「きっと、あなたのココロが走り出す。」“Your heart will race.”そんなテーマをもつ東京モーターショー2015の見どころとして各メーカーのコンセプトカーたちは外せない。コンセプトカーは今すぐには手に入らないけれど、今買える車たちだって、その時代時代の人々が考えた素敵な未来を具現化するために生まれてきたのだ。今回は最新のコンセプトカーがもつテーマに通ずる「今、手に入る車たち」をセレクトした。

▲FF車ならではの車内空間を活かし、移動販売に特化した車として製作されたダイハツ TEMPO ▲FF車ならではの車内空間を生かし、移動販売に特化した車として製作されたダイハツ TEMPO

すぐにキッチンカーとして使えそうな充実した装備

未来の移動販売車をコンセプトに開発された「ダイハツ TEMPO」。何のテンポがいいのか? と思いましたが、移動販売=店舗のシャレじゃないですか! LED照明付きの大型ガルウイングドア、カウンターテーブルになるショーケース、店の看板として利用できるデジタルサイネージなど、すぐにでも移動販売車として使える仕様になっています。

▲中はこのようにウォークスルーになっている。すぐにでもお店が始められそうです ▲中はこのようにウォークスルーになっている。すぐにでもお店が始められそうです

実はベースとなる車がダイハツにありました!

ダイハツのデリバリーカー……と聞いてピンときた人は、なかなかの商用車通。かつてダイハツには、ミラ ウォークスルーバンという国産デリバリーカーに革命をもたらした車がありました。狭い路地にも入り込んでいける軽規格サイズで、助手席側はバスのような折り畳み式のドア。車体側面にスライドレールがないため、対面販売用カウンターを設置することができたのです。

さらに、ウォークスルーバンの派生モデルとして、移動販売に特化したミチートというモデルもありました。こちらは標準で車体後部がガルウイング。まさに「TEMPO」の前身となったモデルと言っていいでしょう。ウォークスルーバンの生産は1998年に終了し、その後、復活の噂はありましたが実現には至っていません。「TEMPO」はいわば、長年にわたって国産モデルがなかったキッチンカー業界における期待の星。市販化に期待しましょう!

▲1998年まで生産されていた、ミラ ウォークスルーバン。車内(店内?)にアクセスしやすい折り畳み式ドアが特徴的でした ▲1998年まで生産されていた、ミラ ウォークスルーバン。車内(店内?)にアクセスしやすい折り畳み式ドアが特徴的でした
text/田端邦彦 photo/ダイハツ、V8たろう