BMW1シリーズ|伊達セレクション
今ハヤリの1.6L直4直噴ターボエンジンとは、産業革命における「石炭」のようなもの? これの登場と一般化により、実用車界の「地図」は大きく書き換えられた。写真上は全モデル直噴ターボとなった現行BMW1シリーズ。非常にパワフルな走りでありながら、カタログ燃費は17.6km/L(116i)と優秀。また写真下の直噴ターボを積む現行VWポロも、クラスを感じさせない重厚な走りと良好な燃費を両立。
VWポロ|伊達セレクション
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昭和野郎も「直噴ターボ」にだけは憧れる

「マグネティックライド」だの「ヘッドアップディスプレイ」だのと、近年の輸入車のハイテク化というか「ほとんどSF化」は、とどまるところを知らない。

無論そういったデバイスの高度化により、操作ミスなどによる交通事故は確実に減っているのだろうから、安易に批判するつもりはない。しかし個人的には、「フツーに快適に、快速で走らせるための車」というのはE46型BMW3シリーズ(98~05年)あたりですでに完成を見ているというか、十分以上なのじゃないかと考えてもいる。

具体的には、やや不安定な部分もあるセミトレーリングアーム方式のリアサスペンションをBMW社が捨て、マルチリンクの一種である「セントラルアーム方式」のリアサスをE36型BMW3シリーズ(91~98年)で採用し、そしてその熟成版であるE46型3シリーズが出たタイミングである。異論はあろうかと思うが、それ以降のハイテクデバイスはすべて、わたしにとっては「余禄」みたいなものだ。

ということで今日も、運転席エアバッグすら付いていない18年落ちのイタリア車で街を走っている不肖軍曹なわけだが、そんなアナクロで昭和なわたしにとっても羨望のハイテクアイテムが、一つだけある。

昨今のヨーロッパ車の主流である「直噴ターボエンジン」だ。

今、「普段使い」に10km/L以下はあり得ない?

ご承知のとおりそれは、やたらと燃焼効率が良いだけでなく、低回転域から高回転域まで非常にパワフルであることから、直噴ターボエンジンを積む車は「燃費良好でありながら運転も楽しい」という、普段使いの車としては理想的なキャラクターになる場合が多い。マニアックな趣味車の燃費をいちいち気にするのは愚の骨頂だが、「普段使いの車」にとって燃費はやはり超絶重要。「実質8km/Lの実用車」というのは、よほど何かほかの部分の魅力が突出していない限り「実用車」としては推奨しづらいのが2012年後半の空気感である。

繰り返しになるが、趣味として乗るのであれば、燃費極悪なV8OHVでも何でも構わないだろう。とにかく「愛してやまないモノ」を買うのが結局は一番だ。

しかし、「実用一辺倒」とまでは言わないにしても「まぁ主には実用的な用途ですよね」的な人が輸入車を探すならば、今や「直噴ターボ」以外はちょっと考えにくい。クリーンディーゼルや軽量小排気量+MTのシンプルな小型車もいいが、「探しやすさ+見ばえ+総合満足度」で考えると、やはりちょっとしたプレミアムブランドの直噴ターボ搭載モデルこそが、「おしゃれ実用車」においては最有力候補になるはずだ。

ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら。

燃費も走りもほぼ文句なしの「直噴ターボ」を下駄にする!


文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE