クルマとヒトとの対話を大事にするトヨタ KIKAIにどこか似ている往年の名車2CV 【東京モーターショー2015】
カテゴリー: クルマ
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2015/10/28
「きっと、あなたのココロが走り出す。」“Your Heart Will Race.”そんなテーマをもつ東京モーターショー2015の見どころとして各メーカーのコンセプトカーたちは外せない。コンセプトカーは今すぐには手に入らないけれど、今買える車たちだって、その時代時代の人々が考えた素敵な未来を具現化するために生まれてきたのだ。今回は最新のコンセプトカーがもつテーマに通ずる「今、手に入る車たち」をセレクトした。
「機械との対話」がある意味可能となるコンセプトカー
サスペンションやエンジンなどのメカ部分があえてむき出しになっているトヨタの摩訶不思議なハイブリッド・コンセプトカー「KIKAI」が東京モーターショー2015で世界初公開される。KIKAIのテーマは「機械本来の魅力で人とクルマの関係を再構築する」というもので、そのビジュアルはまさにKIKAI(機械)という雰囲気たっぷりのものに仕上がっている。
ボディサイズは全長こそ軽自動車サイズの3400mmだが、全幅はなんと1800mm。全高は1550mmで、こちらは都市部での使用を意識した高さである模様。ウインドウ越しにフロントサスペンション・アッパーアームの動きを確認することができ、足元の小窓からはタイヤやブレーキを直接見ることが可能。つまりドライバーが常に「機械の動き」を自分の目で確認できる作りになっているのだ。
シートレイアウトは1+2の3名乗車で、運転席を車体中央に、その左右に後席をオフセットした3座レイアウトを採用。1.5リッターのガソリンエンジン+モーターのハイブリッドシステムをミッドに搭載している。燃料タンクや排気管なども細部までこだわった造形であり、未来的でありながらアナログ的でもあるメーターやスイッチなども面白い。全体として「機械との対話」を強くイメージさせるコンセプトカーだといえるだろう。
「機械と対話しながら走る」といえば元祖はシトロエン2CVか
このKIKAIが市販されるかどうかは未知数だが、市販されるにせよされないにせよ、こういった感じの「メカメカしい車」「アナログ丸出しな機械と対話できる車」を好む層というのは一定数以上いるもので、できればぜひこのままに近い形で市販してほしいものだとは思う。
しかし同時に、仮にKIKAIが市販されなかったとしても、「アナログ丸出しな機械と対話できる車」というのは実はすでに存在していることも思い出す。KIKAIにちょっと似た造形のバギーなどもそうだが、それよりも濃密にイメージするのが「シトロエン2CV」だ。
KIKAIと違ってシトロエン2CVはサスペンションやエンジンがむき出しになっているわけではないが、「こうもり傘にタイヤを4つ付けた感じ」という基本コンセプトからもわかるとおり、2CVは作りが非常にシンプルゆえ、サスペンション・アッパーアームたタイヤの動きを「目で見る」ことこそできないが、その「動いてる感じ」は手に取るようにわかる。あまりにシンプルゆえ、見えないのだが「見える気がする」ぐらいドライバーに「伝わる」のだ。
機械と対話しないことには曲がらない? でもそこが逆に素晴らしい!
現代の車であればコーナリングをする際、ブレーキングによる前方への「荷重移動」をサボったとしても、大抵の場合ごく普通に曲がってくれる。しかしシトロエン2CVではそうもいかない。コーナーの手前でしっかりとブレーキングし、フロントタイヤに十分な荷重をかけながらでないと思うように曲がってくれないのだ。
「古くさい車」と言ってしまえばそれまでだが、しかしきちんとフロントに荷重を移動させた2CVでコーナーをキレイにクリアする際の感動というか気持ち良さは、現代の「何もしないでも曲がってくれる車」では決して味わえない類の快感だ。つまりは機械との会話というか対話というか、「行くぜ!」「あいよ!」みたいなやりとりを重ねながら走る面白さだ。
KIKAIのような「ビジュアルとしての対話」もステキだが、シトロエン2CVの「身体と頭脳と心、そのすべてを使って行う機械との対話」というのもまた格別である。そちら方面の快感が気になる方は、KIKAIに注目すると同時に、ぜひシトロエン2CVの中古車もチェックしてみてほしい。
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