スカイラインGT-R▲20年前の2005年に発行されたEDGE誌創刊号にあった記事。なんとあのR32型スカイラインGT-Rが50万円~という衝撃の中古車相場……

車好きからよく聞く「あの時買っときゃ…」というボヤき。

それをあえて楽しむため、今年20周年を迎えたEDGE誌の創刊号を開いてみました。そこに掲載されていた物件をベースにいまあらためて相場を見比べてみたらやはりとんでもない事態になっていました!

絶版国産スポーツカーが軒並み相場高騰していることはすでに周知の事実ですが、中でも今回はその相場高騰っぷりが超有名な日産 スカイラインGT-Rに注目。今のいままで手に入れるチャンスを逃しまくってきた方、かつてあっけなく乗り替えてしまった方、一緒に後悔を楽しみましょう!

 

「25年ルール」が異常相場の犯人!?

絶版国産スポーツカーの相場が高騰している大きな要因が「25年ルール」です。これは製造から25年以上経過した「右ハンドルの車」をアメリカに輸入(日本から見れば輸出)できる法律の例外にあたる特別ルールです。

そもそもアメリカでは、通行ルールやそれに伴う安全性の観点で基本的には右ハンドル車の登録が禁止されているのです。しかし、古い車両に対する優遇措置の一環で一定期間を経過した車両の登録が認められるルールがあります。このルールによって、25年を経過した海外で人気の国産モデルの相場が急上昇する現象が起こるのです。

国産の絶版車を手に入れることができる人の分母が国内から世界に一気に広がり、数限りある物件を世界のマニアと取り合うわけですからそりゃもうその価値(価格)はうなぎ上りになるわけです。その代表モデルが、日産 スカイライン GT-Rシリーズでしょう。

 

R32型を20年前に買えた人は勝ち組確定!

スカイラインGT-R▲スカイライン第2世代におけるGT-Rとして最新技術をてんこもりで搭載しており、反則的な性能と速さでライバルたちを圧倒したモデルだ

当時、グループAという4座席以上を有する量産車という条件で行われていたツーリングカーレースで反則的な強さを発揮していたR32型は、世界の車好きの脳裏に最も強烈な印象を与えたモデルと言えるかもしれません。

当然、1989年の登場から25年が経過した2014年以降は、ぶったまげるような相場高騰をしていたはずです。

スカイラインGT-R▲20年前の2005年のEDGE誌の情報によればR32の中古車価格帯は50万~500万円くらいだったようです

EDGE誌が創刊した2005年はR32型が登場してから16年、生産終了から11年が経過した年です。まだ「25年ルール」には該当しない年ですね。当時の中古車価格帯は車両本体価格で50万~500万円だったようです。平均価格は恐らく300万円くらいで維持していたのではないでしょうか。新車時価格が430.5万~529万円のモデルでしたので、最終製造年より11年も経過しているにもかかわらずこの相場を形成していたということは人気モデルだった証しと言えるでしょう。

価格帯に占める個体のグラデーションは、過走行車や修復歴車などが100万円前後、比較的走行距離の少ない年式の新しめな物件が400万円以上に固まっていたのでは、と想像できます。

それが2025年現在、その価格帯は車両本体価格で490万~1750万円、平均価格は764万円と最安値物件で10倍、最高値物件は3倍以上も跳ね上がっていました。当時の価格相場を下手に知っちゃっている人にはなかなか手が出ないはるか遠くの価格帯でいまは存在しているようです。

スカイラインGT-R▲ 過去2年間の中古車平均価格。まだ上がり続けています。いったいどこまで上がっていくのでしょうか……

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日産 スカイラインGT-R(R32型)
 

速さでR32を上回るR33だが実はお買い得GT-Rでもある?

スカイラインGT-R▲R33型はボディサイズを拡大し走行性能をさらにアップしてきたものの、マニアには賛否あったモデル。一時は最もお買い得なGT-Rでもあったが……

R33は、シリーズ中最もお買い得相場を形成していたスカイラインGT-Rである、という認識と記憶が残っている方も少なからずいるのではないでしょうか。

当時は、R32に対してボディサイズアップと重量増したことにより、一部ファンの中では評価が二分していたようですが、GT-Rがこだわる「速さ」においては衝撃的なデビューを果たしたR32を上回る性能を有しているモデルです。

スカイラインGT-R▲20年前の2005年のEDGE誌の情報によればR33の中古車価格帯は140万~390万円くらいだったようです

販売期間は1995年~1998年。新車時価格は、478.5万~550.3万円(特別グレード/ニスモ400R:1200万円を除く)と先代のR32より「少しだけ高くなったかな?」くらいの定価でした。

2005年時点では古い物件で10年落ち、最終型で7年落ちという中古車マーケットではメインストリームを張っていた世代だったに違いありません。当時の中古車相場は140万~390万円と、絶版モデルとして“健康的な相場を形成していた”と見ることができます。

経過年数の多いR32型に比べて流通物件の状態が平均的に良かったことで、最安値でも140万円をキープしていたようです。一方で、最高値物件ではR32型の方が高いことから、この頃よりすでにR32の方が人気はあったのだと推測できます。つまりR32よりも性能は高いのにR33の方が安く買えたという「お買い得GT-R」だった、ということが言えます。

では、2025年のいまもそうなのかと相場を見てみました。その価格帯は556万~1500万円。平均価格も842万円とR32の現平均価格を80万円近く上回っていました! その価値はついに先代のR32を捕らえ、追い抜いたのです! すばらしい!

ただその一方で、「R33はお買い得GT-R」という中古車フリークの定説を裏切ったわけで、本気で狙っていた人たちには単なる悲報となるのです。

スカイラインGT-R▲いつのタイミングかでR32の平均価格を超えてからはここ2年くらいは上げ止まりしているように見えますが、下がってくる気配は今のところ感じられません

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日産 スカイラインGT-R(R33型)
 

R34は家を買うか車を買うか、みたいな価格に……

スカイラインGT-R▲スカイラインGT-Rとしての最終型となるR34。結果的に最後のRB26エンジン搭載モデルということで、“最後の”というキーワードが大好物なマニアの注目を強烈に集めていたGT-Rとなる

1999年~2002年に販売されていたR34は、結果的に最後の直6となる名機RB26型エンジンを搭載するGT-Rです。

R33で不評だったボディサイズをあらため全長、ホイールベースなども短くしましたが、ボディ剛性やブレーキシステムを含むあらゆる走行機能がアップデートされておりRB26世代最強のGT-Rと言っても過言ではないでしょう。

そのR34も実は2005年時点で初期モデルで6年落ち、最終モデルでも3年落ちという絶版車だったのですね……。ちなみに、“スカイライン”という車名まで捨てて一気に近代化したR35の登場は2007年ですので、2005年は新車では“GT-R”が買えない期間だったわけです。

スカイラインGT-R▲20年前の2005年のEDGE誌の情報によればR34の中古車価格帯は360万~800万円くらいだったようです

そんなあの時のR34の相場は360万~800万円。新車時価格は499.5万~630万円と、R32、R33から少しずつ定価は高くなっていますが、このハイスペックモデルの新車がわずか600万円くらいから買えた時代だったことを思うと、もうそれだけでなんだか後悔と無念さを感じざるを得ません。

ただ、中古車価格の最高値が新車時価格を超えていることも見逃せません。この頃からすでに相場高騰の兆しはあったのです。

さて、26年前に登場したR34の現在の中古車相場を見てみましょう。

1450万~7700万円……!?

145万~770万円ではありません。1ケタ違います。老眼入った筆者の見間違いでもないし、フェラーリでもありません。日産です。

もし今、新車で買ったR34が手元にあるとすれば、ですが、今すぐ手放せば現金一括で立派なマイホームが建てられそうです。冒頭の「25年ルール」に当てはめるとその相場の高騰っぷりは理解いただけると思いますが、それにしても、訳の分からない相場を形成しているのでありました。

あらためて今さら感はありますが、これを以て日産 スカイラインGT-R(R32、R33、R34)を「後悔先に立たずモデル認定」とさせていただこうと思います。

スカイラインGT-R▲この上昇傾向を見ている限り今年中には3000万円の大台を軽く超えてきそうです。これはもう海外相場ですね

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日産 スカイラインGT-R(R34型)
文=編集部、写真=日産、編集部
※記事内の情報は2025年11月4日時点のものです。