せり上がるセレクターの演出やアルミ&ウッドパネルなど内装が新鮮なセダン

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ジャガーXFの試乗会へ行ってきました。
XFはM・ベンツEクラスやBMW5シリーズなどをライバルとするセダン。足回りなどの基本構造はXKやXJと同じですが、アルミボディではなくスチール製となります。
ライバルとする、と書きましたが、これはジャガーがそう言っているわけで、実際サイズを比べてみると
M・ベンツEクラス:4820mmx1820mmx1450mm(価格は605万〜986万円)
BMW5シリーズ:4855mmx1845mmx1470mm(価格は570万〜900万円)
ジャガーXFシリーズ:4970mmx1875mmx1460mm(価格は650万円〜995万円)
と、価格はほぼ同じですが、全長で10cm以上も大きいセダンです。

実質、Sタイプの後継モデルとなりますが、車名にSの文字はなく、またデザインにもあまりSを感じさせません。「クーペのようなセダン」とメーカーが言うように、きれいなラインが特徴のセダンです。ちなみにSタイプは、デビュー時こそ販売が好調でしたが、すぐに勢いは止まり、あとはじり貧でした。

さてXFの特徴は、なんと言ってもJaguar Drive セレクターのスタートアップシークエンス機能でしょう。これはキーを持ったまま(キーシリンダーはありません)ドアを閉め、ブレーキを踏みながらスターターボタン(この時点ですでに赤い文字が点滅します)を押すと、エンジンの始動音とともにシフトのセレクターレバーがせり上がってくるというものです。このセレクターレバーが、BMWのiDriveのセレクターレバーのように円形をしています。また、エンジンの始動とセレクターレバーの上昇と同時に、それまで閉じられていたエアコンの吹き出し口がクルリと回って出てきます。この一連の動作を、下の動画でご覧いただけます。

今回はV6・3Lを搭載する3.0ラグジュアリィ、4.2Lの4.2プレミアム・ラグジュアリィ、4.2L+スーパーチャージャーのSV8の3タイプに試乗できました。
まず4.2プレミアム・ラグジュアリィから試乗。「いわゆるドイツ車的」な、ボディの引き締まった感じとやや堅めの足回りでした。あえて「いわゆるドイツ車的」としたのは、現状のM・ベンツやBMWはもはやそこから脱し、しなやかさを併せ持つようになってきていると、個人的には感じているからです。それよりはゴツゴツ感や踏ん張り感が強いと思います。その割に「プレミアム・ラグジュアリィ」という名前通りというか、ハンドリングはまさにラグジュアリィセダン。足回りはスポーティなのに、です。
次にSV8。乗り心地的には先ほどの4.2プレミアム・ラグジュアリィとほぼ同じくらい硬めですが、こちらは電子制御でショックアブソーバーのセッティングを操作するCATSが備わるため、角が取れた感じです。また走行モードをSV8専用のダイナミックモードに切り替えると、アクセルレスポンス、ギアチェンジ、ハンドリングとも「この車に一番合っているな」というスポーティな走行が楽しめました。
最後に3.0ラグジュアリィ。乗り出した途端「あ、これいいじゃん」でした。ボディの剛性感はそのままに、しなやか。なるほど、よく見ればタイヤサイズが全然違いました。
3.0ラグジュアリィ:235/55R17、
4.2プレミアム・ラグジュアリィ:245/45R18、
SV8:255/35ZR20(前)、285/30ZR20(後)。
驚くほど違います。

さて3.0ラグジュアリィ。3Lエンジンは、他の2つのエンジンに比べたらダルめですが、「峠道を攻め込む」ような運転をしない限り、十分だと思います。乗り心地は、旧々型のXJ(個人的に今まで乗ったジャガーの中で、一番しなやか)に一番近い印象です。
ちなみにミッションはすべてZF製6速ATが組み合わさります。またエグゾーストノートは「XKと同じサウンドチューン」を施したのだとか。
ジャガーXF 前席|ちょい乗り試乗ジャガーXF 後席|ちょい乗り試乗ジャガーXF 夜間のセンターコンソール・スイッチ類|ちょい乗り試乗
走りを求めるならSV8がオススメですが、個人的には3.0ラグジュアリィが気に入りました。インテリアはほぼ同じですから。シボ加工されたアルミニウムパネルが多用された内装は、実はウッドパネルが、Mk.II以降のジャガー・サルーンの中で最も多く使用されているそうです。
メーターのブルーライトも新鮮で、夜間走行ではセンターコンソールのスイッチ類を覆うパネルからも青い光がこぼれます(上の写真)。これ、ドコモのモトローラ製の携帯と同様、透過したい部分のみアルミを薄く削っているのだとか。

Jaguar Driveといい、内装の作り込みといい、確かにライバルと目している他銘柄にはない、独創的で美しい作り込みです。またSタイプの懐古主義ではなく、前衛的な素材と伝統的な素材をうまく合わせた、新しいジャガーというイメージも出せていると思います。今後のジャガーが楽しみですね。


<カーセンサーnetデスク・ぴえいる>