’89 FERRARI 328 GTB
カテゴリー: クルマ
タグ: EDGEが効いている / VINTAGE EDGE
2012/07/26
良い車はいつ乗っても古さを感じさせないんだ
クロモリ鋼のフレーム、4輪ダブルウィッシュボーンのサスペンションなど基本構造は308から受け継ぎながら、エンジンは3185㏄。欧州仕様で270psを誇った。実用性とクラシカルな雰囲気を持つ絶妙な時代のクルマであり、現在も非常に人気が高い。1989年に348へとバトンタッチを行う。
徳大寺 今回もフェラーリ特集か。よく考えるといろいろな車を見てきたし、過去の話も結構し尽くした感があるよ(笑)。
松本 巨匠の365GT4 2+2の話も出しちゃいましたし、僕の330GT2+2もよく出てきますからね。今回は巨匠の乗っていた365GT4 2+2にゆかりのあるモデルなんです。
徳大寺 僕が乗っていた365GT4 2+2は当時のピニンファリーナとしては新しいデザインだったんだ。デザインはレクサスLFAでお馴染みのフィオラヴァンティさんだね。
松本 今回は彼が担当した8気筒モデルです。
徳大寺 なるほど、328か。俺も乗ってたよ。唯一、新車で買ったフェラーリだ。しかもGTS。色はブラックで内装はタンだったな。
松本 ホントですか? 長い付き合いですが初めて聞きましたよ(笑)。
徳大寺 本当はGTBの方がかっこいいと思うよ。だけど屋根が開くGTSも好きなんだよな。友人のイタリアディーラーの社長に買ってくれないか、と言われたんで買ったんだよ。
松本 さすが巨匠! 買ってくれと言われて買えるような車ではないですよ。乗ってどうだったんですか? 新車の328GTSは。ヨーロッパ仕様ですか? それともアメリカ仕様ですか?
徳大寺 それが、なんだか不思議な仕様でさぁ。外観と内装はヨーロッパ仕様なんだけど、走らせると今ひとつ吹け上がりがフェラーリのレスポンスじゃないんだよ。どうやら詰まってる感じなんだよな。それが不満だったよ。
松本 当時の正規輸入の328GTSは基本的にヨーロッパ仕様を輸入していたそうですよ。ですからデフォルトのスペックでは圧縮比が9.8で270馬力を7000回転で発揮していたんです。トルクは5000回転で31kg-mですから当時の市販車としてはハイチューンですよね。
徳大寺 真偽はわからないけどフェラーリ328GTSには変わらないからね。328GTSはポルシェでいうタルガトップのようになっていて、屋根がデタッチャブルトップになってるんだよ。それはディーノ246だってGTSがあったように、フェラーリのラインナップとしては重要なモデルだと思う。特にアメリカでは。フェラーリにカリフォルニアスパイダーがあったぐらいだから。
松本 そうですね。ディーノ246GTSの“S”はSpiderの意で、イタリアではオープンボディのモデルをこう呼ぶんですよね。spider(蜘蛛)は地を這うように素早く動くことからそういった名称が使われたと。
徳大寺 そうだね。よくスパイダーは剛性がどうのと言って毛嫌いする人が多いけど、フェラーリはその辺を十分に分かっているよ。とてもシャシー剛性は高いしね。今日見に行けばドアを開け閉めした瞬間に分かるはずだ。
松本 今回も以前お邪魔したポテンシャルさんですね。ありましたよ、328GTBが。
徳大寺 ほ~。なかなか程度が良さそうだ。エンジンの音を聞く限り、これはヨーロッパ仕様だな。ドアの立て付けもいい。これなんだよ、古いフェラーリの素晴らしいところは。
松本 328GTSは308GTSのフロントとリアをリファインして発表したわけですが、とても高級感が増していてその辺りが上手いですね。フロントは512BB風。リアは308に比べてスッキリとまとめられているのが特徴的です。
徳大寺 確か308とはシートも違うよ。308までは昔ながらの少し角が丸っこい感じだったけど時代に合わせたデザインに変更しているな。細かいところなんだけど、そういうところが新しさを演出するには重要なんだ。
松本 巨匠の乗った印象はどうなんですか?
徳大寺 この車は乗りやすいんだよ。革底のドレスシューズでも普通に乗れるんだ。こっちはデートやパーティに行くときに運転しやすい靴を履いて、現地に着いたら履き替えるなんて野暮なことはしたくないからさ。
松本 確かにこのモデルぐらいからフェラーリは乗りやすくなったのかもしれませんね。
徳大寺 かぶりついて必死に運転するのはかっこ悪いじゃない。それと328GTSって、まぁGTBもそうなんだけど、308に比べて、うんと新しさを感じるんだよ。だから今乗っていても古い感じがしないんだ。いい車、いいデザインとはそういうモノなんだよ。
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