移りゆく時代を生き抜く。そのヒントはニュースにあり……などと大そうな話は別としまして、ネットの時代になってニュースが大氾濫。誰にもすくい上げられることもなく流れていくものだってあります。斜め読みは面白かったニュースを今週もキャッチアップします。

製品

■さようならランエボ、また会う日まで(三菱自動車発|4月10日)

『三菱自動車は、高性能4WDセダン「ランサーエボリューションX」の特別仕様車「ランサーエボリューション ファイナルエディション」の発売に先駆け、4月10日(金)より全国の系列販売会社を通じて先行受注の受付を開始。販売台数は1000台限定で、車両本体のメーカー希望小売価格(予定)は429万8400円(税込)を計画しており、発売は2015年8月頃を予定(1000台に達し次第受付終了となります)しています。なお、本モデルをもちまして「ランサーエボリューションX」は生産終了となります』

スーパーカーのニューモデルラッシュにあって、価格が5倍以上するスーパーカーを超えるようなパフォーマンスを見せてくれるランエボが消えてしまうのは本当に寂しい話です。

ランエボの萌え要素は、物理法則において不利な面をテクノロジーでカバーしたことでしょう。居住空間優先のパッケージングをもつ4ドアセダン。背が高くて、端っこの方に申し訳なくエンジンを横置き。スポーツカーのように重心を低くしてセンターよりにするといった素性の良さとは無縁だったのです。フロアパネルにしてもコンパクトハッチとも共有しなければならないというハンディキャップがありました。

それでもランエボXでは直列4気筒の2Lエンジンにチタンアルミチャージャーのツインスクロールターボチャージャなどを加えて43.0kgf・mのブ厚いトルクを発生させ、これを可変トルク配分のACDで四輪に駆動を適正に送り、左右後輪のトルク配分で車の動きをコントロールするAYCなどにより、グッリグリ車を曲げていく圧巻のコーナリングを実現。技術で物理特性の壁に挑むという意味においては、タイムマシンやワープ航法実現へのアプローチと同じなのではとさえ思えてくるのです。

さて、残りたったの1000台。まだ間に合いますでしょうか……。

▲初代が誕生したのは1992年10月。約23年にわたるランエボの歴史が終わります。 ファイナルエディションのベースはGSRの5MT車。エンジンに手を加えて最高出力を向上させる予定とか ▲初代が誕生したのは1992年10月。約23年にわたるランエボの歴史が終わります。 ファイナルエディションのベースはGSRの5MT車。エンジンに手を加えて最高出力を向上させる予定とか

時事

■このままいくと“ガソリン難民”が大量発生?(経済産業省発|4月14日)

『サービスステーション(SS)の数が3ヵ所以下の市町村数について、2015年3月31日時点の情報の集計が完了しました。全国のSS数は、ガソリン需要の減少、後継者難等により減少し続けています。これに伴い市町村内のSS数が3ヵ所以下の地域も増加。本調査での「SS過疎市町村」は市町村内のSS数が3ヵ所以下の地域としており、SS過疎市町村数は昨年度より18市町村増えて283市町村となりました』

近所のガソリンスタンドがどんどん消えていった、ここ数年。老朽化した設備を更新できずに廃業に追い込まれたり、そもそも燃料が売れなくなったり……と理由は様々。うっかり給油するタイミングを逃すと、わざわざ遠くのガソリンスタンドまで寄り道しなければいけないことさえあります。このままガソリンスタンドの過疎化が進んで“ガソリン難民”になるのは避けたいところですね。

▲どんどん少なくなっていくガソリンスタンドに、不便を強いられているドライバーも多いのでは。なにかよい解決策はないものでしょうか。なお、写真はイメージ。記事とは関係ありません ▲どんどん少なくなっていくガソリンスタンドに、不便を強いられているドライバーも多いのでは。なにかよい解決策はないものでしょうか。なお、写真はイメージ。記事とは関係ありません

テクノロジー

■AR(拡張現実)で車の死角がなくなる(MINI|4月10日)

『MINI Augmented Visionは革新的なディスプレイコンセプトで、快適さと安全性を高めます。このAR(拡張現実)を使ったアイウェアのプロトタイプによりミニブランドの先見性とクリエイティビティを明確にします』

そもそもAR(拡張現実)というのは、現実の世界へレイヤー的に情報や映像などを重ねる技術。MINIが発表したコンセプト端末は眼鏡タイプで、表示を空間に浮かせたヘッドアップディスプレイ的に使えるだけではなく、「X-Ray View」モードも備えています。おそらく車に備わっているカメラを使って、インパネやドア、ピラーなどの向こうにあるものが、まるで透けているかのように見えるそうです。

この手のデバイスはいかにもガジェットっぽくなってしまいがちですが、MINIブランドらしく、おしゃれな端末になっているのも「見せ所」ですね。

▲この手の最新ガジェットにしては、おしゃれなコンセプトデザインになっています。バイクのゴーグル的でもありますし、スチームパンク的にレトロな雰囲気もあります ▲この手の最新ガジェットにしては、おしゃれなコンセプトデザインになっています。バイクのゴーグル的でもありますし、スチームパンク的にレトロな雰囲気もあります
▲こちらが「X-Ray View」モード。ドライバーの死角に隠れたものが透けて見えるというもの。技術的には決して難しいものではないので、コンセプトで終わらず、製品化してほしいものです ▲こちらが「X-Ray View」モード。ドライバーの死角に隠れたものが透けて見えるというもの。技術的には決して難しいものではないので、コンセプトで終わらず、製品化してほしいものです

イベント

■連休はダットサン・ベビイで「交通教育」(日産自動車発|4月15日)

『日産自動車は、4月25日~5月6日の間、日産グローバル本社ギャラリーにて「ゴールデンウィーク・ファミリーイベント」を開催します。「ゴールデンウィーク・ファミリーイベント」では、素敵な賞品が当たるクイズラリーや、日産の環境技術を楽しく学ぶことができるわくわくエコスクールなど、ご家族皆さまでお楽しみいただける様々なコンテンツを実施。「ダットサン・ベビイ乗り込み体験+フォトサービス」も開催する予定です』

かわいいですね、ダットサン・ベビイ! かつて子供の交通教育のために日産が製造して遊園地に寄贈したといわれるマイクロカーです。これを日産自らが再生してイベントに活用します。食育だとか、いろいろな教育が注目されますが、この連休は交通教育、略して「交育」に時間を割いてみてはいかがでしょうか。

▲ダットサン・ベビイは、そもそも1960年代に愛知機械工業が製造したコニー・グッピーのパーツを利用して日産がリデザインしたもの。こんなのがあれば子供の車に対する興味も高まりそう。いや大人でさえも(笑) ▲ダットサン・ベビイは、そもそも1960年代に愛知機械工業が製造したコニー・グッピーのパーツを利用して日産がリデザインしたもの。こんなのがあれば子供の車に対する興味も高まりそう。いや大人でさえも(笑)

まとめ

去るものもあれば来るものもあります。廃れるものもあれば流行るものも。とはいえ目の前から去ろうが、廃れてしまおうが、変わらぬ価値を持ち続けるものだってあるのです。ランエボなんかはむしろ価値がグングン上がっていくのかもしれませんね。今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

text/ブンタ photo/三菱自動車、graaab、MINI、日産自動車