Y31セドリック/グロリアは世界初のトルコン式5AT搭載車。では、日本で初めてATを搭載した量産車は?
2015/05/25
MTのクラッチ&変速操作を自動で行う機構も日本が発祥
いまや新車の98%以上がAT車で、運転免許取得者の55%がAT限定を選ぶ時代。ところで日本でオートマチックトランスミッションがどのように進化してきたかご存知ですか?
アメリカでは1940年ごろからATが普及しますが、日本で初めて量産車にATが搭載されたのは1959年。搭載車種は意外にも高級車ではなく、トヨタの商用車“マスターライン” でした。
トヨグライドと呼ばれるトルクコンバーター付き2速半自動ATは、Dレンジだと2速のみで走行し、大きな力が必要なときは手動でローレンジ(1速)に入れる仕組みでした。
1968年、ホンダは3速フルAT「ホンダマチック」をN360に搭載。その後ホンダマチックは無段変速機構を備えたセミオートマチックへと進化していきます。
1981年、トヨタ クラウンロイヤルサルーンに世界初の画期的なATが搭載されます。「ECTシステム」と名付けられたATにはオーバードライブ機構が備わり、マイコンでATを制御。さらにノーマル、パワー、エコノミーの3モードをドライバーが選択できるようになりました。
1984年にはいすゞ アスカが現在でもマニアの間で語られる先進的なトランスミッションを搭載しました。それが「NAVi5」です。NAVi5はATではなく5速MTで、変速やクラッチの操作を車が自動で行うものでした。エンジン回転数やスピードをコンピュータが計算し最適なギアを選ぶ仕組みで、現在のヨーロッパ車で多く採用される2ペダルMTの先駆けとも言える存在です。
1989年、日産はセドリック/グロリアのマイナーチェンジで世界初のトルコン式5速ATを搭載します。その後、ATは多段化の道を歩み始めます。現在ではランドローバーのレンジローバーイヴォークやジープ チェロキーなどは9速ATが搭載されるまでになっています。
ATの進化で忘れてはいけないものがもうひとつ。1994年にデビューした三菱 FTOに搭載された「INVECS-II」です。ドライバーの癖を車が記憶し、上り坂や下り坂、カーブなどでドライバー好みの変速を行う世界初のシステム。MTのように自分でシフト操作を行えるスポーツモードも搭載されていました。
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