「きっと、あなたのココロが走り出す。」“Your Heart Will Race.”そんなテーマをもつ東京モーターショー2015の見どころとして各メーカーのコンセプトカーたちは外せない。コンセプトカーは今すぐには手に入らないけれど、今買える車たちだって、その時代時代の人々が考えた素敵な未来を具現化するために生まれてきたのだ。今回は最新のコンセプトカーがもつテーマに通ずる「今、手に入る車たち」をセレクトした。

▲人気沸騰中のコンパクトクロスオーバーSUV市場にトヨタも参戦!C-HRコンセプト ▲人気沸騰中のコンパクトクロスオーバーSUV市場にトヨタも参戦!C-HRコンセプト

これが次期プリウスのSUVか? 市販版は16年3月発表の見通し

トヨタが先のフランクフルトモーターショーで発表した新世代コンパクトクロスオーバー「C-HRコンセプト」の5ドア仕様が、東京モーターショー2015で日本初公開される。「TNGA(Toyota New Global Architecture)」と呼ばれる次世代プラットフォームを含む新しい車作りにより、「高いボディ剛性を追求し、操縦安定性・乗り心地の向上を目指す」としたモデルだ。

一見すると5ドアではなく3ドアに見えるこのスタイリングはダイヤモンドをモチーフとしており、コンパクトでスピード感あるキャビン形状と、多面体のような精彩で彫りの深いボディ下部の組み合わせ。最近のトヨタが行っている「キーンルック」や「アンダープライオリティ(アンダーグリルを強調した独自のフロントデザイン)」といったデザイン表現がさらに進化しているのが見て取れる。

トヨタいわく「エンジンの最大熱効率40%以上を追求し、モーターや電池などハイブリッドシステムのコンパクト化と軽量化を図り、一層の低燃費実現を目指す」とのことで、そういった意味でC-HRコンセプトは「プリウス派生系のクロスオーバー」ともいえるかもしれない。市販バージョンに近いモデルは16年3月開催のジュネーブモーターショーで発表される見通しだ。

C-HRコンセプトに近いエッジ感あるSUVといえばレクサスNX

今のところ一番人気といえるカテゴリーである「クロスオーバー/SUV」であり、次期プリウス並みの燃費性能が予想され、そしてアグレッシブにしてなかなか美しいデザインを身にまとっている……ということで、これに類する現時点での市販モデルはなかなか見つからないのが正直なところ。それゆえ来年3月に発表される見通しの市販バージョンを見て、そしてその後に注文を入れるというのが順当な流れではあるだろう。

しかし何らかの事情で今すぐ車を買い換える必要や、新たに購入する必要にかられていて、なおかつ「なんとなく「C-HRコンセプトみたいなクロスオーバー/SUVがいい!」と思うのであれば……プリウスα? いや、アレもなかなかステキな車であり、燃費性能や積載性能においてはC-HRコンセプトに通じるものもあるが、いかんせんデザインセンスがまったく違う。

C-HRコンセプトのキモは「エンジンの最大熱効率40%以上を追求し」という部分も当然そうだが、それだけではなく、現代美術のようにエッジの利いたデザインでもある。そういったデザインにおけるエッジ感のようなものがなければ、到底C-HRコンセプトの代替品には成り得ないだろう。

となると考えられるのは、おそらくレクサスNXの300hだ。

▲14年7月登場のレクサスNX。コンパクトというよりは「中型」と呼びたいサイズのクロスオーバー/SUVで、ハイブリッドモデルであるNX300hのほか、レクサス初のターボモデルとなったNX200tの2つが用意され、それぞれFFまたはAWDを選ぶことができる ▲14年7月登場のレクサスNX。コンパクトというよりは「中型」と呼びたいサイズのクロスオーバー/SUVで、ハイブリッドモデルであるNX300hのほか、レクサス初のターボモデルとなったNX200tの2つが用意され、それぞれFFまたはAWDを選ぶことができる
▲写真はNX300h F SPORTのコクピット。外観だけでなく内装もなかなかエッジが利いたデザイン ▲写真はNX300h F SPORTのコクピット。外観だけでなく内装もなかなかエッジが利いたデザイン

希少性を保ちつつもNXの中古車流通量は増加中!

サイズ的にはC-HRコンセプトよりもNXのほうが一回り大きくなってしまい、かつ燃費性能も(おそらく)ずいぶん下回るはずではあるが、「クロスオーバー/SUV」であり、「ハイブリッド」であり、そしてもっとも重要な「エッジの利いたデザイン性」を持ち合わせているということを考えると、レクサスNX 300hはC-HRコンセプトの結構な好敵手になり得る。

幸いにして中古車相場も以前は流通台数が少なめだったせいで高止まりしていたが、ここ最近は流通量がやや増えてきた関係で下落方向にある。具体的には500万円台の前半から半ばにかけての車両価格で、ハイブリッドの300hおよびその派生上級グレードを探せる状況だ。

流通量が増えてきたNXではあるものの、「街でしょっちゅう見かける」というほどには増えていないだけに、今NXに乗るということは希少性というかエクスクルーシブな(独占的な)愉しみというか、そういったニュアンスも堪能できる行為。もしもC-HRコンセプトの雰囲気に感じるものがあったならば、ぜひレクサスNX 300hの中古車にも注目してみることをオススメしたい。

text/伊達軍曹
photo/レクサス、V8たろう