぜならば、彼女が乗っていた3シリーズとは当時最新のE46型ではなく、逮捕時点ですでに型遅れとなっていたE36型3シリーズであったからだ。それも、フロントバンパーの形状から判断して最初期モデル。98年当時でも60万円も出せば買えた低年式車である。

H容疑者のカーライフや財政事情を詮索したいわけでも、もちろんE36型3シリーズを批判したいわけでもない。そうではなく「ガイシャに対する世間の認識なんてそんなモンですよ」という話だ。

普通の人はまさかポルシェが100万円台とは思わない

どんな年式であろうとも、世間は自動的に「BMW=高級車」と判断する。「いや、アレはバンパー形状から見て91年式か92年式で、底値の中古車なら50万円でも買えるんだよ!」などと細かいツッコミを入れるのは、わたしのようなごく一部の自動車変態だけなのだ。

その考え方を敷衍して論じるならば、今もっとも良好なコスパで「高級輸入車を乗り回してる人」と周囲に認識させる必殺の1台は、ポルシェボクスターの初代モデルだ。最初期の2.5リッター仕様はさすがに少々古いが、00年モデル以降の「2.7」または「S」であれば車両価格100万円台で、なかなかの物件を余裕で探すことができるだろう。

それを購入した場合、わたしのような重度の自動車変態からは「あぁ、リアスクリーンがガラスになってない年式だから、お値段は170万円ぐらいですかね(笑)」などと無粋なツッコミを入れられるかもしれない。しかしそのような変態など全人口の2%ほどしかいないので(※伊達調べ)、まったくもって心配不要だ。貴方がその内外装を常にキレイにさえしておけば、フツーはとてもじゃないが100万円台で買った車には見られないことをお約束しよう。

もちろん、初代ポルシェボクスターを推すのはそういった見栄ウンヌンの話だけではない。

911と比較して「エントリーモデル(入門モデル)」と評されることの多いボクスターだが、ミッドシップレイアウトの採用からもわかるとおり「走るうえでは911よりもこちらのほうがむしろ本格派」とも言える、必殺のハンドリングマシンである。そして試乗してみればわかることだが、初代であってもしっかりメンテナンスされてきた個体でさえあれば、「ディス・イズ・ポルシェ!」としか言いようのない、超高速戦車のごとき(?)硬質な感触をいまだ堪能することができる点こそが、言うまでもなく最大の魅力だ。

ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら。
100万円台の初代ボクスター、ぜひ一度ご検討を!


文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE