▲旧型ミニの全長とホイールベースを少々延長し、右後部に小さなドアを付けた旧型ミニ クラブマン。おしゃれさん御用達の車ですが、それが今「100万円ちょい」の車両価格で買えること、知ってました? ▲旧型ミニの全長とホイールベースを少々延長し、右後部に小さなドアを付けた旧型ミニ クラブマン。おしゃれさん御用達の車ですが、それが今「100万円ちょい」の車両価格で買えること、知ってました?
 

おしゃれを極めるには意外と難しい「100万円ちょい」という予算

輸入中古車評論家を自称するわたしだが、自慢じゃないがカネはない。いや日々の食事に困窮するほど貧乏しているわけではないが、購入する車の予算上限はいつだって100万円か、せいぜい100万円ちょいと心に決めながら、ニッポンの中流ド真ん中を生きている。実際、今乗っているルノーの旧型カングーという車も車両価格は138万円であった。

しかしこの「100万円か、せいぜい100万円ちょい」という予算が、輸入車を狙う場合はなかなかの曲者だ。100万円または100万円ちょいでも(中古であれば)輸入車を買うことは十分以上に可能だが、「おしゃれな輸入車」を買うにはちょっと難しい予算なのだ。

最近のモデルでおしゃれなやつ(一例だが現行フィアット パンダ4×4とか)を狙おうとすると、最低でも230万円ぐらいの予算がないとなかなか厳しいだろう。かといって100万円ちょいで80年代のシトロエン GSAあたりを買うのも少々ビビる。GSAはウルトラスーパーおしゃれな車であり、きちんと整備したハイドロニューマチックはそう簡単には壊れないとも聞くが、やはりビビるものはビビるのである。輸入中古車マニアとはいえ、人間だもの。

▲往年のシトロエンのコックピット。こんな車に乗れればウルトラスーパーおしゃれなのは間違いないが、いざ買うとなるといろいろ逡巡してしまうもので…… ▲往年のシトロエンのコックピット。こんな車に乗れればウルトラスーパーおしゃれなのは間違いないが、いざ買うとなるといろいろ逡巡してしまうもので……

今現在はおしゃれな旧型カングーに大満足して乗っているわたしだが、もしもそれが何らかの理由で廃車になった際はどうすればいいのだろうか? 頑張って(無理して)230万円以上の予算を用意しパンダ4×4とかを買うか? もしくは気合で80年代のハイドロ・シトロエンに乗るか? はたまた無我の境地で新車のミラ イースでも買うか? ……どれもそれなりに魅力的に思えるが、同時に、どれも決定力には若干欠けているような気もする。さて困った……と思いながらカーセンサーnetをダラダラ眺めていると、ひとつの事実に気がついた。

旧型ミニ クラブマンが妙に安くなっているのである。

▲以前は安くても150万円ぐらいが相場だった旧型ミニ クラブマンも、ついに100万円ちょいに? ▲以前は安くても150万円ぐらいが相場だった旧型ミニ クラブマンも、ついに100万円ちょいに?
 

登場から8年以上が経過した今なおファッション性は最強レベル

今さら説明の必要はないかと思うが、旧型ミニ クラブマンとは07年10月から14年11月まで生産されていたミニの派生バージョンだ。シューティングブレーク(英国の貴族とかが狩猟に出かける際に使っていたスポーティでエレガントな荷物グルマ)をそもそものコンセプトに取り入れた独特なモデルで、旧型ミニの3ドアハッチバックをベースに全長を240mm、ホイールベースを80mm延長。リアハッチはしゃれた観音開き方式を採用し、そして右側後部に「クラブドア」という逆方向に開く小さなドアを追加した、非常にスタイリッシュなコンパクトワゴンである。

エンジンは、「クーパー」には可変バルブ制御を採用した最高出力120psの1.6L自然吸気が搭載され、「クーパーS」にはツインスクロールターボの1.6L直噴ターボを搭載。その他、ホッテストバージョンの「ジョン・クーパー・ワークス」も用意されていた。

▲旧型クラブマンの各ドア類はこのように開く。右後席の「クラブドア」はリアシートへのアクセス性を向上させるためのもの。どうでもいいけど観音開きのリアゲートはやはりカッコいい…… ▲旧型クラブマンの各ドア類はこのように開く。右後席の「クラブドア」はリアシートへのアクセス性を向上させるためのもの。どうでもいいけど観音開きのリアゲートはやはりカッコいい……

で、そんな旧型ミニ クラブマンのおしゃれっぷりは異常なほどで、この車が登場した際、どこかの車雑誌で街の自動車評論家ことテリー伊藤さんが「ミニ クラブマンを今買えば、向こう5年間はスーパーおしゃれな人だって周囲から賞賛され続けるよ!!!」と力説されていたことをよく覚えている。そしてそれから5年どころか8年以上が経過し、新型クラブマンも登場した今、そのおしゃれっぷりは果たして劣化しているだろうか?

「まったく劣化してない」というのが筆者の持論だ。

同世代のミニ3ドアハッチバック(要するに旧型ミニ)は、わたしとしては今もなかなかおしゃれであると思うが、人によっては「ちょっと古くさい」と評価するかもしれない。しかしクラブマンだけは、おしゃれでビッとした新型が昨年11月に登場したにも関わらず、依然としておしゃれ輸入車の極北であり続けている。

「シューティングブーレク」というコンセプトゆえだろうか? はたまた新型がサイズ的に肥大化してしまったゆえ、このスッキリと小ぶりな造形が潔く、そしておしゃれに見えるのだろうか? ……デザインの専門家ではないゆえ詳細は不明だが、とにかく旧型クラブマンは依然としてスーパーおしゃれだ。この見解には「十人中十人」とまでは言わないが、十人中七~八人ぐらいは賛同していただけるものと確信している。

▲基本的にはミニの全長をちょっと伸ばしただけなのに、なぜこんなにもおしゃれさんになるのか? ▲基本的にはミニの全長をちょっと伸ばしただけなのに、なぜこんなにもおしゃれさんになるのか?
 

走行距離が比較的少ない100万円系も増加中!

そんな旧型ミニ クラブマンは人気ゆえなかなかの高値相場を維持してきたのだが、新型のデリバリーが始まったからだろうか、ここのところ「100万円ちょい」ぐらいの物件も結構な数が出回り始めたのだ。いや「100万円ちょいのミニクラブマン」というのは以前から存在していたのだが、それらの走行距離はたいていぶっ飛んでいた。10万kmとか、11万kmとか。しかし最近は走行3万kmから4万km台ぐらいとなる「ちょうどいい塩梅の物件」も、おおむね100万円ちょいの車両価格で狙えるようになってきたのである。

中古車の品質というのは「走行距離が少なめである=いい状態である」と単純に決めつけることはできないが、やはり走行距離というのはそこそこ少なめであるに越したことはない。少なくとも過走行車の中から探すよりは、走行距離そこそこ少なめの個体群から探した方が、内外装および機関部分のコンディションに納得がいく1台に出会える可能性は高くなるはずだ。

走りは、現行モデルほどの重厚感というか戦車感みたいなものはないが、その分だけ軽快であり、ミニ一族というファミリーの「家風」には、むしろこちら旧型の方が合っているかもしれない。またサイズ的にも現行型と比べればずいぶん小ぶりゆえ(全長で28cm、全幅で11.5cmも違うんですよ)、様々な意味で身軽に感じられるだろう。

▲全長3990mm×全幅1685mmとなかなかコンパクトなため、市街地でも邪魔にならないのがいいところ ▲全長3990mm×全幅1685mmとなかなかコンパクトなため、市街地でも邪魔にならないのがいいところ

ということで、100万円ちょいぐらいの予算感で「おしゃれで、それでいて走れて積める輸入車」を探している人には最適なモデルのひとつかと確信しているのだが、どうだろうか。

text/伊達軍曹
photo/BMW