「きっと、あなたのココロが走り出す。」“Your heart will race.”そんなテーマをもつ東京モーターショー2015の見どころとして各メーカーのコンセプトカーたちは外せない。コンセプトカーは今すぐには手に入らないけれど、今買える車たちだって、その時代時代の人々が考えた素敵な未来を具現化するために生まれてきたのだ。今回は最新のコンセプトカーがもつテーマに通ずる「今、手に入る車たち」をセレクトした。

▲襖っぽく開く大開口スライドドアと超低床で乗降ラクラクの「ダイハツ NORI ORI」。床もフラットで車内移動しやすいのも特徴 ▲襖っぽく開く大開口スライドドアと超低床で乗降ラクラクの「ダイハツ NORI ORI」。床もフラットで車内移動しやすいのも特徴

乗り降りしやすさにスポットを当てた斬新なコンセプト

ダイハツが提案するコンセプトカー「NORI ORI」は文字どおり、乗降性向上に注力した1台。「超低床フロア」とガバッと開くサイド&リアドアで、横からでも後部からでも乗り降りできちゃう、斬新なコンセプトなのです。車内の移動がラクなのも特長で、2台の車椅子を折り畳まずに載せることができる……と、いわば究極の福祉車両でもあったりします。

乗降の過程が独創的な車といえば……

車内にアクセスしてから出発するまでのプロセスは、実はかなり時間と労力を消費しています。スクーターみたいに気軽に乗り降りできる車があったら一般ユーザーはもちろん、配達を仕事にするビジネスユーザーたちにとっても、さぞかし便利でしょう。センターピラーレス&センタースルーのコンパクトミニバンなどは、「NORI ORI」に近い使い方ができるのかもしれません。

“スクーター感覚”をキーワードに市販車を探すなら、イセッタあたりはかなりイイ線いってそう。乗降は横からでも後ろからでもなく、車両前面のドアから! 「NORI ORI」とは全く仕様が違うけど、狭い街中でもサッと乗れて、すぐ発進できる……と、志には近いものを感じます。残念ながら原稿執筆時点でカーセンサーでイセッタを検索したところ結果は0台ですが、一応下部にリンクを貼っておきます。乗降のユニークさで言うなら、ダイハツが1970年代に発売した隠れた名車、フェローバギーも忘れちゃいけません。だってドアがないんだもの、ルパン三世的に外から運転席に飛び乗れちゃう。こんな車が市販車だったなんて、かつては日本も大らかだったなぁ。

▲車両前面のドアがステアリングごと開いちゃう、コンセプトカー以上に斬新な発想で作られたイセッタ ▲車両前面のドアがステアリングごと開いちゃう、コンセプトカー以上に斬新な発想で作られたイセッタ
▲イセッタは1950年代にイタリアのイソが開発し、BMWなど複数の自動車メーカーによってライセンス生産されました ▲イセッタは1950年代にイタリアのイソが開発し、BMWなど複数の自動車メーカーによってライセンス生産されました
text/田端邦彦 photo/V8たろう